美しく健康的な爪を目指そう! Vol.1

からだ修行
2017.12.04

今月の先生:三浦陽子さん(ミウラネイルクリニック)


冬になり、乾燥する季節になると「爪が割れやすくなってきた」と感じる方も多いのでは? よく言われていることですが、爪は健康のバロメーター的存在。爪を美しくすることは、どうやら健康にもつながっているようなのです。

photo:砂原 文 text:田中のり子


仕事の帰り道、電車の手すりを持つ自分の手を見て、そのやつれ具合にぎょっとしてしまうことがありました。「そういえば最後にネイルをきちんと塗ったのはいつだろう?」「爪もかさかさでツヤがないな~」。料理関係の仕事も多いから、毎日水まわりの家事をしているから……そんな言い訳をしながら、手のお手入れをさぼって早ウン年。パチンパチンと爪切りで深爪気味に爪を切り、ぱっぱとハンドクリームを塗るくらい。最近は加齢のせいか、何だか爪が割れやすくなっているような気も……?

キラキラと輝くネイルサロンの門をたたくのは気が引けて、さりとて自分の爪の手入れがこのままでいいのだろうか? と思っていたところ、知り合いから「爪の健康そのものを考えていろいろ教えてくれる、素敵なサロンがあるのよ~」と教わり、恐る恐るアポイントを取ってみたのが今回の先生、「ミウラネイルクリニック」の三浦陽子さんです。

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この三浦さん、取材開始のご挨拶をした直後、「ちょっと見せてくださいね」と手を取ったとたん、話すよりも先にヤスリを取り出して黙々と私の爪のお手入れを始めてくださり……「トラブルのある爪を見かけると、ケアせずにはいられない」という、根っからの爪ケア人。そして話を聞けば聞くほど、ネイルサロン界の偉大なパイオニアであるのです。

「25歳のときにワーキングホリデー制度を利用し、オーストラリアのシドニーに滞在したことがありました。日系企業で週2日ほど働きながら、いろんなお店を見てまわったんですけど、そのときにネイルサロンを見かけて、『わあ、いいなあ』『日本にもこんなお店があればいいのに』と、強い印象が残ったんです」

帰国し、店舗デザインの仕事をしながら、ネイルサロンのプランを温めていた三浦さん。大阪のとある企業が、新規事業育成のための企画を募集しているところに応募したら、見事に合格。事業立ち上げのためのネイル技術をネイルスクール通学後に取得し、本場であるアメリカ視察の資金なども確保しつつ、第一歩となるお店を京都にオープンさせたのです。

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今から30年前の日本でも、ネイルサロンはあったものの、ひとたび席に座ればウン万円の世界。ネイルはゴージャスであればあるほどよくて、お客さまは芸能人や裕福な女性など、非常に限られた存在でした。けれども三浦さんが考えていたのは、もっと誰もが気軽に立ち寄れて、短時間でもリフレッシュできるような場所

「フラッと入ってちょっと爪を磨いたり、好きなネイルカラーを塗ったり。手先がきれいになると、女性は気持ちがぱっと明るくなるんですよね。足の疲れも癒されて、おしゃべりも楽しめて……例えるなら働く男性たちが、バーに入って一杯飲みながら、バーテンさんと話してリフレッシュしてさっと帰るみたいなイメージ。それが女性なら、ネイルケアができる場所はどうだろう。私がシドニーで見たお店も、そんな雰囲気だったんです」

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三浦さんの考えたプランは、まさにネイルサロンの大衆化的発想。普通の女性たちに、気軽に爪のケアをしてもらいたい……その考えは多くの女性に受け入れられ、翌年には日本で初めて、ネイルサロンが百貨店に出店するという快挙も成し遂げます。お店はその後5年間で5店舗を展開。さらには数倍もの店舗を出す打診をされるまでになったと言います。

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けれども三浦さんがしたかったのは、あくまでお客さまひとりひとりとじっくり向かい合う、質の高いサービスでした。三浦さんは会社を辞めて東京に戻り、大好きだった街・吉祥寺の美容院に間借りという形で自らのサロンをスタートさせます。「その頃がいちばん大変でしたね~」と、にこやかに笑う三浦さんですが、さすが爪の神さま(?)に愛された女性、その後も順調に仕事が進み、今では東京・吉祥寺内に3店舗を構える盛況ぶり。当時からのお客さまで、現在も通い続けている方も多いということから、その愛されぶりが伺えます。

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さて、そんな三浦さんがなぜ店名に「クリニック」の名を掲げ、爪の健康に注目するようになったかというと、曰く「爪そのものが健康でないと、どんなに発色のいいポリッシュ(マニキュア)やジェルネイルを塗っても美しくないから」。


「よく言われていることですが、爪は健康のバロメーター。病気の方は、やはり爪がくすみますし、健康になるときれいになる。病気ならもちろん病院に行くべきですが、病院に行くほどでもないちょっとした不調などで、手足の爪をきれいにしてあげることで、どんどん元気になっていくお客さまを、今まで本当にたくさん見てきました」

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東洋医学では、手足の爪は「気」の出入り口。この場所をきれいにしておくと「いい気」が入る。逆にお手入れをおこたると、「悪い気」がたまったままになる……と、三浦さん。科学的根拠はともかくとして、確かに自分をかえりみても、手足の先までケアする意識があるときは気持ちが前向きで体調もよく、逆におろそかになっているときは、心身のバランスが崩れがちかもしれません。欧米のトップビジネスマンたちも、爪の手入れは欠かさないと言いますし、細部にまで意識を入れて手入れすると、運気にも関わってくるような気がします。


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ミウラネイルクリニック 井の頭通り店

東京都武蔵野市吉祥寺本町3-4-9
TEL:0422-28-0339
営業時間:11:00~20:00
定休日:月曜
http://miuranail.jp/
ナチュラルネイルケア(手首下マッサージ+爪形&表面+甘皮まわり)¥3500、+¥500でピーリング付、+¥1500でカラーリング付き。その他ハンドトリートメント¥2500、ネイルケア、カラーリング、トリートメントのフルセット¥6500など(すべて税別)。

Profile

三浦陽子

Yoko Miura

東京生まれ。都内の語学学校を卒業後、在日タイ国大使館商務部に勤務。ワーキングホリデービザを取得し、オーストラリア・シドニーで働く。帰国後、数社の店舗企画会社勤務を経て、ネイルサロン事業の立ち上げに携わる。1992年に「ミウラネイルクリニック」をオープン。

田中のり子

Noriko Tanaka

衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』(エクスナレッジ)が好評発売中。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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