「ナチュラルスタイルを考える」~おしゃれ暦vol.57水無月
『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる、季節のおしゃれエッセイ・第57回目です。ナチュラル(自然体)でリラックス(肩の力が抜けた)日常着を、という意味を込めてスタートした『ナチュリラ』でしたが「ナチュラルスタイル」のイメージが独り歩きしてしまったことも。大人がさりげなく素敵に見える装い、伊佐さんが考えるナチュラルスタイルとは、さてどんなものなのでしょう?
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photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々
みんな実は、作為的に見える、無作為なものに惹かれる。
アナベルの鏡の前に置いてある、まん丸な石を見て、
大勢の人がコメントしたり、少しなでたりする。
この石はまん丸で作り物の様に見えるが、拾ってきた自然のもの。
現在展示中のアクセサリー作家、小野さんが付けていたリングを見て、
かなりたくさんの人が、「あれは何?」って聞いてくる。
あれがあったら欲しいという人も何人かいた。
でも、僕は知っている。
少し雑な言い方をするならば、あれは小野さんが拾ってきた
昔のガラスのかけらだということを。
どちらも、人の手の加わっていない無作為なものにも関わらず、
どうやら作為的なものに見えるようだ。
人はおそらく、作為的か無作為かの判別がしがたい、
その中間的なものに魅力を感じるのだと思う。
少なくとも、僕はそうであり、洋服のスタイリングでは、
どうかしているのではないかと思われるくらい、それを気にしている。
つまり、その人に自然に馴染んでいるかどうか、
無理をしているように感じはしまいか?
それをすごく気にしている。
そして僕は、その人にとって、ちょっとだけ無理をするような洋服をお勧めしていきたい。
たくさん無理をすると、「いやいや私には無理」ってなるから。
でも少しずつ無理をすると、「絶対無理!」って思ってた洋服を1年後には笑顔で着ている可能性がある。
だから、ちょっとずつ無理をすることは重要なことだ。
シンプルな中に、少しだけアヴァンギャルドを入れてみる。
そして、モノを見るようにスタイリング全体を俯瞰(ふかん)で見る。
「ナチュラルかな?」って気にしてみる。
僕の思うナチュラルなファッションはそういうこと。
梅雨を前に、夏のワンツーコーデを思う頃、
まさにそんな無作為なナチュラルスタイルに憧れるのです。
コットンニット:charpentier de vaisseau ¥12,000+tax
スカート:ARTEPOVERA ¥17,000+tax
バッグ:MUUN ¥18,500+tax
シューズ:AUTTAA ¥41,714+tax
帽子:mature ha. for annabelle ¥18,000+tax
東急田園都市線たまプラーザ駅から徒歩5分
℡045-482-4026
営業時間:11:00~20:00 水曜定休
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