三重編vol.4 老舗菓子店のオシャレな工場直売店「日の出屋製菓 / SENBEI FACTORY SHOP」
日本のほぼ真ん中に位置する三重県。三重県といえば世界遺産の熊野古道や2000年以上の歴史を誇る伊勢神宮を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「一生に一度はお伊勢参り」と江戸時代にはお伊勢参りが大流行しましたが、現代でも多くの方が参拝に訪れます。
産業都市でありながら豊かな自然を有する四日市にある複合施設「おやまだ文化の森」代表の林 謙助さんに執筆していただきました。フォトグラファーでもある林さんのセンスの光る写真と共に近隣のおすすめショップもご紹介いただきましたのでドライブがてら是非立ち寄ってみてくださいね。
続いては、三重県菰野町(こものちょう)へ。秋は紅葉や登山で人気を誇る標高約1200メートルの御在所岳(ございしょだけ)や、四季折々の景観に富んだ温泉、湯の山温泉がある地域。そんな山々の麓で戦後まもない昭和20年代からお菓子作りをしているのが〝日の出屋製菓〟だ。
鈴鹿山麓を流れる清らかな水を使い、余分な添加物は使わないシンプルな製法を創業時から続けてきた。代表的なお菓子は、素朴でどこか懐かしさを覚える『炭酸せんべい』。半世紀以上変わらない味と、一度見たら忘れられないピンク色のパッケージ缶は、世代を越えて多くの人たちに愛され続けている名品です。そんな日の出屋製菓の製造工場に隣接した直売所、〝SENBEI FACTORY SHOP〟が今春にオープンした。
車庫だった空間をリノベーションしたファクトリーショップは、一見オシャレな雑貨店やカフェに思えるような空気感。一般的な直売所というイメージを、一瞬にして裏切られる素敵な佇まいで迎えてくれる。また、商品はせんべい缶だけでなく、京都のパティシエとコラボしたチョコのスイーツや、人気イラストレーターが描いた可愛らしいデザインのワッフル缶などもラインナップ。
「私で三代目なのですが、これまで60年以上旅館などのお土産卸をやってきた中で、時代も進み世代交代し、コロナ禍で多くの壁に当たった時に、直売所への憧れが決意に変わりました」。そう話すのは、社長の千種啓資さん。
「これまで全国各地へ営業活動を地道に行ってきました。その中で気が付いた大切なことが、製造現場を見てもらうことの重要性と、この地へ来てもらう動線作り。お店という存在が、結果的にこの町の観光の発展にも繋がっていくと思うんです」。
製造工場にお邪魔すると、テキパキと働く従業員さんたち。ショップの工事とどうしても一緒に作りたかった工場の小さな窓。ここで焼き立て熱々の炭酸せんべいを手渡しで頂くことができる。
工場で働く職人さんとお客さんがコミュニケーションを図れる場だ。窓越しに工場の製造風景を見れるライブ感と、実際に商品を手に取れるファクトリーショップの動線が、より一つ一つの商品を深く知ることができる。
「地元の人でも、せんべい以外の商品があることさえもまだまだ知られていないし、年配者の認知はあるけど、若年層はまだまだ少ないですね。幅広い層のお客様に喜んで頂くには、これまで私たちが守り続けてきた〝お土産菓子〟という概念を良い方向性で崩していくことが大切だなと考えてます。ちょっとした手土産で誰かに買って帰ったり、自分へのご褒美菓子として自宅でコーヒーと一緒に楽しんでもらったりしてもいいですしね」。
オープンして半年が経った今、ファクトリーショップには連日多くの地元民の方や、遠方から来られた観光客の方で賑わう。
この場所に来てもらう動線作り。
日の出屋製菓が長年蒔き続けた種が、原点である菰野町で新しい芽を開き始めている。
三重県三重郡菰野町大字菰野5062
営業時間:10:00〜16:00
定休日:木曜
Instagram:@hinodeya_seika
日本、〒512-1111 三重県四日市市山田町1901−1
日本、〒514-0125 三重県津市大里窪田町863−3 喫茶tayu-tau
日本、〒513-0814 三重県鈴鹿市東玉垣町2850−23
日本、〒510-1233 三重県三重郡菰野町菰野5062
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