第7回 日本のものとそっくり!?なかぶで作る、ベルギー流「ごちそうポトフ」
こんにちは、料理家の栗山真由美です。
ベルギーの今年の冬は、20年ぶりの大雪だったようです。氷点下の気温が1週間続き、氷湖でスケートを楽しめるエリアもあったようです。しかし、その1週間後には20℃近い気温になるなど、目まぐるしさを感じています。
私がここベルギーのアントワープに移住して、3月末で丸2年となります。なんといっても楽しみは、ベルギーの食文化を探るべく、いろいろトライすること。新型コロナウイルスへの対策で、外食ができないのは残念ですが、できる範囲で楽しんでいます。
とりわけ興味があるのは、こちらならではの野菜ですが、逆に、日本となんら変わらない野菜もたくさんあります。その1つ、かぶを使った定番料理に今回は挑戦しました。
かぶはオランダ語でRaap といい、形状も日本と同じです。白くて、葉元あたりが紫がかっているものが多いですが、実自体が黄色やオレンジのものもあります。
スーパーで日本と似たような束で売っている場合もあれば、ビオスーパーでは1個ずつのグラム売りで、大きさもさまざまです。平均して日本のかぶより大きめで、皮も厚い。加熱して食べるには同じようですが、生の食感は大きく違います。
例えば、薄切りに塩をした場合、日本のかぶはしんなりして食感もなめらかですよね。こちらのかぶは、しんなりしません。元々の水分含有量が少ないと思います。そのかぶ(Raap)の旬はやはり冬で、これが不可欠の料理、HUTSEPOTを作りました。
さて、煮始めです。牛の骨髄でスープを取っていきますが、骨髄は普通のスーパーの肉売り場に置いてあります。やはりよく使うのでしょうね。ベルギーでは魚の種類が少なくて困ることは多いのですが、肉とそれに付随するものに関してはすごく充実しています。
野菜が数種類入るので、時間差で加えたり、別鍋で茹でたりします。私は蒸籠で蒸しました。
白いのがRaapで、皮が紫の部分がきれいなので、皮を全部むかずに少し残して試してみましたが、蒸し上がりはやっぱり色があせてしまいました。
全ての材料を最後に同じ鍋で煮て、でき上がりです。ベルギー版ポトフですね。アイルランドで習った、アイリッシュシチューにも似た雰囲気です。
好みでマスタードを添えていただきます。
牛肉の出汁がやわらかくしみ込んだ野菜たちは、本当に美味です。優しい味なので、たくさん作って、味を変えながら楽しむのも良いと思います。食べるときには、好みでマスタードを添えます。フランス寄りの内陸部にDurbuyという、日本人にも人気のある街があるのですが、私はそこで買ってきたマスタードを愛用しています。
地方ごとの特色も、いずれはお伝えしていきたいと思っています。アントワープは、公用語がオランダ語のフランダース地区。フランス語圏は食も雰囲気も大きく違い、とっても興味深いのです。
以下、最後の写真です。いつもは1枚ですが、今回使った野菜にも関連するので、2枚ご紹介させてください。ベルギーでおいしい野菜を買うなら、週末のマーケットもおすすめですが、私のいちばんのお気に入りは農園ショップです。
東フランダースの方に足を伸ばすと、広大な畑の中にポツーンと家があって、文字通りそこで育てた野菜を直売しているお店があります。正真正銘のとれたて野菜なので、味も鮮度も格別なのです。春になるといちばんの看板商品、いちごが登場します。今年も楽しみにしています。
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Profile
栗山真由美
Mayumi Kuriyama
料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/ Instagram mamicastanha
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