価値観が変わった出来事と、‟BAGGAROO”のベストのデザインについて

今日のひとしな
2022.12.29

~「LIFETIME」より vol.29 ~

2011年3月11日の東日本大震災。多くの人の人生を変えた震災は、物理的な被害がなかった京都在住のわたしでさえ、価値観が変わった出来事です。震災がきっかけとなり、暮らし方(生き方)はもちろん、自己犠牲についても考え直すようになりました。

そして、その数年後にはじめたブランド「allinone(オールインワン)」初期の作品、‟BAGGAROO”に「自己犠牲について思うこと」をデザインの中に少しだけ落とし込みました。


(右が初期型 BAGGAROO⦅ベスト⦆、左が派生型 BAGGAROO imago⦅ジャケット⦆)

本日ご紹介するのは 「allinone」の‟BAGGAROO”(ベスト)と ‟BAGGAROO imago”(ジャケット)。

“きれいごともいっていられないこの競争社会において、
利己的な考えは必然なのかもしれない。
ただ一方で、自らの利益を犠牲にしてでも助け合うことが、
どれだけ大切なのかもわれわれは学んだ。
もう偽善者論争なんてどうでもいい…。
普段から少しくらいの不自由を抱えることを常としよう。
せめて、傍にいる大切な人のことくらいはね”

「自己犠牲をデザインに?」と思われるかもしれませんが、背面のポケットがまさにそれ。このデザインですと、ベストを身に付けた時に一人では機能しません。「傍にいる人のためのポケット」というわけです。


(コットン/ウール素材の BAGGAROO⦅ベスト⦆)

今はもう利他的であることが身に付いてきた(と思っている)ので、最近作っている‟BAGGAROO”から背面ポケットは強調することもない概念として、取り付けていません。


(2022 年に作った綿麻素材の BAGGAROO imago⦅ジャケット⦆)

何か衝撃的な出来事を期に、考え方や言動が180度変わることがありますよね。そんな姿勢は、時には周囲の人に首を傾げられたり、揶揄されたりするかもしれません。ただ、その変化を自己否定せず、成長と捉えるようにするほうが自分らしくいられます。

そんな想いもあって、ベストだった‟BAGGAROO”に、手が生えたようなジャケットというイメージで‟imago”を作りました。オタマジャクシからカエル、サナギから蝶のように。


“オタマジャクシに手足が生える。
さなぎは羽化し成虫になる。
水から陸へ、木から空へ、変態して異次元へと飛び出す。
人間にはその選択の自由がある。
しかし人はその変化を恐れてしまう。
あいつ変わったね、なんて言われることも成長の証”


物を作る時、多くの場合は機能性やデザインだけでなく、その奥底にあるテーマを大切にしています。余計なお世話かもしれないと、普段は語り過ぎないようにしていますが、せっかく連載のご依頼をいただいたので、チャンスとばかりに書き綴ってきました(笑)。

(BAGGAROO wool⦅ベスト⦆に DAY TRIPPER⦅コート⦆を羽織るとこんな感じに)

もちろん、袖を通すときは、この小難しい話は忘れてください(笑)。好きか嫌いか、衝動だけで選んでくださいね。

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