似合う一本が必ず見つかる! おしゃれさんも御用達のメガネ店「LOCAL(ローカル)」

おしゃれさんコーディネート
2020.05.20

【5日間特集】「アナベル」伊佐さんの、たまプラーザお店リレーvol.2


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今週の5日間特集でご紹介しているのは、本Web連載「おすすめ帖」でおなじみの「アナベル」伊佐洋平さんによる、ご近所で親交のある素敵なショップのご紹介。緊急事態宣言を受けて短縮営業をしているお店ばかりですが、オンラインショップなどの営業でも頑張っておられます。そこで「コロナに負けるな!」の気持ちを込めて5つのお店をWebを通して応援するこのコラム、ぜひご覧ください。

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photo:川本浩太 text:伊佐洋平

普段からたまプラーザで仲良くしている5件のお店をあらためて訪問し、オーナーさんたちにいろいろとお話を伺っています。今日は地元の頼れるメガネ屋さん、「LOCAL(ローカル)」のご紹介です。

ローカルさんはアナベルのおよそ1年半後、2013年10月に今の場所にオープンしました。当初からご自身の理想をしっかりと持ち、メガネの在り方についてよく話をしていたことを思い出しながら、あらためていろいろとお話を伺いました。

お店に入ると、大きなカウンター前に椅子が並び、お客様と対面でお話ができるようになっています。オーナー矢田さんの思いを象徴するスタイルです。

本や写真集と絵、レコード、そしてメガネがまるでひとつの心地良いBGMのように目に映る。昭和世代の表現でいくと、居心地のいい近所のお兄さんの家に寄った感じです。常連のお客様とはメガネの話はあまりしない(笑)というほどですから。

この人はきっとメガネ屋じゃなくても良かったんだろうな…と感じさせるほど幅広い人間味があり、実直で頼りがいのある存在です。ただし、クセもあります。こだわりのある店舗を続けるには重要な要素です。そんな彼に、メガネ屋になった理由を初めて聞いてみました。

大学を卒業して22歳の時、古着屋で働き始めたそうですが、なかなか経済的にはしんどくて、たまたま近くで募集していたメガネ屋の給料が少し高かったというのが、彼がメガネ屋になったきっかけでした。

そこから今のようになるとは、その時は思いもしていなかったそうですが、古着屋時代には味わったことのない、様々な思いが自身の中を巡り、今までと違った角度で「仕事」を考えるようになった時期だったそうです。

勤め始めた時、障がいを持った方がメガネを探しに来られたそうで、矢田さんが接客にあたったのですが、なかなか視力が出ず、検眼に2時間以上も掛かってしまったそうです。その際、自分ではどうにもならず、上司に相談したが、まったくどうにもならず。今思えば、メガネ店も自身も「力不足の一言に尽きる」だったそうですが、その時そのお客様が、それでも「ありがとう。」と言ってくださったことに、どうにもたまらない気持ちが込み上げてきたと言います。「2時間も頑張ってくれてありがとう」という気持ちだったそうですが、そのことがあって以来、仕事へのモチベーションが格段に変わったそうです。

技術のなさを痛感した矢田さんは、ある人物に教えを乞います。2年ほどの短期間で、かなりの厳しい指導にもなんとか食らいつき、同期で入社した周りがまったくいなくなる中、一通りの技術を習得するまでになったそうです。なので彼は、日本で発行される「眼鏡技師」の資格は当然のこと、それ以上の知識や技術を持ち合わせています。

何度も訪れている店内のカウンター越しに見えるこれらの工具。あまりにもたくさんぶら下がっているので、飾りかな?って思っていましたが実はそうではないようです。

メガネはすごく繊細な道具で、その小さなビスの扱い一つ一つに専用工具が存在するとのこと。ここに出しているのはよく使うもので、これでも一部だそうです。

メガネの接客、検眼、修理や調整などのアフターケアをすべて一人で賄う彼に、以前にも聞いたことはあるのですが、ファッションとメガネの関係について聞いてみると、変わらぬ軽快な答えが返ってきた。

「洋服と同じ感覚で選んでほしい」。接客するうえで心掛けているのは、その方の装いや雰囲気に合っているかどうか。第三者である矢田さんの印象が反映されることで、その方にとって新鮮でかつ、よく似合うメガネを選んでもらえたらと、考えているようです。

メガネのセレクトにも自身の哲学が反映されており、いわゆる流行りものだと判断したものは置かない、かといってメガネにもトレンドはある。そのトレンドの波は洋服よりもなだらかで、10年くらいの周期で変化していくそうですが、矢田さんのおすすめは、3年程度で1本増やすこと。メガネの持ちも良くなるし、ファッションとのズレも解消される。そして大事なのは、5~6年でメガネが古臭く見えないこと。そして、10年経ってもメガネをケアできるようにするためには、メーカーに存続してもらわないと困るという。特殊なパーツがなければできない修理もあるからだ。だから矢田さんの基準で「なくならなそうなメーカーのもの」というのも重要なセレクトの基準だそうだ。自分で販売したメガネはできる限り自分の手で面倒を見続けたいと。

最後に、「どんなメガネ屋でありたいですか?」というシンプルで難しい質問に、独り言が聞こえてきた。「万人受けは無理だな~」「やっぱりオーセンティックな質感のメガネを売りたいな~」「老眼鏡は派手なほうがいいんだよな~」「マイルスデイビスとかモンクがかけてるメガネは、あの人たちがかけるからかっこいいんだよな~」などなど。

一通りぼやいた後に、このように言いました。「今の子どもたちが大人になった時に、一人前になったから『ローカル』で眼鏡を作ろうかな。そう思ってもらえるメガネ屋になりたいな。その人がそのうちに自分の子どもを連れて来るようになって、その子もまたそう思って大人になってからやってきて…そんなメガネ屋がいいな」

→vol.4に続きます

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LOCAL(ローカル)

横浜市青葉区美しが丘1-10-8 第1ミナモトビル1F
https://local-optical.com/
Instagram:@localoptical 

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