第4回 冬に恋しくなる!人気のベルギー料理「チキンのクリーム煮のパイ詰め」

栗山さんのベルギーおいしいもの通信
2021.01.20

こんにちは、料理家の栗山真由美です。新型コロナウィルスの出現によって、自宅で過ごす時間が増えた方がほとんどではないでしょうか? そこで今回は、少し時間がとれるからこそ挑戦できる、おもてなしにも普段のごはんメニューとしても人気のベルギー料理をご紹介します。

Vol-Au-Vent (ヴォル・オ・ヴォン)。日本語で説明すると、「チキンのクリーム煮のパイ詰め」になります。フランスが発祥で、ベルギーに伝わりました。Vol-Au-Ventはフランス語で“風に吹かれて”という意味で、その食感の軽さを表しており、発祥のフランスでは前菜や軽食に食べられているそうです。

一方、ベルギーではほとんどのレストランで見られる、一般的なメインディッシュです。レストランメニューの定番であり、1年じゅう食べられている人気メニューです。伝統的なビアカフェでベルギービールとともにいただけば、ベルギー人気分になれるかも? 通常、フリッツ(フライドポテト)かマッシュポテトなどが添えられます。


私がバイブルにしている料理書の伝統的なレシピは、丸鶏を使った6〜8人分でした。うちは小家族なので迷いましたが、基本を押さえたいことと夫の大好物ということもあり、本の通りの分量で試しました。あとでアレンジするにしても、基本を押さえていないとできないですものね。


ベルギー人は魚も食べますが、基本的には断然肉食です。なかでも、鶏肉愛は相当強いように思います。丸鶏もいつでも普通に売っていて、内臓の処理などはされています。まずは下ごしらえをして、丸ごとレモンを詰めて、香味野菜とともに茹でます。私は野菜を刻みましたが、丸ごとでも良いようです。


50分ほど茹でたら濾して、鶏肉とスープに分けます。鶏肉は骨から身をはずして、食べやすい大きさにほぐし…と、この間お見せしたい工程はあるのですが、結構な衝撃映像でして(笑)、割愛させていただきます。

ホワイトソースを作り、ほぐした鶏肉とバターで炒めたマッシュルームを合わせます。このチキンのクリーム煮、温めるだけで使えるびん詰めになって売ってもいます。この料理がいかに定着したものか、わかりますね。


そして、この料理になくてはならないパイ、現地ではvidé(ペイストリーケース)と呼ばれています。料理書にはvidéから手作りする方法も載っていましたが、作る人はまれです。というのも、手軽に買えるのです。

写真はスーパー内で、4個が1パックになっているもの。こちらが最も一般的です。値段はいろいろで、4個パックが3〜5€ぐらい、デリコーナーで1個単位で買える場合もあって、1個0.7€など。ベーカリーでも作っていて、1個1.5€くらいからあります。


この料理、1年じゅう食べられると前述しましたが、それでも最もふさわしい季節は冬だと思います。ベルギーは秋の期間がとても短く、急に寒くなってあっという間に冬になる印象。いったん始まった冬はとても長く、温かい料理が特に恋しくなる頃、一斉にこのvidéが店頭に並ぶのです。

vidéは真ん中部分のふちにナイフを入れて取り出します。本体と一緒にオーブンで温めます。


結構な道のりですが、お皿にvidéをのせ、温めたチキンのクリーム煮を盛り、パセリなどを散らしたらでき上がりです。クリーム煮はvidéのくぼみに入れるのはもちろん、あふれるほど盛るのがベルギー流。vidéから切り取った真ん中部分も、忘れずにのせます。

オプションとしてお伝えしたいのは、小さなミートボールや、牛や羊の臓物をクリーム煮に加える場合もあるということ。お店で食べると必ず入っています。私はそれらを除いて作りました。


1人1つが普通ですが、夫は好物ですし、2つ食べます。日本人的には十分に感じましたが、最初の写真にあるように、フリッツを添えるのがベルギー流。クリーム煮は全体量の半分ぐらい残りました。これを保存袋に入れて冷凍保存しました。またいつでもVol-Au-Ventが食べられると思うと、うれしいストックです。

今回、基本に忠実に丸鶏で作りましたが、うちのような小家族の場合、骨つきもも肉などで代用しても問題ないと思いました。また、油分・カロリーを抑えたい方は、皮を除いたむねやもも肉でも。鶏肉をゆでた後のスープも使うので、若干の味の違いは出ると思いますが、最終的にはクリーム煮になるので、滑らかでクリーミーな仕上がりです。
今後もベルギーの家庭で作れる定番料理は、どんどんご紹介していきたいと思っています。

さて、今回の最後の写真。私のプロフィール写真の背後に写っているビルなのですが、何だかわかりますか? 

これはかつてアントワープ港だった再開発地区“アイランチェ”に、2011年にできた美術館MASです。民族学博物館やステーン海洋博物館から移設してきたコレクションを常設、季節ごとに興味深い企画展も行われます。昨年の春までは日本を題材にした「COOL JAPAN」が行われていました。周りのドックには船が停泊、アントワープの新たなスポットとして注目の場所です。

 

*写真の無断転載はご遠慮ください*

【栗山さんのベルギーおいしいもの通信③】はこちら

 

Profile

栗山真由美
Mayumi Kuriyama


料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/  Instagram  mamicastanha

 

 

 

 

 

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