徳島編vol.8 遠くから、近くから、こだわりの逸品をセレクト「遠近 をちこち」

地元のおしゃれさんが 案内する 小さな旅
2017.12.23

~「ウタノタネ」森香菜子さん~

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photo&text:森香菜子(utanotane/KIGIPRESS)


徳島市街地を離れて名西郡神山町方面へと向かう道すがらの、さらに脇道に入ったところ。まわりの風景に溶け込むようにそっと「遠近 をちこち」は建っています。

 

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以前に、器を中心に民芸を感じるものを各地からセレクトした店「東雲」を営んでいた東尾厚志さんと、東欧などで買い付けてきた雑貨などを扱う「レテンカ」を営んでいた東尾智子さん。それぞれの店舗を畳み、2016年12月、二人で新たに立ち上げた店がこの「遠近 をちこち」です。

 

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山の緑がすぐ近くに見えるこの場所は、周辺に他の商店はほとんどありません。「二人の実家に近い場所だった」というのがこの場所に決めた理由のひとつだと話します。地元を見つめ、”その土地に在るもの”を見つめている、「遠近」の想いが店づくりのひとつひとつに現れているのだと感じます。

 

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店内の壁や床には東尾さんの地元である神山町の杉を使用し、青い濃淡の印象的な壁は手漉き和紙を藍染めして一枚一枚貼ったもの。「楮の皮を剥くところからスタートして、お客様などいろんな人に手伝ってもらいながら約200枚の和紙を自分たちの手で手漉きしたんです。それから、灰汁発酵建てした阿波藍でまた自分たちでその和紙を染めていって…」そんな風に、地元に在るものも自分の目と手で選びながら店をつくっていったそうです。

 

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もちろん商品としても、徳島の作家が手がけた藍染めのショールや小物なども取り扱っています。徳島は藍染めの染料である”蒅(すくも)”の産地。藍の葉を乾燥・発酵してつくられる蒅(すくも)を使って、自然の藍色の濃淡で仕上げられた作品が並びます。

 

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徳島らしいものの他に、日本各地の器や手仕事のものがたくさん。その土地その土地に根付く意志を汲み取って紹介してくれます。

 

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智子さんが選んできた日本各地の作家の作品や海外の手仕事のものも、イベントなどの期間限定でときどき店に並びます。

「遠近」は、二人があちらこちらへと動きながら見てきたものを届けてくれる場所。「昔、今、未来。遠くと近く」という意味の店名のとおり、現代のものも古いものも、日本のものも外国のものも、二人の視点をそれぞれに織り交ぜながら提案してくれます。

 

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「二人が選んだものを通して、地元(徳島)を見つめることにもなれば」と東尾さんは話します。

店の片隅には藍染めの藍が植えられていて、夏から秋にかけて濃いピンク色の花を咲かせます。藍の文化が身近にある徳島の人でも、藍の花を見たことがなかったという人は多いはず。そんな小さな文化もきっとここでは発見できることでしょう。

 

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この12月には店内に喫茶スペースもオープンする予定。
「TOKUSHIMA COFFEE WORKS」で焙煎したオリジナルブレンドコーヒーの他、地元の卵を使ってつくる昔ながらのプリンや、徳島ならではの蒸しパン「ほたようかん」など、智子さん手作りのお菓子も楽しめるとのこと。


実は「うちはまだプレオープンなんです」と東尾さん。まだまだやりたいことがたくさんあるようで、すべての実現にはまだ時間がかかるとのこと。少しずつ育っていく「遠近」が楽しみです。

遠くから、近くから、いろんなモノ・人・文化が集い交流する、そんな場所になっていくんだろうなと思います。

 

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遠近 をちこち

MAP:
徳島県徳島市上八万町樋口266-1
TEL 088-612-8800
営業時間:11:00〜18:00
定休日:水曜定休・木曜不定休
www.facebook.com/store.ochicochi

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