【フランスのパンと粉もののお話④】〜ブレッツェル、クグロフ、シュトレン…アルザス地方の粉ものいろいろ

池田愛実さんのフランス滞在記
2021.11.18

湘南でパン教室を主宰しています、池田愛実です。
フランスのパンと粉もののお話、第4回はフランス・アルザス地方の粉ものについてです。

アルザス地方はパリから新幹線で東に約2時間、ドイツと国境を接した地域です。フランス・ドイツ両国の文化が混ざり合い、パリとはまるで違った世界が広がります。

絵本の中のように色とりどりの木組みの家が並び、街の外にはブドウ畑が広がります。食べ物もドイツの影響を受けているため、フランスではアルザスでしか見られないものが多数存在します。

あのピエール・エルメさんもアルザス出身。お菓子屋さんのレベルが高いことでも知られています。私はそんなアルザスの景色や食文化が好きで、フランスに来た際は度々訪れている思い入れのある土地なのです。

フランスで働いていた年のクリスマスには、1人でアルザス地方のクリスマスマーケットを訪れたことも。屋台でヴァンショー(ホットワイン)を飲み、小さな村のクリスマスマーケットをバスで巡り、レストランでディナーを食べ…今思うと、なんとも寂しいクリスマスですが(笑)。

アルザス地方・ストラスブールのクリスマスマーケット

それではアルザスのおいしい粉ものについて、いくつかご紹介しますね。

〇ブレッツェル
アルザスに来たら絶対に外せないのがブレッツェル。発祥はドイツか、フランス・アルザスかは所説あるようです。街のパン屋さんはもちろん、クリスマスマーケットの屋台でも必ず見つけることができます。ブレッツェルを引っかける専用の木の棒に大量にぶら下がっている姿は、いかにこの地方でこのパンが愛されているかを感じさせます。
イーストで発酵させて岩塩をかけたタイプが主流で、ビールのおつまみに食べるのにぴったり。クリスマスマーケットでは甘いドーナツタイプや、珍しいチュロスのようなタイプを見つけることもできました。


クリスマスマーケットに並ぶブレッツェル。

甘いチュロスのようなブレッツェル。

〇クグロフ
アルザスを代表する発酵菓子といえば、クグロフです。卵とバターを使ったリッチな生地にレーズン入り。アルザス独特の陶器の型で焼いたかわいらしい形が特徴です。
この陶器の型はあちこちで売られていて、わが家にも大事に持ち帰ってきた小さな型が1つあり、見るたびにアルザスを思い出します。
写真は小さな町コルマールのパティスリー「GILG(ギルグ)」で買ったクグロフです。


「GILG(ギルグ)」ではクグロフのほか、クリスマスのクッキーやシュトレン、リンツァータルト(フランボワーズジャムのタルト)を購入。小さな町のお菓子屋さんでもアルザスの美しい地方菓子が並ぶあたり、レベルの高さを感じさせます。


ストラスブールの大聖堂の前で、朝ごはんに食べたパティスリーカフェのクグロフ。

〇シュトレン
近年日本で市民権を得ているシュトレン、実はフランスのお菓子屋さんでも、クリスマスに大々的に売られているのは、このアルザス地方くらいでした。主にお菓子屋さんでゲットできます。今や全国的なチェーン店でもシュトレンが売られている日本のほうが、メジャーな食べ物になってきているのかも?
写真はアルザスに3店舗を構える有名店「Thierry Mulhaupt(ティエリー・ミュロップ)」で購入したシュトレンです。


アルザスで人気のお菓子屋さん、「ティエリー・ミュロップ」の外観。


「ティエリー・ミュロップ」のシュトレンとパンデピス。

〇パンデピス
エピス (Épice)は、フランス語でスパイスの意味。たっぷりのスパイスとはちみつを入れたこの焼き菓子は、寒い季節にヴァンショー(ホットワイン)との相性はぴったり。
上の写真は、ひと口サイズにカットされたものです。アルザスにはパンデピス専門店や、博物館まで存在するんですよ。シュトレンとパンデピスは日持ちがするので、日本へのお土産にもぴったりです。

〇タルトフランベ
アルザスでランチを食べるなら名物「タルトフランベ」も忘れずに。薄く伸ばした生地に、クレームフレッシュと玉ねぎ、ベーコンをのせて焼いたピザのようなもの。1人1枚、ぺろりと食べられてしまうおいしさです。


タルトフランベとシュークルートは、どちらもアルザスの郷土料理。アルザスビールと合わせて、運河沿いで思いっきり観光客気分を味わうのが最高です。

いかがだったでしょうか。日本のパン屋さんに置いてあるものもあるので、ご存知のものも多かったのではないでしょうか。

実はこれらは大都会パリでも、アルザス専門店に行かなければなかなか売っているお店を見つけるのは難しいのです。

フランスは地方こそ真骨頂と言う人も多いですが、もしフランスに1週間行くことがあったら、アルザスに1泊してみるとまた違った食文化に触れられることは間違いないです。

フランスのパンと粉もののお話③〜フランス北部・ブルターニュ地方発祥のそば粉の「ガレット」】はこちら

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Profile

池田愛実

MANAMI IKEDA

1988年、神奈川県藤沢市生まれ。5歳と3歳の子ども2人のママ。 慶應義塾大学文学部で食育をテーマに学び、大学在学中にル・コルドン・ブルー代官山校パン科に通い始め、卒業後は同校のアシスタントを務める。26歳の時に渡仏し、現地のM.O.F.(フランス国家最優秀職人章)のブーランジェリー2軒で経験を積み、帰国後は都内レストランのパンのレシピ監修・製造・販売に携わる。2017年から地元・湘南でフランスパンと暮らす教室「crumb-クラム」を主宰。初心者から学べるフランスパンとフレンチ惣菜を教えている。著書に『こねずにできる ふんわりもちもちフォカッチャ』(家の光協会)、『レーズン酵母で作るプチパンとお菓子』(文化出版局)、『ストウブでパンを焼く』(誠文堂新光社)。
https://www.ikeda-manami.com/
Instagram:crumb.pain

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