古くて新しい、お灸の魅力を再発見vol.3

からだ修行
2017.01.25

今月の先生・「食とセラピー ていねいに、」福田倫和さん

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さて、お次はその「お灸でリラックス」の究極版、「ていねいに、」のセラピーで行っている「びわの葉温灸」を体験してみました!

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古くから「万病を治す」と言われてきたびわの葉。乾燥して薬草茶として飲んだり、葉っぱを焼酎につけ込んだびわの葉エキスを、むし刺されややけどに塗ったり、お湯や水で割って飲んだり。自然療法の世界では、病気の予防と治癒には欠かせないアイテムとして知られています。

「びわの葉温灸」は、そのびわの葉を肌に当て、上から温灸(おんきゅう:スティック状のもぐさ)をしていく方法です。ガンやアトピーの方の間では有名な療法ですが、免疫力を高めることが目的の療法なので、どんな症状の方でも受けてもいいのだそう。特に冷えのある方、全身の循環が悪い方にはおすすめなのだとか。

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「びわの葉温熱療法」を行っている治療院はたくさんありますが、「ていねいに、」のように、本物の葉っぱとお灸を使っているところはめずらしいそう。予約が入ると福田さんは自転車を飛ばし、知り合いのお宅の庭に育つ、新鮮なびわの葉を取ってくるそうです。

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折しも取材に伺ったのは12月の年末進行で、田中の疲労も頂点に達していた時期。肩と腰はコリコリで、長年の冷え症も悪化している時期でした。まずは問診票に必要事項をいろいろと書き入れ、長めの問診を受けます。脈を取り、舌の色を見て、足をさわり、おおよその体調のあたりをつけていただきます。

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「足には『碑(ひ)』『腎(じん)』など、大切な経絡がいくつも通っているので、そこをさわると体調が分かるんです。『腎』の経絡は身体を温めたり、身体全体を調整したりするのに関係しているんですが、田中さんはちょっとこの『腎』が弱いので、重点的にやっていきましょう。

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まずはあおむけからスタート。温灸に火をつけてから、肌に直接びわの葉を当て、温灸を2~3㎝ほどの距離に近づけ、お腹、手、足の順番で温めていきます。最初は、丹田のあたりをじっくり念入りに。温める場所は、それぞれの経絡をなぞるようにして、少しずつ移動していきます。当てられた部分がほんのり温かく、もぐさの香りが心地よく、うっとり夢心地。続いてうつぶせになり、足、背中を首から腰にかけて順に温めていただきます。

「びわの葉温灸って気持ちいいけど、まあ、こんなものかな~」と思っていたのは、ここまで。温灸で手足の前身をまんべんなく温められたあとに指圧がスタートしたのですが、これが史上最高にトロトロになる気持ちよさ。仕事を始めてから20ウン年、今まで数限りないマッサージを受けてまいりましたが、ここまでヘロヘロ、トロトロになったのは初めてのことでありました。施術が終わったあと、しばらくはボーゼンとして、起き上がれなかったほど。「びわの葉温灸」で、全身の流れをよくしてもらってから指圧されることで、身体の芯まで温かさが届き、何かがなだれ落ちるような、どっぷり深いリラックスを体感することができたのです。

先に福田さんのお話を伺っていたときに、「気持ちがいい」という言葉が何度となく登場していましたが、ここに来てその意味が、身体の奥底から理解できたような気がしました

かつては指圧やマッサージといえば、ゴリゴリとちょっと痛いくらいのほうが「何だか身体に効いているのかも」という気分になったりしていましたが、最初から最後まで気持ちがいいばかりなのに、身体のコリがすっかり取れて、リフレッシュできている自分に、新鮮な驚きを感じてしまいました。

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「お灸や鍼もきつめのほうが好きな方もいらっしゃいますし、そういう方にとってはそれが『気持ちいい』わけですから、強めにするときもあります。でも『強いから効く』というものでもないんですよ。気持ちいいとうれしいし、その『気持ちいい』の先に健康があるなら、そんないいことはないですよね」

にっこり穏やかに語る福田さん。古くからある健康法は、ある種の努力や精神論と結びつけて語られるイメージが強いと思いがちだった私。そんな私のちょっぴり頑なな健康観に、古き良きお灸の世界が、新しい風を吹かせてくれた新鮮なひとときでした。


photo:砂原 文 text:田中のり子

 

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食とセラピー ていねいに、
東京都杉並区西荻南1-18-11

TEL:090-3452-3354
営業時間:【食】火18:00~21:00(LO)、水~金9:00~14:00(LO)、18:00~21:00(LO)、土・日12:00~16:00(LO) 【セラピー】10:00~21:00
定休日:月曜 
http://teineini.com/

Profile

福田倫和

Tomokazu Fukuda

会社員を経て、2006年東洋鍼灸専門学校卒業、2006~2011年長野の「穂高養生園」にて勤務。地域の方々の健康と暮らしをサポートしたいという思いから、生まれ育った東京・西荻窪にて2012年「食とセラピー ていねいに、」をスタートする。趣味は温泉と合気道。

田中のり子

noriko tanaka

衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』(エクスナレッジ)が好評発売中。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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