今年の夏こそ!粋な竺仙の浴衣 後編

大人の江戸あるき
2018.06.15

「竺仙」ブランドを貫く、粋と品のよさ


前編はこちらから


浅草で創業した「竺仙」は、三代目の時代に日本橋小舟町へ。現在は、五代目当主の小川文男氏が「竺仙」ブランドを担っています。毎年千種類もの新作浴衣を発表する「竺仙」ですが、デザインの基本は初代から受け継いできた図案帖や柄見本だそう。伝統の柄をどう組み合わせ、配置するかを考えて、色や素材を厳選して、新しさのある一枚へと染め抜いているのです。

 

代々、『粋ひとがら(粋であること)』を謳ってきた「竺仙」。とはいえ粋の感覚は、時代にあわせて変化を遂げていると言います。五代目が追及するのは、品のよさをまとった“粋”。それは、今の「竺仙」を貫く美意識であり、価値観であるのです。品よくあること、大人世代ならば誰しもが望むことかもしれません。だからこそ、「竺仙」の生み出すものは、大人のおしゃれさんを虜にするのでしょうね。


大人の浴衣選びは、どう見せたいか、どんなシーンで着るか


あわせてみるのは楽しいけれど、似合う一枚を選ぶのはなかなか難しい浴衣。基本的には、洋服と違って重ね着やアクセサリーで変化をつけられないので、顔映りや好みの色柄を選ぶことをすすめているそうです。

 

さらに、自身をどう見せたいのか、どんなシーンで着たいのか、が大人の浴衣選びのポイントだとか。夕涼みとお出掛けでは、色柄や選ぶ素材が変わってきます。お見立て上手な「竺仙」のスタッフに希望を伝えて、いくつか選んでもらってもいいかもしれません。

 


夕涼みだけではなく夏のお出掛け着にもなる浴衣


夕涼み用はもちろんですが、長襦袢を着てきちんと帯をあわせ、夏着物のように着こなしたい浴衣が数多く揃っています。日中のお出掛けに映えるようにと、鮮やかなターコイズブルーや爽やかなグリーンなど色のバリエーションも増えているそうです。


では、私が気になった今年の新作をご紹介します。夏のお洒落着にしたい紅梅小紋のシリーズから、クールビューティな「縞に秋草」と華やかさが漂う「蘭」。どちらも白地なので夏の盛りにも涼しげな雰囲気を演出できそうです。白地の浴衣って、美人に見えるような気がするのは私だけでしょうか?

 

s-2_3

(手前)紅梅小紋「縞に秋草」 (奥)紅梅小紋「蘭」/(ともに)66,000円

 

大人だからこそ着たい、かわいい金魚柄


また浴衣らしい生地からは、男性にもいいモダンな「四角取り松葉」、さまざまな花が咲き誇る愛らしい「花丸」を。

s-2_4_2

(左)コーマ地染「花丸」/35,000円 (右)地染江戸好キング「四角取り松葉」/36,000円

 

さらに、たまらない一枚がこの綿絽地染の「金魚」です。昨年も大人気だった金魚柄を今年風にリデザイン。見た瞬間に思わず「かわいい!」と声をあげた浴衣、大人だからこそ着たい金魚柄ですね。


s-2_5

綿絽地染「金魚」/39,000円

 

生地を選ぶとお仕立てに。丈をはかり、広襟かバチ襟かを決めて(夏着物として着る場合は広襟がおすすめ)、半ミシンか手縫いかを選びます。手縫いのほうが俄然動きやすいそうです。仕立て代は2万円程度、1カ月程度(生地によっては40日ほど)で仕上がります。
 
ああ、今年こそ! 「竺仙」の浴衣で夕涼み……してみたいものです。

竺仙(ちくせん)
東京都中央区日本橋小舟町2番3号

☎03-5202-0991
営業時間:9:00~17:00
休日:土、日祝日(4月~7月は土曜日も営業)
http://www.chikusen.co.jp

Profile

森有貴子

Yukiko Mori

編集・執筆業。江戸の老舗をめぐり、道具と現代の暮らしをつないだ『江戸な日用品』を出版、『別冊太陽 銀座をつくるひと。』で日本橋の老舗について執筆(ともに平凡社)。落語、相撲、歌舞伎、寺社仏閣&老舗巡りなど江戸文化と旅が好き。江戸好きが高じて、江戸の暦行事や老舗についてネットラジオで語る番組を2年ほど担当。その時どきで興味がある、ひと・こと・もの、を追求中。江戸的でもないですが、instagram morissy_edo も。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ