頼もしいストール

〜「好日用品店／こうじつようひんてん」より　vol.9〜

数年前、北陸地方で大雪が降り、積雪で自宅&工房から出られないということがありました。数分で雪が積もり、雪かきをしてもしても追いつきません。北陸で生まれたのですが、はじめて雪が怖いと感じるほどでした。雪かきの合間の休憩はご飯を作る体力もなく、レンジでご飯を温め非常食用の缶詰やカップラーメンがとても助かりました。

何かをする体力が残っておらず「もう、降らないでー」と、この大判のストールを頭からかぶり、包まれるように身体を休めていました。樋口佳苗さんが織るストールは緊張した体も心もほぐしてあたためてくれます。おおげさに聞こえるかもしれませんが、気持ちがめげそうな時にこのストールが救ってくれました。

上質なウールやカシミアを用いてあたたかさで包み込むようなストール。新潟出身の樋口さんは現在、東京の自宅にある織り機で手織りをされています。以前、金沢市で制作されていたこともあり、その頃からのご縁です。巻いた時の軽さや包まれる感覚は、人が持っている優しさにとても似ています。人の手が作るぬくもり、愛情、優しさが伝わる織物。

出かける時には気持ちを高めてくれ、北陸の寒い冬に寄り添ってくれる頼もしいストールです。

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