旅先からのお土産朝ごはん
「リョク」水野あやさんvol.4
2月ももう少しで終わりますね。この時期になるといつも春が待ち遠しくて。
一番最初のコラムで、店名「リョク」の由来は私の好きな色の「緑」からきているお話をしました。緑の中でも一番好きなのが「新緑の緑」です。家のそばにある公園の木々や芝生が段々と緑に色付き、さらには青々とした緑がさらに力強くなっていく成長していく様を眺めることが楽しみの1つです。
さて、本日の朝ごはんはベトナム土産のフォー。
昨年の11月にベトナム、タイ、ラオスへ一人旅をしてきました。もちろん、旅の目的はそれぞれの国の民芸、工芸を見ること。特にラオスの年に1度、首都のビエンチャンで開催される「handi craft festival」に長年行きたくて、この日に照準を合わせて旅のスケジュールを立てました。そのクラフトフェスティバルはラオスの村々が一同に会し、それぞれの村でつくられている織物や、籠、民族衣装などを展示販売します。会場に入った途端、もう私のアドレナリンは溢れ出んばかりでした。ラオスは織物が盛んで、その作品の素晴らしさには圧倒されました。
話が朝ごはんからそれましたね。
今回のベトナム旅行も美術博物館やバッチャン焼(陶器)、刺繍、シルクのそれぞれが盛んな村を巡ってきました。
最後にお土産を、と思った時にお土産物屋さんの英語を流暢に話す店員さんに、このフォーセットを強く勧められました。工芸や雑貨には職業柄、鼻が利くと自負しているのですが、食べ物に関してはそこまでの嗅覚はなく、何を買ったらいいか悩んでいたところ、その定員さんに言われた英語が「スープも野菜もお肉も全部入っているから、お鍋に入れるだけ!簡単!」と私のリスニングではそう聞こえたのでした。じゃあ買ってみよう、と家族用に買った次第です。
そして、このフォー。家族に大好評でした。私はパクチーが好きですが、家族はそうでもなく、そんな家族でも美味しい!と。そして本当にお鍋に全部入れるだけ。ちょっと水菜を添えてみました。
フォーなどの麺類はいつもゆうらぼの三宅史家さんの貫入どんぶりを使っています。その立ち姿にまず惚れて購入したのですが、麺類から丼ものまで、幅広く使えて重宝しています。
ずっと使い続けているので、実は貫入が薄くなり、今はほとんど見えなくなっています。でも三宅さんからは、貫入が消えてきたら紅茶やコーヒーなどに1日漬けておいて、その後しっかり拭いて天日に干して乾かすと貫入が復活しますよ、と聞いているので、いつの日か試してみたいなあと思っています。
レンゲは岡山の松井麻美さんの陶器のもの。こちらは随分と前に「リョク」でもお取り扱いさせて頂いていたものです。ちょっと柄が短いのがまたかわいらしさを引き立たせて、うちの子は小学生の時からずっとこのレンゲが大のお気に入りです。
ちょうどこの写真を撮った時が、12月ごろ。その時期は日々「柿」がどこからともなく頂けて、毎朝のように食卓に並んでいました。沢山もらったのでお客さんにもお裾分けしようと思っても、結構な頻度で「うちも今、沢山柿があるんよー」と。さらにはお客さんや友達からも「柿いる?」と逆に聞かれたり。多分、都市部以外のどの地方でも秋になると、柿が山のようにもらえることは、あるある、だと想像しています。
柿をのせている器は岡山の備前の森本仁さんの輪花皿。
岡山へ嫁いできた私は、もちろん備前焼の存在は大いに知っていました。でも30代、40代の私達には縁遠いものかな、と思ってました。フィールドオブクラフト倉敷に出展されていた森本仁さんの備前焼を初めて見た時、今まで見た備前焼のイメージを一新するほどの強烈な印象を受けました。
せっかく岡山に住んでいるんだから、このようないいものを使わないのは勿体ない!と思い、その場で森本さんに「リョク」で扱わせてほしいと直談判したのをよく覚えています。
この器を見てもらったらおわかり頂けると思いますが、ありふれた日常のフルーツが、とっても美味しそうに見えるのです。
岡山に住んでいながら備前焼が遠い存在に思える方にもぜひ使って頂けたらなあ、と日々思っています。
そして、写真を撮り終える前に、息子は学校へ行かねばならないので、画像に写りかけているのはご愛敬、と思って見てもらえると嬉しいです。まさにこれが時間との闘いの朝の風景です。
最後になりましたが、カップは山口の高野(こうの)友美さんのゴブレットです。
ゴブレットでありながら、実はワインを入れたことはなく、ほぼお水やお茶、時には珈琲など。今回も中身は単なるお水ですが、朝からちょっと気分が上げるためにも、気軽に使わせてもらっています。
今回使った器
貫入どんぶり 三宅史家さん(リョクでお取り扱いしている作家さん)
レンゲ 松井麻美さん
輪花皿 森本仁さん(リョクでお取り扱いしている作家さん)
小鉢 安達健さん
ゴブレット 高野友美さん(リョクでお取り扱いしている作家さん)
布のコースター 和泉綾子さん
アルミのフォーク 藤本里衣子さん
木のフォーク 菅原博之さん
お料理が得意ではない器屋店主ですので、メニュー的に参考になることは少なかったと思います。
朝も夜も毎日目を見張るような食事は作ることはできなくても、器好きだということは声を大にして言えることですので、これからも毎日「今日はどの器にしようかな」という楽しみで食器棚から器を選び続けていくだろうと思います。
私の食事風景がお役にたてたら、こんなにうれしいことはありません。
そしてこんな店主のお店ですが、もし中国地方、岡山、倉敷に来られる際はぜひお気軽にお立ち寄りくださいね。1か月に渡って、コラムをお読み頂き、ありがとうございました。
岡山県倉敷市田ノ上896-3 1F
TEL:086-431-2227
営業時間:11:00~16:00
定休日: 日、月、火曜
https://www.ryo-ku.com/
Instagrm:@ryoku.kurashiki
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