名古屋編vol.7~おしゃれ過ぎないのがいい!居心地バツグンの“喫茶店”「キッサ マシマロ」

地元のおしゃれさんが 案内する 小さな旅
2018.07.21

フリー編集者 こんどうみきさん

 

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photo&texto:こんどうみき

 

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歳を重ねるにつれて、今どきのおしゃれすぎるカフェよりも、ほどよく力の抜けた喫茶店寄りのお店に心地よさを感じるように……。2018年1月、住宅地にあるマンションの2階に、そんなゆるゆると寛げる場所「キッサ マシマロ」がオープンしました。

 

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ドアを開けて左手には、大きな窓の外に公園の緑が広がるカウンター席。はじめて訪れたとき、迷いなくこのカウンターの隅の席を選びました。取材日は朝から雨で残念だなと思っていたけれど、明度が落ちた店内も雨に濡れた景色もしっとりと魅力的で、晴れた日より長居してしまいそうな雰囲気でした。

 

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入って右手には、10人掛けの大きなテーブルと、その両側の棚には本がぎっしり。エッセイ、時代もの、恋愛もの、サスペンス、暮らし系、ビジネス書、漫画、写真集、美術書などなど、あらゆるジャンルの本が1400冊強! その日の新聞が置いてあるのも、地元の年配客を大切にする喫茶店っぽくていいなぁと思ったり。

 

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「図書館のようなイメージ」という飾り気を抑えた簡素な内装も落ち着けます。ひとりで訪れて、小説を一冊読み終えていくお客さんもいるとか。

 

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切り盛りするのは門田哲さん・佳代さん夫妻。知人の美容院でイベント時に始めたカフェが好評で、サラリーマンを辞め、飲食店勤務を経て、ついに自宅近くのここで念願のお店を始めることに。「もとは飲み屋さんだった物件ですが、緑の多い公園の前、裏通り、駅から近い、2階、20坪弱……と自分が妄想(笑)していたお店のイメージにびったりだったんです」と哲さん。読書家でもあり、長い年月をかけて買い集めた本を並べて、ゆっくりと過ごせる空間を作り上げました。

 

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奇をてらわないメニューも心惹かれる理由のひとつ。名古屋の喫茶店といえば……なモーニングもオーソドックスで、ドリンクを頼むとトースト+αのサービスが。+αはゆで卵、ヨーグルト、ジャム、小倉あん、ハチミツから選択でき、50円で追加もできます。「BIO VERTE COFFEE(ビオヴェルトコーヒー)」の豆を使ったコーヒーはイイホシユミコさんの大きなカップで供され、長居ウェルカム!な気持ちが伝わってきます。

 

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キッシュとスープの具材は月替わり。「自分たちが好きで、ベーシックなものを作っています」と佳代さん。素朴なおいしさにホッとします。食事はほかに野菜たっぷりの玉子サンド、自家製の鶏ハムサンド、クロックムッシュなども。ランチタイムはあえて設けず、好きなときに好きなものを注文できるスタイルに。

 

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人気のロールケーキと自家製シロップのジンジャエール。チーズケーキ、ガトーショコラ、シュークリームなど、スイーツも正統派。でも、たとえば季節を意識してクリームの味を変えたりとちょっとした遊び心も。

 

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佳代さんのお父さまやお祖母さまが使っていたという勉強机や足踏みミシンなど、古びた什器が趣を添えています。ひとりで静かに過ごすのがよく似合うけれど、「ご近所の年配の方や子連れのお客さまも多くて嬉しいですね。間口を狭めず、長く緩やかに営んでいければ」と門田夫妻。ふたりの穏やかな人柄も、居心地のよさを生み出している要素かもしれません。

 

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ちなみに店名は、ミュージシャン・奥田民生さんの曲「マシマロ」から。「気の抜けた印象なのに、仕事には真面目に取り組んでいて、でもそれを表に出さない奥田さんの雰囲気が大好きなんです」と笑う哲さん。緩い空気感を漂わせながら丁寧に作ったものを提供してくれる、まさにこのお店のことのよう。ありそうでなかなか出合えない、心から落ち着ける一軒なのです。

 

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キッサ マシマロ

MAP:
名古屋市天白区平針2-808 ガーデンハイツ平針2F
TEL:052-680-9648
営業時間/7:00~20:00 水曜定休
http://kissamasimaro.com

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