〜梅雨に向けて巡りを促す献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.13【後編】
1クール目、2クール目の好評を受け、5月より3クール目が始まった化粧品開発者/「OSAJI」ブランドディレクター 茂田正和さんによる料理教室。「季節ごとに起こりがちな肌悩みのケアに役立つ食材×旅をした時に出会うような新鮮な味わい」を体験できる、類を見ない食養生レシピは、さまざまな食を体験してきた茂田さんならでは。5月に開催された今回は、気分も体もどんよりしがちな梅雨を快適に過ごすためのメキシコ風料理。後半では、副菜のスープと主菜の鰹ステーキの調理の様子を紹介します。

「実は5月って、紫外線量が夏とさして変わらないんです。人の体は環境に適応するようにできているので、ゴールデンウィークが始まる4月末あたりからメラニンを作るスイッチがしっかり入って紫外線ダメージを防ぐ体勢に入りはしますが、まだまだ整いきってはいません。この時期は油断してUV対策も甘かったりして、そんな時に強い日差しを浴びることはシミやたるみの発生リスクを高めます。さらに6月になれば、梅雨の合間の晴れの日には真夏並みの陽射しが降り注ぎ始めるわけです。なので今回の献立は、梅雨時のむくみ対策がメインではありますが、紫外線ダメージを早期にケアする抗酸化にも対応しています」

目回りの血色を良くする“赤海老とインゲンマメのスープ”

「メキシコ料理でよく使われる白インゲン豆は、タンパク質のほかに食物繊維やカリウムを豊富に含んでいます。そして赤い色素成分、アスタキサンチンをたっぷり含んでいる赤海老は頭から出汁を取り、身をスープの具にします。化粧品原料でも有名なアスタキサンチンは、抗酸化力が非常に高い成分です」
巡りをサポートして胃腸を温めてくれるひと皿。蒸し暑くなるにつれて冷たい飲み物や食べ物が増え、胃腸が冷えることで低下しがちな消化力を助けてくれそうです!

鍋にオリーブオイルと赤海老の頭を入れ、強火で水気がなくなるまで炒めたらスライスした玉ねぎと潰したニンニクを入れて中火でさらに炒める。トマトペーストを加えて絡めるように軽く炒めたら白ワインを加え、鍋の焦げを落とすようにしながら煮立たせ、スープ用の水を加えて一度沸騰させる。沸騰させたスープのアクを引いたら中火で10分ほど煮込み、ヘラで赤海老を押し潰すようにしてザルで濾す。
「赤海老の頭は、焦げ目がしっかりつくまで火を入れないと生臭みが残ってしまうので注意しましょう。香ばしい香りが立つまで焦がしぎみに炒めると、焦げの部分に赤海老の旨味が凝縮され、美味しいスープの出汁になるんです」

スープづくりは、茂田さんがプロデュースしたアルミ鍋「HEGE」を使って。鍋にオリーブオイルを引き、赤海老の身の両面を中火で焼いたら、すりおろしたニンニクと白インゲン豆を加えて軽く炒める。

ザルで濾したスープを注ぎ入れ、ごく少量(約2g)のベーキングパウダーを入れて煮立たせてから、豆乳と塩麹を加えて沸騰しない程度の弱火で5分煮る。

器に盛り付け、仕上げにイタリアンパセリを散らして完成。
「なぜベーキングパウダーを入れるのか? これは、トマトペーストや白ワインによって酸性に傾いているスープに、そのまま豆乳を注ぐと分離してしまうからです。ベーキングパウダーを入れると、主成分である重曹がアルカリ性なので中和されて分離を防げます。ただ、ベーキングパウダーの入れ過ぎは食感が悪くなるのでごく少量にしてくださいね」
自律神経をケアする“鰹のレアステーキ”
必須アミノ酸の1つであるトリプトファンの含有量がとても高い鰹。トリプトファンは、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの材料となるアミノ酸です。
「鰹を丸ごとさっと焼いて美味しく食べたら、自律神経のケアもできちゃう料理です。鰹にかけるサルサソースにはトマトをふんだんに使います。先ほどの赤海老に続き、トマトに含まれるリコピンも、優秀な抗酸化成分。水溶性のビタミンCや油溶性のビタミンEは熱を加えると抗酸化力が落ちてしまうのですが、同じ抗酸化成分でもリコピンは非常にタフで加熱しても抗酸化力が減らないんです」
サルサソースでは生のトマトを刻んで使いますが、スープで使ったトマトペーストも、火をしっかり入れても抗酸化力が損なわれにくいというのは嬉しいですね。

まずは、刺身用の柵を2等分に切った鰹の下処理。砂糖を両面に満遍なく振って10分寝かせる。浮いてきた水分をキッチンペーパーでふき取り、次に塩を振ってさらに10分寝かせ、再度水分をふき取ったらオリーブオイルを全体になじませる。
「この下処理の方法で水抜気をすると、魚の旨みがギュッと凝縮されます。今日の場合は切り身が400gなので、その1%の量(4g)になるよう、砂糖と塩を各2g用意しました。先に分子の大きい砂糖を使うと、水がゆっくり出てきて組織に隙間ができるので、その後に塩を使うことで下味も付きやすくなるので、順番を間違えないようにしましょう」
茂田さん曰く、この下処理を覚えて家で鯛のカルパッチョなどをつくると、オリーブオイルとレモンだけでもレストランのように風味豊かなワンランク上の仕上がりになるそう!

ボウルに1cm角に切ったトマト、みじん切りにしたピーマン、玉ねぎ、粗みじん切りにしたパクチー、すりおろしたニンニクと生姜を入れてよく混ぜ、オリーブオイルを加えてサルサソースづくり。

温めたフライパンにオリーブオイルを引き、中火にしたら下処理をした鰹を入れて全部の面をさっと焼く。1つの面を焼く時間の目安は、15秒ほど。

器に盛り付けて、たっぷりとサルサソースをかけていただく。

ドリンクバーに並んでいたノンアルドリンクの中には、メキシコ料理に欠かせないライムを切って漬けてつくったという“ライムエード”が。嬉しいことに今回はレシピが付いていました。ライムの青い香気と相性の良いアオモジ(中国料理などで使われるマーガオ)、さらにローズマリーを合わせたすっきりとした味わい。アオモジは、抗炎症や発汗、食欲促進などこれからの時期の体ケアにぴったりなスパイスとのこと。
「2クール目の後半で取り上げたパエリヤや押し寿しは、お家で作れるの? と思いながら参加した方もいたと思うのですが、いざ始まると皆さん楽しそうにわくわくと調理されていました。3クール目ではそういう少しハードルが高そうに感じる料理、ぱっと見なんだろう?! と感じても、つくってみたら難しくない、食べてみたら新鮮な美味しさに出会える、そんな美容食養生をレクチャーしたいと思っています」
教室で使った食材が手に入らなかった場合の、おすすめの置き換え食材や美味しく仕上げるための下処理のコツ、調理器具の使い方やお手入れ方法も茂田さんが調理しながら教えてくれたり、実食タイムに気軽に質問できますよ。

次回は、盛夏の紫外線ダメージを内側からケアする“抗酸化”に焦点を当てた献立。美肌を目指す方だけでなく、夏バテせずに過ごしたい方にも最適な内容となりそうです。
photo:小松原英介 text:石塚久美子

【食べる美容 料理教室 Vol.14 開催概要】
7月|陽射しを心地良く受け止める献⽴
梅雨が明け、いよいよ夏本番、海や新緑に心が躍る季節ですが、同時に気になるのが強い陽射しによる紫外線です。肌の老化の8割は紫外線の影響(光老化)とも言わレテおり、紫外線を浴びることで発生する「活性酸素」が、肌の細胞や組織にダメージを与えてしまいます。
食材/モロヘイヤ
献立
・徹底的に抗酸化“モロヘイヤの中東式カレー”
・酸化と糖化を防ぐ“スパイスご飯””
・太陽の恵みトマトの“シャクシューカ”
・潤いで満たす“モロヘイヤときゅうりのヨーグルトサラダ”
開催日時
2026年7月11日(土)11時〜13時30分〈10時45分開場〉
講師:OSAJIブランドディレクター / 茂田 正和
開催場所|釜浅商店(包丁売場4Fイベントスペース) 東京都台東区松が谷2丁目24−1
受講料:10,000円(税込)ドリンクご利用分は別途頂戴いたします。
定員:各回24名
応募方法:Peatixにてお願いいたします。
※料金(材料費、講習費、実食分)の費用となります。
持ち物等:手拭き、筆記用具、エプロン
注意事項:当日は記録のため撮影が入ることがございます。4名様1組のお席で、複数人での共同作業がございます。ご同伴者がいらっしゃる場合は、ご予約の際に備考欄へその旨をご記載ください。人数によっては、お席が別々になる場合がございますことご了承くださいませ。
Profile
茂田正和
音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド「OSAJI」を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ「enso」(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド「HEGE」のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。
Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/
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