第25回 日本でも人気の「菊芋」、ベルギーで見つけた意外な食べ方をご紹介！

こんにちは、料理家の栗山真由美です。
ベルギーの空、いちばん多いのはグレーだと思うのですが、3月はびっくりするほど晴れが多かった。しかし、太陽サンサンでも、気温は上がらないのですよね。

そして私はアントワープで暮らし始めて、丸3年となりました。あっという間でもあり、いろいろありすぎて、つまり内容の濃い3年間だったと改めて思います。

さて、今回は日本でも人気の菊芋を取り上げたいと思います。

菊芋はオランダ語でAardpeerと言います。冬から春が旬ですが、今年は出回るのが遅かったように思います。逆に長く楽しめているので、テーマにしました。

見た目はしょうがや里芋に似ている菊芋、ベルギーではどんな使い方をしてるかというと…。スーパーや八百屋さんで見ることは多いのですが、レストランなど外食で食べたことがない。ピュレにしてソースっぽく添えられていたことはあります。

主に使われるのは家庭で、オーブンでローストしたり、グラタンやスープにしてもおいしい。里芋のように煮ものにしたり、和食だと結構使えます。そうそう、ヘルシー食材なので、通常じゃがいもで作る料理に代用することも多いようです。

今回、今までにしてこなかった調理法で料理してみたいと思い、チャレンジしました。これがそれはそれはおいしくて、とっても気に入ったのでご紹介します。

題して「カリカリ菊芋とザクロのサラダ」。主材料は、菊芋とザクロとケール。写真は菊芋のスライスをオーブンで焼いた後、時間差でケールも入れて、加熱するところ。

ケールは昔の日本では、青汁以外で使われないイメージですが、ベルギーではオーガニック系の野菜売り場であれば、だいたい置いてあります。緑が濃くて歯応えがあって、いかにも体によさそう。この料理なら、ちりめんキャベツの外側の硬い葉でも代用できます。

ベルギーはベジタリアンやヴィーガンの人が多く、普通のレストランでもベジタリアンメニューの用意があるのが普通。ヘルシー志向のお店だと、サラダメニューの豊富さが売りだったりします。

そういうメニューを見ながら、いつも思ってました。「おいしいサラダは好きだけど、それをメインにはできない。たとえボリュームたっぷりのおかずサラダであっても。なにより体が冷えてしまう」と。

しかしながら、このサラダ、目から鱗でした。主役の菊芋はカリカリで香ばしく、ザクロのジューシーさとも好相性。ケールはつなぎにもアクセントにもなっています。ヘーゼルナッツを加え、メープルシロップを使ったドレッシングが思いがけないおいしさ！　このサラダだったら、主食にできる、食べ続けられると、我ながら大満足でした。

つけ合せ以外の菊芋の料理で、いちばんよく作っているのはかき揚げです。菊芋はデンプンが少ないせいか、カラッと上がり、これだとメインとして成立します。天つゆでもよし、カレー塩、山椒塩、抹茶塩などでも合います。

残ったかき揚げは、翌日、お蕎麦でいただきます。これも大好物。そう、ベトナムのフォーにのせても合いますよ。

とはいえ、私のまわりでは、素揚げにした菊芋チップがいちばん人気かもしれません。

菊芋は天然のインシュリンと言われる“イヌリン”という多糖類を多く含みます。“イヌリン”は血糖値を安定させる働きもあり、糖尿病などによいとされる食材。他の芋類と違って、デンプン含有量が低く、低カロリーでもあります。

また、カリウム含有量が多く、体内の塩分を排泄することで、高血圧に効果があります。成人病予防にも積極的に取り入れたいですね。

ザクロがあまりに美しかったので、最後の写真とさせていただきます。ザクロは、ベルギーでは案外メジャーなくだもの。大きめのスーパーだと、オレンジジュースの圧搾器がありますが、ザクロ用もあったりします。

ベルギーは移民の多い、多民族国家ですが、原産地のひとつでとてもポピュラーとされる中東をルーツとした人も多い。そういう影響もあるのだと思います。すっかり開眼したザクロも、もっと食卓に取り入れたいと思います。

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