「藍を込めて、藍に染めて」…おすすめ帖 vol.96
『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる「季節のおすすめ帖」連載コラムです。季節ごとのおすすめの品を月に1回、ご紹介しています。
photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々
ここ数年のアナベルで、毎年この時期に提案してきたものの一つに、「blue in green(ブルーイングリーン)」の夏向きのパンツやワンピースがございます。しかし今年はご用意がありません。それは、アナベルでは初となる「blue in green(ブルーイングリーン)」の展示販売会をもうすぐ開催するからです。今日は「blue in green(ブルーイングリーン)」の老舗染色屋としての姿とともに、僕らが長年愛してやまない代表作のスタイリングを少しご紹介していきたいと思います。
「blue in green(ブルーイングリーン)」を展開するのは、岡山の児島で100年以上続く老舗の染色屋、「高城染工(たかしろせんこう)」の4代目・角南浩彦さんです。化学染料の反応染色から藍の天然染まで幅広く染色を学び、海外で身につけた服飾パターンの技術を活かし、家業である染色業と併せてオリジナルブランド、「blue in green(ブルーイングリーン)」を主宰しています。
皆様はインディゴといえばブルーを想像されるかと思うのですが、実際に染色の現場を覗いてみると、カメの中にある液体は、どちらかというとグリーンなのです。染め返して酸化を繰り返しながらお馴染みのブルーインディゴへと仕上がります。
一つのカメにはパンツだと5本ほどが同時に入り、濃色に染めるためには染色して引き上げてして色が出なくなるまで洗っては干して、また染めてという工程を何度も繰り返し行い、理想の色合いを求めるそうです。一回上げるたびにしっかり洗い落とすことで色移りしない綺麗なブルーが実現するそうですよ。
今日は展示販売会に向けて、アナベルでお取り扱いを始めた当初から続けているこちらのパンツをまずはご紹介したいと思います。その名も「ぶかぶかパンツ」。
確かにとってもぶかぶかです。とてつもなく大きなサルエルパンツの裾にゴムが入ったところを想像していただくと良いでしょう。こんなに太くてぶかぶかなのに、小柄で細身のお客様でもお気に入りで愛用してくださっている方はいらっしゃいますので、体型というよりもお好みでぜひトライしてみてはいかがでしょうか。
夏のブラウスをタックインしても素敵ですよ。ちょっと綺麗めに見せたい時は、ヒールを合わせても似合います。
裾にはゴムが入っていますので、こんな風に上に上げて、膝下まできたところで放すと…。
なんとなくバルーンスカートのような表情に変わります。
ロングバルーンスカートのような愛嬌のある表情は、コンパクトなトップスとの相性もよく、これが出来るおかげで、幅広いスタイリングの提案が実現しています。
「Honnete(オネット)」のアイリッシュリネンシリーズと「blue in green(ブルーイングリーン)」のボトムスを合わせたスタイリングはもうこの季節ではお馴染みです。今年はぜひ展示販売会で、たくさんの種類の中からお選びいただきたいと思います。
このスタイリングは実は上下ともに「blue in green(ブルーイングリーン)」です。パンツは妻の私物ですが、トップスのロングシャツジャケットはアナベルでお取り扱いをしている商品です。こちらは春先(3月〜5月)や秋口(9月〜10月)あたりにちょうどよく、今は少し時期を外した感はございますが、羽織にも使えるシャツ型ジャケットが素敵ですのでご紹介させていただきます。
まっさらなインディゴを堂々と白に重ねられる喜びが魅力です。そうなのです、先程も少し申し上げた通り、彼らのインディゴ染は色落ちするが、色移りはしないという特性を持っています。とても時間を掛けて染め上げることで実現されるため、ファッション業界の染色のお仕事はお受けしていないそうです。コストも全く合わないとのことでした。そんな贅沢なインディゴ染が唯一味わえるブランドが彼らのオリジナルブランドなのです。
来月の展示販売会では、「染め直し企画」も開催いたします。期間限定ですが、皆様がお持ちのお洋服で、インディゴ染にしてみたいものがございましたらぜひお持ち込みください。展示販売会に関する詳細はぜひ当店のホームページをご覧ください。
ぶかぶかパンツ:blue in green ¥25,300(税込)
ロングシャツジャケット:blue in green ¥33,000(税込)
さて、2016年の2月にこの「暮らしとおしゃれの編集室」がオープンして以来、長く担当させていただいたこの連載が今回を最後に、いったんお休みということになりました。いったい全部で何回書いたのか? 興味本位で数えてみると、なんと180回! 本誌の掲載も含めると10年のお付き合いとなる編集部の方々と長い間このコーナーをご覧いただいた読者の皆様には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!また特別な機会でお呼ばれした際には、よろしくお願いいたします!
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