「今日のひとしな」番外編! ‟大岡山クリエイターストリート” vol.1

今日のひとしな
2020.05.20

~ 「岡の」より vol.20 ~

当店の「岡の」という店名は、片岡という自分の名字と、住まいと店舗のある大岡山というこの地名から、『岡』の字を一つもらって名付けています。愛すべき街、大岡山。

大岡山の魅力。一つは美味しいパンの名店が駅周辺だけで5店。パン好きにはたまらない、聖地とも呼べる街です。そしてもうひとつ、私にとっても励みとなっているのは物づくりをする人たちのお店があること。個性的な店主とセンスある品々。

今日はその中の一軒、レザークラフト「GARRET WORKS(ギャレットワークス)」佐藤寛(ゆたか)さんのお店をご紹介します。
 
 
大岡山駅を背にして右手。駅前から伸びる賑やかな商店街に並行しているもう一本の通りが、私のお店がある‟北本通り商店街”です。商店街といっても、今は住宅が多くなり、商店が連なる通りではないのですが、メインの商店街はチェーン店が多いのに比べ、こちらには個人で営われている、個性的で根強いファンを持つお店が集まっています。

名付けて‟大岡山クリエイターストリート”。

「GARRET WORKS」は、この通りを駅から8分ほど歩いた先にあります。早速ですが、佐藤さんに作って頂いて最近愛用しているバッグをご紹介。
 
馬革で製作(ベルトは牛革)フルオーダーのもの 40,000円+税
 
は、ものは使えなくなるまで使い切るタイプです。10年、20年と使いたいので、バッグ選びはいつも真剣。このバッグの前に愛用していたものは、10年以上使っていた山羊革のものだったのですが、味が出過ぎてとうとう底に穴が開いてしまったのと、いつも使っている手帳がこのバッグには入り切らず、もう少し大きいものが欲しかったのです。

機能的なポケットや仕切りがたくさんあるものより、‟雰囲気があるもの”、‟使っていくほどよい色合いになるもの”。そこが私のバッグ選びのポイントです。
 
佐藤さんはとにかくかっこいい。アウトロー(失礼!)的な雰囲気を持ちながら、洗練されたファッション。身につけている小物もどれもかっこいい。こんな方であれば、きっとよいものを作ってくれるはず。ざっくりと好きな革の雰囲気や色味を伝えただけなのに、好みの雰囲気そのままのものを完成させてくれました。肩が凝るから重いのはちょっと、という一言も覚えていて、軽い馬の革で製作。ジッパー部分は1940年代のミリタリーの製品を使っているという細部へのこだわり。

佐藤さんが作るものには、独特の雰囲気があります。クラフトでありながら、ファッションブランドのような、身に着けて絵になるかっこよさがあるのです。ラフさと洗練さを持ち合わせている人。一体、どんな背景を持つ人なのか知りたくなりました。
 
佐藤さんのおしゃれな雰囲気は、聞いて納得、元々はパリコレ常連のアパレルブランドで仕事をされていたのだそう。販売から企画まで、そしてパリコレシーズンには現地に行き、デザイナーや作り手と多くの時間を過ごしたのだとか。世界で活躍するデザイナーのエッセンス。一流のデザイナーや職人との、服作りに対するエネルギーや深い洞察に直に触れる経験。その仕事にやりがいを感じつつも、年を重ねるにつれ一つの問いかけを自分にするようになったそうです。

「いい服を着ているからといって、自分がかっこいいわけじゃない。自分には何が出来るだろう」

いい服を着て、自分が憧れの人に近づけると思うほど、甘い人間ではな
い……。一流のものに触れたからこその、自分への問いかけ。その後、20年以上の経験を積んだ仕事を44歳で辞め、少しずつ作り始めていたレザークラフトを仕事にすることを選びました。
 
佐藤さんの作るものはアンティークの要素がどこかに入ります。
 
「時代を経た美しいものには敵わない」

アパレルブランドで働いている時から古着が好きなのも、アンティークのボタンを集めているのも、時代を超えて残るものの美しさをよく理解しているから。服でなく、革という素材を選んだのもその思いがあるからかもしれません。

経年変化を楽しむ小物たち。完成した時よりも、美しくなるものたち。


パソコンケース 
留め具は1800年代のフランスのアンティークボタン。使うほどによい色合いになること間違いなし。 
 

iphoneケース
使うほどによい色合いに。大人の愉しみ。知的な香りがします。
 
クラフトマンのための)エプロン
これぞ、憧れのひとしな!  胸元のペンを一本挿すポケットなど、シンプルでありながら、おしゃれな香りがします。こちらはジュエリーデザイナーが着用しているもの。
 
佐藤さんは引きこもるタイプの職人ではありません。面白い人に自らアプローチし、作ったものを通して自分の世界を広げていくような人です。実は、「GARRET WORKS」は夜になるとバーをやっているのですが、クリエイターたちや情報を発信する側の人たち、地元の人たちが集まるコミニティーになっています。


 
バーのカウンターに気になるガラスのライトがありました。作り手は大岡山在住のステンドグラス「Enoch &(イーノック アンド)」の作家・鈴木友貴さんです。照明を落とした店内で美しい光と影を作る作品。佐藤さんが早速紹介してくれました。


照明やキャンドルホルダーなど、美しい影と優しい光。鈴木さんの穏やかな人柄そのままの、心を優しく包む作品です。ホームページ
を教えて頂いたので、ぜひ覗いてみてください。
 
「GARRET WORKS」というお店、そして佐藤さんの人柄があってこそ、街に住んでいる作り手とこうして知り合うことができます。ゆるやかな街のつながりが生まれる場所。
 
佐藤さんのお店にはアパレル時代の知り合いもよく訪ねて来るそうで、ファッションやクラフト、個性的なお客さん同志の交流があるそうです。「こんな服があったらいいよね」「こんなバッグ作れない?」。お酒を飲みながらリラックスした会話の中で、物づくりのアイディアが浮かぶことも多いそう。

大岡山に、クリエイターたちが集まりつつあります。
 
 
 
「GARRET WORKS」 
 縫い針をモチーフにしたshopのロゴ。デザイナーのお客様に作っていただいたそう。

1-67-7 Kitasenzoku Ota-ku Tokyo Japan
Open 14:00〜Close 24:00
Closed on every Sunday
https://garretworks.tumblr.com
インスタグラム garret_works
 

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岡の

東京都目黒区大岡山1-6-4
TEL:03-5726-9843
メールアドレス:okano.shop@icloud.com
営業日:金・土・日
営業時間:12〜19時
Instagram「@oka_no.oookayama

※感染症予防のため、しばらく休業とさせていただきます。
今後の営業についてはインスタグラムでお知らせをしますので、ご確認ください。
休業期間中もメールやインスタグラムでのお問い合わせは受付けております。

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