～「berkarte」より vol.20 ～

胸元に漆黒のアクセントを。今日はフレンチジェットのバーブローチをご紹介したいと思います。

ジェットとは、古代の松や柏などの木が、長い年月と共に黒く化石化したものです。

19世紀後半に、エリザベス女王が喪に服した長い期間に身につけていた数少ないジュエリー（モーニングジュエリー）のひとつとされています。黒い装いに黒いジュエリー。その習わしが流行し、イギリス・ウィットビーで産出されるウィットビージェットが広く親しまれていったそうです。

国境を越えて、フランスにも輸出されるようになると、イギリスのようなモーニングジュエリーとしてというよりは、よりファッション性を兼ねたものが黒ガラス石で作られるようになり、フレンチジェットと呼ばれるように。

このブローチは、そのフレンチジェットで作られたものです。末広りのあるラフなカットの歪さがアンティークらしく、無骨な雰囲気。そこにどんぐりを模したデザインが相反して愛らしく、意外と普段使いしやすいデザインです。ジェット本来のものより艶やかに輝く、黒ガラス石ならではの魅力があります。

ピアスやイヤリングは耳元に、ネックレスは首元に……などとは異なり、装う場所に特定の制限のないブローチは、あちらこちらと‟お引越ししやすい”のも魅力のひとつ。

胸元はもちろん、帽子や、ストールクリップとして、その日の気分で使い分けできるのも楽しいアイテム。人とは違った個性を楽しんでもらいたいブローチの一つです。

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