〜寒さに備える「厳冬」の献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.4レポート【後編】

食べる美容 料理教室
2024.12.28

健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート!耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。



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美容の土台として、健やかな心身は必要不可欠。そのためには、食を楽しみながら、体を作る食材の栄養を活かす料理法を身につけるのが実は近道。第4回目の献立は、代謝を上げるアプローチで、肌のうるおいを保持する発汗力を高め、乾燥によるくすみ感を防ぐことを目的に構成された4品です。


後編では、著書『食べる美容』にも掲載の「ほうれん草と八丁味噌のサラダ」と、「牡蠣と栗のアヒージョ」の調理の様子、そして茂田さんによる冷えや乾燥とくすみの関係についての皮膚科学的な解説の模様をお伝えします!

 

ほうれん草の八丁味噌サラダ



「肌がくすんで見えるのを防ぐには、肌の水分量と同時に血色感も重要な要素です。血色を良くするには鉄分の摂取も必須で、鉄分補給におすすめなのはほうれん草。今回のサラダは、ほうれん草を生のままアク抜きして使うので、栄養を逃さず摂ることができます」

ほうれん草は5分ほど水に晒してアクを抜き、大豆の水煮をプラス。さらにアミノ酸が豊富で抗酸化力も高い八丁味噌のドレッシングで合えることで、タンパク質のちょい足しもできるサラダに。



ドレッシングは、青唐辛子とにんにくを利かせて発汗を促すピリ辛味に。
にんにくは、太白ごま油を入れたフライパンを少し傾けながら、弱火でゆっくりフツフツと炒めて。にんにくが薄く色づいてきたら、刻んだ青唐辛子を加えて軽く炒めます。

火にかけたまま、あらかじめ合わせておいた八丁味噌、味醂、はちみつを加えたら手早く混ぜて火を止め、焦げないようボウルに移して冷ましてからほうれん草と大豆を加えて和えます。

 

牡蠣と栗の酒盗アヒージョ



角層のターンオーバーを健やかにしてくれるミネラルを、美味しく摂れる牡蠣のアヒージョ。合わせた具は、栗。糖質の代謝を促すビタミンB1、抗酸化のビタミンCやタンニン、腸内環境を良くする食物繊維もたっぷり。熱を加えても、でんぷん質によってビタミンCが壊れにくいのも魅力です。

「この牡蠣のアヒージョは、芽キャベツと合わせるのもおすすめです。芽キャベツも、タンパク質の代謝を促すビタミンB2やビタミンC、食物繊維が豊富。熱を加えてもビタミンCが壊れにくく、油と一緒に加熱することで吸収力が高まるβ-カロテンもたくさん含んでいます」


まずはボウルに牡蠣を入れて、にんにく、酒盗、日本酒を入れて軽く混ぜておきます。アヒージョ用の鍋に、ボウルに入った牡蠣を味付けした汁ごと、栗も一緒に入れ、弱火で軽く沸騰させたら一旦火を止めて菜種油を注ぎます。

「僕がおすすめするのは、にんにく1片、酒盗大さじ1を加えた50ml程度の日本酒で、牡蠣を酒蒸しにしてからオイル煮にするアヒージョです。牡蠣にしっかり味が付くし、水分と油分が合わさることで油っこいだけじゃない、ご飯のおかずにもなるアヒージョが出来上がります。ただ、くれぐれも注意していただきたいのは順番。油を先に鍋に入れて水分を纏った牡蠣を入れると跳ねが上がり大惨事になります。まず先に鍋で牡蠣を酒蒸しにし、後から油をそっと注いでくださいね」


ごく弱火にかけて約5分煮込み、食べる直前に大葉を散らしていただきます。

「このアヒージョはとても簡単ですが、用意するタイミングもポイントです。火が入り過ぎると身がどんどん縮んでしまうので、ほかの3品を仕上げてから最後にさっと煮込み、余熱を入れていくくらいがちょうど良いと思います」


「肌の土台となっているのは真皮といわれる部分で、例えば牛皮のバッグなどは真皮の部分が使われているので、かなりしっかりした層であることがイメージできますよね。対して、真皮の上にある表皮の最上層にあるのが角層です。化粧品カウンターなどで水分量を測るのはこの部分で、厚さはサランラップ1枚分、わずか0.02mmと極めて薄い層です。白く透明感のある肌を理想とする人はかなり多いと思いますが、白さと透明感は別の話し。白さに関わるのはメラニン量、透明感に関わるのは角層の水分量です。角層がつねに水分で満たされていれば、光がきれいに反射して明るく透明感のある肌に見えます」

茂田さんの解説はさらに続きます。角層を構成する角質細胞の中は水分とアミノ酸で満たされており、この水分がなんと汗由来なのだそう。ここで、前編の冒頭で触れた「冬の冷えで汗の量が減ることがなぜ問題なの?」のメカニズムが解き明かされました。また、肌表面に棲む皮膚常在菌の中でも美肌菌と呼ばれる菌は、汗と皮脂をエサに肌のうるおいを作り出しているので、内も外も美しく治安の良い角層をキープするには、やはり汗の存在が必要不可欠なのです。


「日本より寒さの厳しい北欧や韓国では、サウナに入ったり、日常的にキムチのような辛いものを食べるなど、体を温めて汗をかく習慣があるのですが、日本にはそういった習慣がないんです。しかも、近代化でエアコンが普及して昔よりも空気の乾燥度は高くなっているので、食べものでアプローチしながら、お部屋に加湿器を置くなど、肌の水分が蒸発し過ぎない環境づくりも大事ですね」と茂田さん。


これまで以上に、美味しくお酒が飲めることうけあいの今回のレシピ。もちろん、お酒を嗜まない方向けに、書籍『食べる美容』に掲載のきなこ甘酒や、発酵生姜シロップを使ったドリンクも用意されていました。

「鍋料理と良く合うのは、福島県にある仁井田本家という酒造さんの“にいだ しぜんしゅ”という発泡感のある濁り酒がおすすめです。サラダやアヒージョには、ココ ファーム&ワイナリーの山のカンターターという白ワインや、北海道のクラフトビアなどもおすすめです」

発酵生姜シロップは、紅茶で割ればジンジャーティー、ソーダで割ればジンジャーエール、パンケーキにかけたりもでき、アレンジしやすく家族でも楽めるシロップ。調理の工程には入っていなくても、甘酒の活用や発酵生姜シロップをお家で作ってみたい場合には、お教室終わりに質問タイムなどに茂田さんに質問すれば、材料や作る時のポイントを教えてもらえます。


次回の『食べる美容』料理教室は、年明け1月の開催です。
保湿ケアを頑張っていても、冬の乾燥によってバリアが低下しやすい肌状態になっている早春、早い人では1月後半から花粉症に悩まされる方もいます。最近は、花粉皮膚炎と呼ばれる肌トラブルも増えているので、食によって肌の内側からバリアの強化をしましょう!美容と健康のためになるお料理教室、新しい年の事始めとしてもおすすめです。

photo:小松原英介 text:石塚久美子

 

『HEGE』直火鍋φ250直火鍋 

『食べる美容』


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【食べる美容 料理教室 Vol.05 開催概要】
1⽉|“肌荒れに備える ”花粉季の献立
花粉が飛ぶ季節、実に50%以上の方が肌トラブルを訴えるようです。そもそも人の肌は、外からの異物の侵入を防ぐための膜ですが、乾燥・ストレス・摩擦などでこのバリする力が弱まり、肌の中に花粉が侵入することで肌トラブルを起こします。今回は、このバリアを強化し、なおかつ花粉が侵入しても炎症を最小限に食い止めるための食事のポイントをお伝えします。

献立
・銀鱈の紹興酒蒸し
・筍のオイスターソース煮
・ごぼうと砂肝のラープ
・あおさ海苔とあさりのご飯

開催日時
2025年1月24日(金)18時〜20時30分
2025年1月25日(土)11時〜13時30分
講師:OSAJIブランドディレクター / 茂田 正和
開催場所|釜浅商店(包丁売場4Fイベントスペース) 東京都台東区松が谷2丁目24−1
受講料:10,000円(税込)ドリンクご利用分は別途頂戴いたします。
定員:各回16名 
応募方法:Peatixにてお願いいたします。
※料金(材料費、講習費、実食分)の費用となります。
持ち物等:手拭き、筆記用具、エプロン
注意事項:当日は記録のため撮影が入ることがございます。ご同伴者がいらっしゃる場合は、ご予約の際に備考欄へその旨をご記載ください。お料理によっては複数人での共同作業がございます。

Profile

茂田正和

Masakazu Shigeta

音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。

Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/

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