大人のおしゃれアーカイブ 銀粉蝶さん Vol.1
1980年代初頭、劇作家・演出家で、夫の生田萬さんとともに劇団「ブリキの自発団」を設立。「最後のアングラ女優」と呼ばれた銀粉蝶さん。実はまわりの人たちの間で「私服がおしゃれ!」と評判です。昨年、私服コーディネートをまとめた『カンタン服でいくわ』という本も上梓されました。
今回「これが、今の気分なの」と選んでくださったコーディネートは、美しいシルエットのジャケットに、あえてジャージーパンツを合わせ、足元は「アグ」のモコモコとしたレオパード柄サンダル。真逆なものをミックスして、自分らしさを立ち上げるおしゃれテクはさすがです。なのに「私はこれよ! なんてスタイルはないの。いつも適当。決めすぎちゃうのは苦手」と銀さん。
上/ブローチが好きという銀さん。パールが好きで、右はずいぶん昔に買ったもの。愛らしい犬のブローチは今一番のお気に入り。どちらも古着屋さんで。 左下/ 娘さんの“おあがり”だというカモフラ柄スカートは、「ビームス ボーイ」のもの。 右下/「ビショップ」で買ったバッグは、軽くて持ち手が長く使いやすい。
親戚が映画館を営んでいたこともあり、小学生の頃から、浴びるように映画を見ていたそうです。さらに大の読書好き。
「授業中、教科書の下に本を隠して、ずっと小説を読んでいましたね。とにかく、知らない世界を知ることが楽しかったんです」
映画や小説の中に、まだ見ぬ世界が果てしなく広がっている……。それを紐解く時間は、ご自身への種まきでもあったよう。
高校生になると、ご両親と銀座辺りを歩くのが楽しみに。
「ふと立ち寄ったファッション専門店『鈴屋』で世界がバーンと弾けたんです。私の理想の服がそこに並んでいました。タグを見たら『レイカワクボ』。後の『コムデギャルソン』でした」
当時はまだ誰も知らなかったはずなのに「これ!」と捕まえるアンテナがすごい。それはきっと、銀さんが流行や評判といった「人のメガネ」をかけてものを見る人ではなかったから。どこが好きなのですか? と聞いてみました。
「流行っているものとはまったく違うところかな。なのに美しい。あくまで私の解釈ですけれど、『コムデギャルソン』ってガーリーだと思うんです。少女の持つイノセンスを表現している。そんな少女趣味と、マニッシュさが同居しているところが好きです」
短大時代に、知人に誘われて演劇を見にいき「脳天を割られるほどびっくりした」と銀さん。
「今までの自分がひっくり返されるようでした。芝居から離れられなくなったのはそこからです」
photo:古谷昭洋 hair & make-up:長谷川弘美(ESPER) text:一田憲子
もっと詳しい内容は、ただいま発売中の
『大人になったら、着たい服 2021 春夏』でご紹介しています。
ご覧になってみてくださいね。
Profile
銀粉蝶
1980年代初頭、劇作家・
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