【福田麻琴さん新連載】素敵な50代になるために、いま私ができること ~ vol.1 藍染のスカーフ

ナチュリラ
2024.03.15


『ナチュリラ』でのスタイリング提案でもおなじみ、人気スタイリスト・福田麻琴さんのコラム連載がスタートします! 現在45歳の福田さんが「素敵な50代を迎えるために」最近心がけていることとは? 日常のなかでのおしゃれや暮らしについての“ちょっとした気づき”をダイアリーのようにお届けします。


 

20代の頃から旅に出る度にスカーフを一枚買うことが習慣になっていました。どんなものを選ぶかというと……本当にその時々の気分でピンときたものなのですが、訪れた地でよく目にする色だったり、その国をイメージさせる絵柄だったり、単純にその時着ている服に合う雰囲気だったり。そうして各国で買い集めたスカーフを今改めてコーディネートしてみようと思ったら、結構難しくて。これってなんでなんだろうと考えてみたところ、あの頃イメージしていたスカーフ使いと、今の私がしたいスカーフ使いが違うからなんですよね。

若かりし私が憧れたスカーフは、コーディネートの一番のポイントとなるような“効かせ”アイテムとしてのスカーフで、今となってはちょっと懐かしい感じがしてしまうんです。言ってみれば「華やかで昭和」なかんじ?(笑)  年を重ねて、好きなもののベースは変わらないものの、昔よりずっとシンプルでカジュアルなコーディネートが軸となった今、必要なスカーフは“効かせ”ではなく“馴染ませ”だと気づいたんです。

ではでは馴染ませ色のスカーフを買えばいいじゃないの! と、気持ちを切り替えることもできるかもしれませんが、それまで集めてきた私の思い出はどこに行ってしまうのでしょう。あの国へ旅した思い出、よいことも嫌なことも全部スカーフに詰まってる。簡単にサヨナラなんてできない! この二度と使うことはなさそうな、とんでもなくカラフルなスカーフをなんとか馴染ませ色にできないものか!?

そこで藍染をしている友人を思い出したんです。スカーフを染めてみたいと話したら「もちろんOKだけど責任は取れないよ」と。もしかしたら無地の藍色になってしまって柄が上手く出ないかもとのこと。仕上がりは予測できないのでリスクを承知でね、と言われました。それなりに高価なスカーフだったので、一瞬ひるみましたが(笑) それでも諦めきれず、半ば無理やりにお願いをしました。藍染には前々から興味があったので、なんと自分で染めさせてもらうことにしたんです。

結果は……大成功! 柄もちゃんと残っていたし、美しいブルーに染まりました。ちょっとした閃きで、手放そうと思っていたスカーフが蘇ったのです! こちらがそのスカーフ。

自分で染色することで経験値も上がったし、素晴らしい時間を過ごすことができました。染めたばかりのときはもっと濃い藍色でしたが、今は経年変化してやさしい水色になってきました。青は一番好きな色なので、濃淡の変化も気に入っています。もっともっと淡くなったら、もしかしたらまた染め直すかもしれません。

私の大切な旅の思い出が詰まったド派手なスカーフは藍のブルーに生まれ変わり、今も私のクロゼットで唯一無二の存在感を放っています。何か大事なものがピンとこなくなった時、染めるというのはとてもいいアイデアだと思いますよ。大活躍している藍染スカーフ、私の使い方をいくつかご紹介します。

定番のボーダーシャツに大人のこなれ感を


白×紺とブルーのスカーフは高相性。これこそ“馴染ませ”のなせるワザ!

トレンチコートも春らしいさわやかさに


秋冬のイメージが強いトレンチコートもスカーフの差し色で春らしく。

白シャツにキリリとした女性らしさを添えて


オーセンティックな白シャツにほどよい女性らしさを醸してくれる。

かごバッグの小粋なアレンジ


かごバッグをすっぽりと包むアレンジは、中身の目隠しにもなって一石二鳥!

“バーキン”に私らしさをひとさじ


「憧れ貯金」を始めるきっかけとなった“バーキン”。特別な日ではなくデイリーに使ってこそ! と思い至ってからはカジュアルに持つように。ハンドルにスカーフを巻けば、より自分らしく身近に。

若い頃はマダムのアイテムだと思っていたスカーフが、こんなにも身近になるなんて。いつの間にかとても似合うようになっていたのは、年を重ねて得た経験によってつくられた“今の私”だからかもしれません。この出来事のようにさまざまなトライ&エラーを繰り返して素敵な50代を迎えられますように。そんな小さなチャレンジを毎月こちらでご紹介したいと思っています。私の日々の「ねえねえ! こんなことがあったよ!」という日記または手紙のように読んでいただけると嬉しいです。

写真と文/福田麻琴

 

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Profile

福田麻琴

ふくだ・まこと

1978年生まれ。フランス・パリ留学を経て培われたフレンチテイストに、ベーシックさと、そのときどきのニュアンスの両方をバランスよくを取り入れたスタイリングが人気。近著に『MY BASIC, MY ICONS 10年後も着たい服』(イースト・プレス)。IG「@makoto087

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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