寿福絹子さんが「武者返し43度」で作る絶品梅酒
〜「PETIT BONHEUR」より vol.09 〜
「青梅が手に入ったけん、梅酒ば作るよ!」絹子さんから連絡があったのは、梅雨の晴れ間の昼下がりのこと。絹子さんが作る梅酒は深みがあってとてもおいしいので、その秘密を探るべく、かねてから用意しておいたガラスジャーを抱えて、絹子さんに会いに行きました。
梅を洗って水気を拭きとる。爪楊枝など先が尖ったものでヘタを取り除く。梅のエキスが抽出しやすくなるようにフォークで青梅に穴をあける。4Lのガラスジャーに氷砂糖と青梅を交互に重ねていく。最後に「武者返し43度」を1本ゆっくりと注ぐ…。完成!
所要時間は30分足らず。「い、意外と普通の作り方ですね?」と拍子抜けする私に、絹子さんは、
「別になんも難しくなかとよ。大事かとは『武者返し43度』で作ることたい。ウチの焼酎はうまかし、度数が高かほうが梅の旨味ば引き出せるけんね」
私たちの店がある人吉・球磨地方は清流球磨川の恵みを受け、古くから米を原料にした「球磨焼酎」が盛んに造られています。絹子さんが代表をつとめる「寿福(じゅふく)酒造場」は私たちの店から最も近い焼酎蔵のひとつ。130年以上の歴史を持つこの蔵の4代目杜氏でもあります。そして私がひそかに憧れている素敵な女性。
球磨焼酎「武者返し」はこの蔵の代表銘柄です。現在は5代目杜氏を受け継いだ長男の良太さんが “常圧ひとすじの蔵”を一貫した手造りで守っています。
さて、ここでいう “常圧(じょうあつ)”とは、昔ながらの常圧蒸留法で造る焼酎のことです。しかし、球磨焼酎界隈では1980年ころから気圧を下げ沸点を低く蒸留、スッキリとした味わいに仕上げる減圧蒸留による焼酎 “減圧(げんあつ)”が人気を集めるようになりました。
「何度もね、減圧ば造ろうか悩んだばってん、やっぱ常圧がうまかとたい…」ということで「寿福酒造場」では”常圧”だけを作り続けました。
“常圧”は沸点が高いぶん、原材料に含まれるさまざまな成分が抽出されるのが特徴。だからこそ蔵の個性がハッキリ出ます。
「常圧の焼酎はクセの強かって言われるばってん、良か材料ば使えば良か成分が混ざりあって、うまか焼酎になるとよ」
そう「寿福酒造場」には全国に熱烈なファンがいて、遠くから蔵見学に来るお客さまが絶えないのです。
たしかに、材料がおいしければ、おいしいものができるのはあたりまえ。おいしい米とおいしい水で造ったおいしい焼酎を使えば、間違いなくおいしい梅酒ができるというわけです。
「ロックアイスで飲みなっせ」そう言って手渡された年季の入った梅酒は、深みがあって温かい味。喉をとおる瞬間カッと熱くなったあと、スーッと体に吸い込まれていくその味わいは、情熱的で包容力たっぷりの絹子さんそのものなのです。
ホワイトリカーの梅酒とはまた一味違う「武者返し43度」で作る贅沢な梅酒、この週末に作ってみてはいかがでしょう?
「寿福酒造場」のホームページでは全国の取扱酒店が紹介されています。オンラインストアでも購入可能です。
〜寿福絹子さんの絶品梅酒〜
準備するもの
・4Lのガラスジャー
・青梅 1kg
・氷砂糖 1kg(お好みで調節)
・武者返し43度 1.8L(一升瓶1本)
熊本県人吉市五日町26-1
TEL:0966-22-1236
営業時間:12:00-19:00
定休日:火曜
Website:https://petit-bonheur.com/
Online Shop:https://shop.petit-bonheur.com/
Instagram:@petitbonheur.inc
FILLING(フィリング)
熊本県人吉市九日町34-2
TEL:0966-32-8400
営業時間:10:00-18:00
定休日:不定休
Instagram:@filling11044
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