石垣島編vol. 3 自然に囲まれた居心地のよい一棟貸の宿「余白、」
沖縄県本島から南西へ約410km(那覇空港から飛行機で1時間)に位置する石垣島。沖縄本島、西表島に次ぎ、県内で3番目に大きな島で、1年を通して多くの観光客が訪れます。島の北西部にある川平(かびら)湾は、澄んだブルーの海と白い砂浜、緑豊かな小島が美しく景勝地として有名です。
そんな石垣島で自家焙煎珈琲とお菓子のお店を夫婦で営んでいる白上桃子さんに、ガイドブックには載っていない石垣島の楽しみ方やおすすめのお店を教えていただきました。是非旅の計画を立ててみてくださいね。
石垣島に旅に来た感覚で楽しんでいただけるように、私のお気に入りをご紹介しています。お宿で愉しめるように「Canaan」でコーヒー豆を、「Django」でパンを買ったのでそろそろお宿へ向かいましょう。
石垣島は人気の旅行先ということもありホテルや民宿など、宿泊処はたくさんあります。そんなたくさんある宿泊処のなかでも今回ご紹介する一棟貸しのお宿「余白、(ヨハク)」は他にはない、心と体が落ち着く空間を体験できる、そんなお宿です。
不便なようで、何もないようで、とても満たされる。石垣島の美しい自然と、ゆっくり流れる時間が心と体に染みわたり癒してくれる、特別な空間が広がっています。


お部屋は三棟あり、水回りが完備されているハナレが一棟とロッジ風で水回りが共有のコヤが二棟。
お庭には南国らしい植物が、宿の前を通る遊歩道には石垣島の天然記念物でもあるヤラブ並木が、自然のトンネルのように美しく生い茂っています。
「ご予約をされたその時から旅行は始まると考えています」と話されるのは店主である中野伸一さん。
そのお言葉の通り、予約が完了すると中野さんから丁寧なメッセージが届きます。文字のやりとりから溢れるお人柄は直接会ってお話しされると、なお実感することと思います。この日も「余白、」に到着し、入り口で迎えてくださった中野さんとお話するうちに気持ちがほぐれていきました。
中野さんと接していて感じるのはその聴く力の高さ。中野さんご自身は意識されていないとのことですが、こちらの話を興味深そうに柔らかく聴いてくださる姿勢と心配りに、ついついあれもこれもと話し込んでしまいます。
石垣島で宿業をされる前は鎌倉でゲストハウスをされていたという中野さんご夫婦。お二人とも旅が好きで、様々な場所へ行き色々なものを目にして経験を積まれたなかで、好きで何度も来ていた石垣島へ移住を決められたそうです。
「余白、」はまさに暮らすように泊まるお宿。清潔感があり洗練されたデザインのお部屋に、一つ一つ丁寧に選定されている家具や食器が置かれています。
空間は光と影の織りなすバランスが素晴らしく、お天気や時間によって刻々と変化していく様子に心が奪われます。
本当にいいものを必要最低限に。日頃どれだけモノにあふれた生活をしていたのかを、身をもって感じました。
テレビも時計もない静かな空間で、ゆったりと何もしない時間を過ごすことがどれだけ贅沢なことか。聞こえてくるのは風に揺れる葉の音と虫の声。日常の中にある非日常の空間で、読みかけの本も今だったら集中して続きが読めそうな気がしてきます。
宿泊したハナレにはキッチンが完備されているので、私たちは料理を愉しんで過ごしました。忙しい日常とは切り離された環境でゆっくり料理やコーヒーを淹れるのも、贅沢な旅の過ごし方かもしれません。
作家さんの素敵な器がたくさん置いてあるので、お料理をせずともお皿に食材を並べるだけで特別感が増し、心が弾みますよ。
色々な予定を立ててアクティブに過ごす一日もあれば、こんな風に予定をそこまず詰めずにゆっくり過ごす日もある。旅って自由でいいですよね。
「余白、」の案内に書いてある「ただ、居心地のよさをめざして」という言葉。
人それぞれ居心地の良さを感じるポイントは似ているようで違うと思います。そのお一人お一人にできるだけ寄り添い、それでいて適度な距離感で丁寧に接してくださる中野さん。
私の心にできた余白が日常で埋まってしまった頃に、またここに泊まりにきたいと思います。
住所:非公開
https://www.yohaku-ishigaki.com/
Instagram:@yohaku__________
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