第31回 見ためは薄いたこ焼き?味はベビーカステラ?オランダの定番おやつ「ポファチェス」について
こんにちは、料理家の栗山真由美です。
今年も日本の夏はとても暑かったようですね。気温もですが、湿気が辛いですよね。
ベルギーは、そもそも高温になることが少なく、湿気がないので夏は過ごしやすいです。昨年に続いて今年も冷夏傾向だと思いますが、地球温暖化の影響はあります。7月に観測史上初の39℃を記録した日があり、非常に暑かった。さらに驚いたのは、その翌日の気温が20℃も下回る18℃だったのです。体がついていかないのはもちろん、異常気象ですよね。
さて、今回はオランダの定番おやつ・ポファチェス(Poffertjes)をご紹介しようと思います。
私が初めてポファチェスに出会ったのは、十数年前のアムステルダムです。4月末で国民的お祭りの「クイーンズデー」が行われており、ポファチェス屋台が出ていたのです。見た目は薄いたこ焼き?味はベビーカステラとか餡なしの人形焼きのイメージです。その後、お花で有名なキューケンホフ公園や遊園地にも屋台がありました。
ベルギーでは、言語も同じでオランダの影響をより受けている国境寄りの北部・フランダース地方で同様に見かけ、定番のおやつとなっています。写真は、北海沿岸の遊園地内の屋台で焼いてもらっているところです。
このエッセイで以前ご紹介しましたように、ベルギーのおやつといえばワッフルとパンネククッケン。ポファチェスはその2つより、さらに簡単そうだなと常々思っていました。
そんなある日、キッチンの戸棚の奥にポファチェス焼き器を見つけました。なんと、夫が持っていたのです。聞けば、ベルギー家庭では持っている人が多いのだとか。鉄製でとっても重いです。
焼き器があれば作るのは簡単。俄然、作ってみたくなった私は早速挑戦しました。材料はお菓子用の小麦粉、牛乳、塩、ドライイーストだけです。混ぜた生地を1時間発酵させるので時間はかかりますが、いたって簡単です。
あとは、鉄板に油を薄く塗ってよく熱し、生地を流して焼くだけ。弱火で、両面1分ずつが目安です。
参考にしたレシピでは、「生地をくぼみの半分まで入れる」となっていました。が、くぼみが小さいので、半分だと本当に小さいでき上がりになります。生地を流すだけでもひと苦労で、一体何回これをくり返すのか?と1回目で思った私(根性ない)。
そして、同時にポファチェス焼き器とたこ焼き器は、ほぼ一緒だと気づきました。たこ焼き器のほうがくぼみが深いので、少なめに生地を入れれば同じように作れそう。
問題のたこ焼き器は…持っています。以前何かの撮影で買い、ほぼ新品の状態のものが。これも使ってダブルで焼いてみたら、俄然スピードも上がりました。
さて、ポファチェスが次々焼き上がりました。甘いもの大好きの夫は待ちきれません。先に食べてもらいました。基本の食べ方を教わりながら。まずは温かいうちに、バターを少量のせて溶かします。
そして、粉糖をたっぷりふりかけていただきます。
見ているだけでは、粉糖が多すぎると感じることが多かったのですが、生地には全く砂糖が入ってないのですね。思う存分ふったほうがいいです。
粉と砂糖がほとんどと思うと、少しヘルシーさをプラスしたくなるのは性でしょうか。ザクロトッピングのポファチェス、私用。
冒頭の写真もですが、業務用(プロ用)のポファチェス焼き器のくぼみは、家庭用に比べて大きいと思います。でき上がりも少し大きいですよね。
ポファチェスが定番おやつである証拠に、温めるだけで食べられる袋売りの商品もあります。しかもこれ、ベルギー資本のスーパーマーケット「Delhaize(デレーズ)」のオリジナルブランドです。オランダのお菓子ですが、ベルギーでも既に定番ですね。
最後に…
10月末から日本に帰国します!大切なお知らせもありますので、もしもよろしければ私のプロフィール欄にある、ブログ・インスタグラムをフォローしていただけると大変うれしいです。時期が来たら随時発表していきますので、よろしくお願いします。
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Profile
栗山真由美
料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
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Instagram: mamicastanha
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