〜肌の冬支度を始める献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.15【前編】
健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート! 耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。
まだまだ暑い日が続きますが、肌の上では秋を迎えています。夏に降り注いだ紫外線はダメージを与え、まるでざるのように水分が通り抜けてしまう、すかすかな状態を作ってしまいます。空気中の湿度が高い間は気づきにくいですが、今のうちにしっかりケアしておかないと、秋が深まり湿度が下がり始めた途端にカサつき、透明感が失われて小じわが目立ちやすくなります。今回は「肌の冬支度」をテーマに、まだ残る強い紫外線への「抗酸化対策」も意識しつつ、肌の保水力を修復するための献立を、北欧イタリアンのエッセンスを加えてご提案します。

今年の6月、仕事でデンマークとスウェーデンを訪れたという茂田さん。現地にはイタリア料理のお店も多く、サーモンやディルなど北欧で親しまれている食材を取り入れたイタリアンをいろいろと味わい、料理のヒントを得てきたそう。そのアウトプットとして生まれたのが今回のレシピ、サーモンのカルパッチョ、秋茄子のラザニア、フレッシュトマトソースのサーモン・ソテー、冬瓜と鶏むね肉のズッパの4品です。

テーマ食材であるサーモンについては、この時期に食べることで肌にどんな良い影響があるのかはじめに茂田さんからお話がありました。
「サーモンは、アスタキサンチンという赤色の天然色素成分を豊富に含んでいます。この成分は、ビタミンCの7000倍もの抗酸化力を誇るため、秋に食すと夏場に受けた紫外線ダメージをしっかりリセットするのに役立ちます。紫外線を浴びた時に発生する活性酸素は細胞を酸化させるため、もし抗酸化ケアをしないままダメージを放置すると、肌の保水力、つまり水分を蓄える力がどんどん落ちていきます。サーモンはタンパク質も豊富なので、水分を蓄える器そのもの、細胞から健やかに育んでもくれます」
そして今回使ったのは、「OKASODACHI (おかそだち) 」という千葉県富津産のユニークなサーモン。バクテリアを使った独自の濾過技術でつねにきれいな水を循環させる「閉鎖循環陸上養殖」という方法を採用した飼育槽で、その名のとおり海や川の水に頼らず、抗生物質も使わずに育ったクリーンな国産サーモンです。
肌のうるおい力を修復する“サーモンのカルパッチョ”

おろしたサーモンに、塩と砂糖を満遍なくまぶしてからオリーブオイルを薄く塗り、ラップで包んで20分マリネする。20分経ったら、表面の水分をクッキングペーパーで拭き取る。
「魚の旨みを濃くするための水抜きに塩と砂糖を使うのは、僕なりにいろいろ試してたどり着いた結論です。分子の大きい砂糖を使うと水がゆっくり出てくるので組織に隙間ができ、その上で塩を使うと水を抜きながら下味が付きやすくなります。この方法だと、すごく鮮度が良いといえない魚もぐんと美味しくなりますよ。水抜き後のオリーブオイルは、身が乾き過ぎるのを防ぐ目的で塗ります」


カルパッチョ用のソースづくり。鍋に豆乳、酒粕、塩麹入れて沸騰させたら、ホイッパーを使って酒粕を丁寧にほぐして混ぜる。酒粕が完全に溶けたら、小さい器に移して冷蔵庫で冷やす。

冷やした豆乳ベースのソースにみじん切りにしたディル (全部みじん切りにはせず、飾り用に少し残しておく) 、玉ねぎ、ケッパー、ソース用のオリーブオイルを加えてよく混ぜたら味付けが完成。皿にソースを敷き、マリネしたサーモンを並べて飾り用のディルを散らし、仕上げ用のオリーブオイルをかける。


「お好みですが、食べる前にレモンを搾るとよりさっぱりとした味わいいなります。ねっとりしたお刺身の食感がお好きな方は、水抜きを前日の晩にしておくと良いでしょう」
国産の生サーモン「OKASODACHI (おかそだち) 」は、脂が多過ぎずほどよくさっぱりとした旨み。ソースの風味と調和した最初から最後まで飽きのこない美味なカルパッチョでした。
まだまだ強い陽射しのために“秋茄子のラザニア”

5mm厚にスライスした茄子をバットに並べて両面に塩を振って10分置く。10分経ったら表面の水気をクッキングペーパーで拭き取る。

フライパンにオリーブオイルをひき、みじん切りにしたにんにくを入れて弱火で炒める。にんにくがこんがりしてきたら、玉ねぎとにんじんのみじん切りを加えて玉ねぎがあめ色になるまでよく混ぜつつ中火で炒める。

続いて、牛ひき肉と粗挽き胡椒を加えて火が通るまで炒める。そこにローリエを加えてオイルに香りを移すように炒めてから、トマトピューレ、ホールトマト、蜂蜜、塩麹を加え、ホールトマトを潰し混ぜながら20分ほど煮込む。
「トマトソースをつくる時は、アルミ製など熱伝導率の良い鍋やフライパンを使うのがおすすめです。というのも、熱伝導率の良い鍋は”焦げ”いわゆるメイラード反応が早く起こります。真っ黒になるほどの焦げは苦味が出てしまいますが、軽く焼き目をつけるような焦げは旨みとなって料理の味わいに奥行きを与えてくれるんです」

バターを使わないベシャメルソースづくり。鍋に豆乳、西京味噌を入れて味噌をしっかり溶かしながら弱火で5分煮る。5分煮たところで、先に小皿で混ぜ合わせておいた大白ごま油と小麦粉を加え、分離しないようとろみがつくまでホイッパーで混ぜ、さらにナツメグを加えてよく混ぜたら火を止める。
「バターやチーズの使用頻度が高いイタリアン。確かに乳製品に含まれる乳糖は、コクを与えながら味のまとまりを良くしてくれるのですが、乳糖は日本人の腸とあまり相性が良くないので摂り過ぎを避けたいところ。僕がつくるのはハレ(晴れ)とケ(褻)でいうとケの日のための、いわゆる家庭料理なので日々口にしても体の負担にならないよう、バターやチーズを使うところでは代わりに発酵調味料を使います。このベシャメルソースは、豆乳と味噌を使うことでタンパク質も補えりようになっています」

ラザニアは、茹でるプロセス不要でそのままソースに挟んで使えるBarillaの「ラザニエ」を使用。

フライパンにオリーブオイルをひき、水抜きした茄子の両面を中火で焼く。耐熱皿を用意したら、【ラザニエ→トマトソース→べシャメルソース→茄子】の順で重ねる、これを3回繰り返して250度に予熱したオーブンで15分焼く。

焼き上がったオーブンから出して10分休ませたら、仕上げにイタリアンパセリを散らして。
「トマトソースは、大量につくってジップロックに小分けにして冷凍しておくと何かと便利です。パスタソースとしてはもちろん、鶏肉や玉ねぎの煮込みに使えばカチャトラ (イタリア語で漁師風) 、茄子やズッキーニを煮込めばラタトゥイユと、いろいろなアレンジに使えますよね」
後編では、体に備わる抗酸化力を助ける“フレッシュトマトソースのサーモン・ソテー”と、体の保水力を底上げする”冬瓜と鶏むね肉のズッパ”の調理のポイント、そして食べる美容料理教室ならではの耳より情報もお届けします!
→【後編】へ続きます
photo:小松原英介 text:石塚久美子
Profile
茂田正和
音楽業界での技術職を経て、2001年より化粧品開発者の道へ。04年より曽祖父が創業したメッキ加工メーカー日東電化工業ヘルスケア事業として多数の化粧品ブランドを手がける。17年、スキンケアライフスタイルブランド「OSAJI」を創立しブランドディレクターに就任。21年、OSAJIの新店舗としてホームフレグランス調香専門店「kako-家香-」、22年にはOSAJI初となるレストラン「enso」をプロデュース。23年、日東電化工業の技術を活かしたテーブルウエアブランド「HEGE」を仕掛ける。同年10月、株式会社OSAJI 代表取締役CEOに就任。26年、茂田個人のプロジェクトである一棟貸しの宿泊施設「しらかば荘」を群馬県・猿ヶ京温泉に、OSAJIの複合型グローバルコンセプトストア「お匙 京都」を京都・御所南に開業。同年、日本固有の美意識をルーツとしたフレグランスブランド「soca」を発表。
著書に『食べる美容』(主婦と生活社)、『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)があり、美容の原点である食にフォーカスした料理教室やフードイベントなども開催している。
Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/
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