「Honnete姉妹伴(オネットしまいはん)」…おすすめ帖vol.83

おしゃれさんコーディネート
2022.06.25


『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる「季節のおすすめ帖」連載コラムです。季節ごとのおすすめの品を月に2回、ご紹介しています。

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photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々

 

「Honnete(オネット)」のお取り扱いを始めて11年目、そして大好きな「Honnete(オネット)」を通してある取り組みをスタートして10年目となりました。ある取り組みとは? それが「姉妹伴(しまいはん)」です。アナベルをスタートさせて数ヶ月が経った頃、ある人物から電話がかかってきました。電話の主は東京・西荻窪の名店「poefu(ポエフ)」の柿本さんでした。アナベルオープンの際に、誰よりもたくさんの相談にのってもらった人であり、前職から数えるともう15年以上にもなるお付き合いの友人です。その時、彼が言ったのは、お互いに小さなお店を始めたからこそできる、大きな所帯にいてはなかなか出来ないことを一緒にやってみませんか?簡潔にお話しするとそういうことでした。そこで具体的な取り組みになったのが「Honnete(オネット)」のディレクションを手がける内田さん、「poefu(ポエフ)」の柿本さん、アナベルの私で、その2店に行かなければ手に入らないものを作ろうということでした。当時は英国のリバティ社の生地を用いて特注したお洋服を販売したり、国内の染色工場に自分たちが出した特別な色を販売したりと様々な特注を提案していました。

 

「姉妹伴(しまいはん)」って? たまに「姉妹店」だと思われることがありますが、そうではありません。姉妹伴とは、中国福建省、恵安地域に古くから伝わる文化慣習で、数名の女性たちが小さなころから本当の姉妹のように互いの家を行き来し、寝食を共にすることで、その絆は、本当の家族のように深く堅い絆だそうです。その文化慣習の名前を姉妹伴と言います。「poefu(ポエフ)」さんとの共同別注企画は、その文化慣習になぞらえて、姉妹伴と呼ぶことにしたのです。

 

さて、今年の「Honnete(オネット)」の姉妹伴は諸事情で入荷が遅くなりましたが、アイリッシュリネンを用いた素敵なお洋服を5色展開でご用意しました。しかもそのうち4色が新色という力の入れようです。ぜひ2店を行ったり来たりしながらお楽しみください。コーディネートの違いも楽しんでくださいね。今日こちらでは、そのうちの一つをご紹介します。

 

 

素材はいつもの心地よいアイリッシュリネンを使用しており、言うまでもなく今すぐに活躍する羽織アイテムです。

 

 

フロントにボタンが2つのシンプルなデザインですが、実は前端は肩口から真っ直ぐ下に下がり、フロントのうちあわせはないお洋服です。それをボタンで摘むことで、着用の際に面白いニュアンスを産んでいます。なおかつ、前端が重ならないことで、ボタンを留めずに羽織った際には、良い軽さを感じさせるのです。

 

 

しかも、お色は5色もある。みなさんに楽しく迷っていただこうと作った、2店合作の素敵な5色です。先に申し上げますが、我々はどれもおすすめです。だって他にあったたくさんのサンプルカラーから選んだのですから。

 

 

まずはアンティークグレージュ。その名の通り、よくみていただくと実はベージュ系です。濁ることなく、透明感のある、今までとは異なるグレー系は、まさにアンティーク感を纏った素敵なお色です。

 

 

全体にAラインのシルエットもいい。もう5年以上続けていますが、色褪せないデザインです。

 

 

二番目はロックソルト。渋みと華やかな女性らしさがしっかりと同居した赤身のベージュは、長年扱ってきたダスティーピンクの面影を感じる全くの新色です。色物でありながら、とても合わせやすく、顔うつりも良い色だと感じます。

 

 

ボタンを2つ、摘み上げるように留めていただくと、こんなニュアンスが生まれますよ。

 

 

三番目はクリアグリーンです。我々が作る別注カラーは、あらゆるところからサンプリングを試みます。時には家に転がっていた紙屑から、時には子供のおもちゃの「ここ!」のようなことをやっていきます。この色出しを行なっている最中は、頭の中がそのことでいっぱいで、目に入る全ての色に対してアイリッシュリネンに染色したところを想像します。そんなふうに出来上がったサンプルは小さな生地の一片ですから、正直実際のお洋服で上がってきたときにあらためて驚くこともしばしばです。

 

 

このクリアグリーンは、今回最も想像と異なりました。もちろん良い方に。

 

 

四番目はビリジアンです。私のビリジアンブームが生んだ色。青みか?緑みか?微妙なサンプリングをすることで出た、初の濃色グリーン系です。新鮮味を感じながら、決して奇抜ではない、着る人が扱いやすいグリーンになったと思っています。

 

 

最後は定番として数回登場しているアイアンネイビーです。その名の通り、かなり濃いネイビーは、時としてブラックのような引き締め効果も併せ持つ嬉しい定番カラーです。前端が肩口からまっすぐに下がるデザインが功をそうし、ワンピースやロングスカートに合わせても重く感じません。リネン素材ですので、袖捲りをしながら夏にも着用していただけます。

 

 

ワンピースが多い方にも、パンツが多い方にも、両方にお勧めできる羽織デザインです。

 

「Honnete姉妹伴」は「poefu(ポエフ)」の柿本さんからの声がけで始まり、あとはお客様からの支持で、お客様と一緒に作ってきた感覚の強い企画です。当然ながら、その愛情もひとしおです。10年経ってもお客様からたくさんのお声がけをいただくこの企画を初めて大々的に扱ってくださったのが2014年の「ナチュリラ夏号」でした。もう8年も前のことです。当時のナチュリラ夏号を見返すと、全く同じお洋服を全く違ったスタイリングで提案しています。まさにお洋服そのものではなく、スタイルが時代を象徴することを証明しているかのような、今となっては興味深い資料です。過去のナチュリラをお持ちの方は、ぜひ見返してみてくださいね。それはそれで、楽しいですよ。

 

Honnete ロングシャツカーデ ¥27,500(税込)

 

発売中の『ナチュリラ』2022春夏号でも伊佐さんが提案する着こなしをご紹介しています。本誌もぜひご覧になってみてくださいね!

 

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アナベル

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