「ゴーシュ」…おすすめ帖vol.11

おしゃれさんコーディネート
2019.06.08


『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる「季節のおすすめ帖」連載コラムです。季節ごとのおすすめの品を月に2回、ご紹介しています。

 

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photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々

 

 

私が洋服業界で働くことを決意した2000年、彼らはすでにトップメゾンで10年ほどのキャリアを重ね、自らの感性に誘われるように、独立を果たしています。当時、「インディーズブランド」などと呼ばれ、販売されていたブランドの一つだったのだろうと思います。

 

 

 

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今日は、ゴーシュのご紹介をさせていただきます。もの静かで、ベーシックで、定番的。きっとそのような印象を持たれている人も多いブランドなのかもしれません。

 

 

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しかし、実際に彼らの作った洋服に触れ、話をするとわかります。ものすごく、情熱的で不器用で「服作りで最も大切に思っていることは?」という問いに対して、「まずワクワクすることが絶対に大切」「もちろん、自分たちも着る人たちも」ほとんど即答で返ってきました。

 

 

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ベーシックももちろん必要だけど、結果的に残るような存在であればいい。それより、いつも何かに刺激を受けて、洋服づくりを通して表現していたいと。

 

 

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このシャツも、「ゴーシュ」では定番的存在の顔とも言える存在なのかもしれませんが、2年ほど前のものより身幅が広く、着丈も長い。ちなみに、来シーズンの秋冬は逆にコンパクトになっている。それは、やはりその時の気分でしかない。服作りは、表現であるから、自身の気分に気がつくことが大切なのだという。

 

 

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私が「ゴーシュ」のお洋服を初めて目にしたのはいつだったか? 14年ほど前、出張で関西地方を回っている際に、取引先の店頭で目にしたのが初めてでした。その時初めて目にした「ゴーシュ」のお洋服がシャツとワンピースでした。

 

 

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ちょうどレディースで3年ほど経験して、洋服が嫌いになりかけて(笑)メンズ業界に転向して間もないころで、「ゴーシュ」のレディースのシャツを目にしたときには、正直震えが止まらないほど嬉しく、ドキドキしたことを覚えています。

 

 

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こんなに、素晴らしいレディースの洋服もあるものかと。素材感も良く、デザインもベーシックな中にひねりがあり、仕立てもいい。今まで自分が経験してきたレディースとはあまりにかけ離れていて、自分のなかで、レディースの日常着に意識の向く、大切な出会いとなりました。

 

 

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今回ご紹介するシャツもワンピースも同じ素材なのですが、こちらもシンプルに見えて、キャリアの長いデザイナーでも見たことがないというくらい、特殊な素材です。

 

 

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リネン×コットン素材なのですが、さわるとリネン特有の張り感や艶感はあまりなく、まるで高級なカディーコットンを触れているかのようなふんわりとした感触があります。

 

 

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糸を作ることを紡績といいますが、その方法も様々なのです。今回「ゴーシュ」が使用するリネン糸は、通常の紡績ではなく、紡毛という、いわゆるツイードのウールの糸などを紡ぐときに用いられる方法でリネンの糸を作ってあるそうです。

 

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そうすることで、リネン本来の張り感や艶が消える一方で、コットンとも違う、新しい触感が生まれるという。しかも糸は100番単糸というリネンとしては極細のもの。それは、それは、心地いい。

 

 

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常に斬新で、見たことのないプロダクトを心がけている「ゴーシュ」のお二人(ご夫婦)ではあるが、やはりその大前提として、着心地の良いものを作らなければなんの意味もないとわかっている。

 

 

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着心地が良いからこそ、SNSなどはもちろん、今時ホームページもなく、宣伝らしいことを一切せず、20年目をひた走っている。そこはとてもシンプルだが、着心地が良くリピートしてくれる方がいて、噂が噂を呼ぶことで、20年変わらないスタンスで続いている。

 

 

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このワンピースもとてもシンプルなのですが、シンプルな洋服を気分の上がる洋服に仕上げることがどれだけ難しいことかは言うまでもない。

 

 

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特徴をあらためて聞いてみたところ、「袖ぐり」「襟ぐり」がないことを挙げてくれた。厳密には襟ぐりは多少つけているのだが、袖ぐりは確かに真っすぐで何もしていない。究極にシンプルなプロダクトの中で、どれだけの美しさが表現できるのか。このワンピースに掛けた思いをそのように熱くお話ししてくれた。

 

 

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ゴーシュ(フランス語)=不器用な、左利きの

宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』に登場する主人公をみたときに、自身と重なる部分が大きかったそうだ。左利きで、とてつもなく不器用な自分がブランドを始めるとき、自然に浮かんだ名前なのかもしれません。

 

本当に美しいお洋服を生み出す彼らは、確かに物腰が柔らかく、物静かでベーシックを好むように感じられるのですが、しっかりとコレクション全体を見渡し、直接お話をすることで、その印象は少し変わってきます。触れられないほどに熱い芯を持ち、どんなに時代が変化しようともゆるがない、強烈な信念をもって、常にワクワクを探しています。それも強烈なほど不器用に……。知っている人も、知らない人も、「ゴーシュ」が作る一見シンプルなお洋服を少し違った面持ちで見ていただけますと幸いです。

 

 

丸首シャツ:ゴーシュ ¥22,000+tax

襟付きシャツ:ゴーシュ ¥23,000+tax

ワンピース:ゴーシュ ¥35,000+tax

 

 

 

 

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