【香菜子さん連載】vol.30 愛情と手間ひまかけた春おでん【後編】
香菜子さんの春おでん作りをお届けしている、今回の「日々にピタリなもの」。ジミ~な色合いになりがちなおでんですが、春らしい顔にするために欠かせないのが、きれいな黄緑色のキャベツ!
やぶれないよう一枚ずつ丁寧に葉を外したのは、ズバリ、ロールキャベツにするため! 「おでんのだしが染みると、おいしいんですよ~」とほくほく顔の香菜子さんです。
一枚ずつゆでて、冷ましたら……
芯の部分を削ぎ切りにして……
さらにみじん切りにします。それをどうするかというと……
「もったいないから、肉だねと一緒に芯も包んじゃいまーす。かさ増しになるし、ジューシーさも加わるので一石二鳥。肉だねは、お肉屋さんで売っているハンバーグのたねを使いました。一から作るのはたいへんですしね。下味がついているし、しっかり練られているので、ロールキャベツにはもってこいなんです」
なるほどー。力を入れるところには入れ、抜けるところは抜く。さすがのバランス力です。
これをきれいに包んで、つまようじで留めれば準備OK。
「ロールキャベツ以外にも、湯むきしたトマトや、煮くずれしにくいメークインを入れることもあります。おでんが華やかになって、さらに食欲がわく感じがします」
ふー。下ごしらえ、たいへんでしたねー。あ、いつの間にやら西日が差してきちゃいました。そろそろ仕上げに取りかからなければ……。
「うふふ、ちょっと早いけど、夕方のお楽しみ、始めちゃおうかな」と香菜子さんが取り出したのは、ワイングラス!
「この前、近所の酒屋さんで買っておいたワインが冷えているはず……。あったあった、ありました!」
「おでんの日は、なぜか白ワインが飲みたくなるんですよねー。練り物が白身魚だからかな」
編集スタッフのぶんまで! す、すいません~恐縮です。酔っぱらって、このあと撮影する写真が全部ブレてたらごめんなさいー。
西日と、キリッと冷えた白ワイン。こんなにぴったり合うものは、この世にないかもしれません。仕事中のワイン、お、おいしい……。
あ、浮かれて、一番大事なものをご紹介するのを忘れていました。こちらは、おいしいおでんだね屋さんでまとめ買いした練り物たち。
「ウインナーや練り物に竹串を刺すと、屋台のおでんみたいになるので、子供が喜んで食べてくれるんです。あ、大人もうれしいか、特にワインを飲みながら食べるときは(笑)。おつまみ感覚で、どんどん箸が……じゃなくて串が進んじゃいます」
これで下準備がすべて完了。まずは練り物以外の具材と、前編で作っておいただし汁を鍋に入れ、弱火で30分ほど煮ます。さらに練り物を加えてさらに10分ほど。火を止めたら、少なくとも3時間以上おくと、味がじんわり染み込んでいくのだとか。ひー、その味を想像するだけでたまりません。
「はーい、できましたー!」
角鍋っていうところが、おでん屋さんっぽくて雰囲気ありますね。
「これは『貝印』のもので、この四角い形が具材をきれいに整列させるのにもってこいなんです。今の私は、小物をきれいに並べて遊んでいた“お店屋さんごっこ好きのちびっこ”の延長で生きてる感じ(笑)。普段のおかずも、“お店屋さんみたい”を意識して盛りつけています」
わー、早く仕上がりを見せてくださーい。
じゃじゃじゃじゃーん。こちらです。う、美しい……、そしておいしそう。ほんと、おでん屋さんのおでんみたいですね。
これを白ワインとともに……。春のおでん、サイコーです! みなさんも、ちょっぴり肌寒い日にぜひトライしてみてくださいね。
Profile
香菜子
モデル、イラストレーターとして活躍する傍ら、ホテル備品をイメージしたプロダクトブランド「ヴィルヘルムス」を主宰。著書『香菜子さんの服えらび。』(主婦と生活社刊)も好評発売中。
https://vilhelms.thebase.in/
Instagram「@hotelvilhelms」
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