糸島編vol.3 〜糸島の大自然の恵みあふれる「ハーブガーデン プティール倶楽部 伊都国(クラブ イトコク)」〜
photo&text:小坂章子(ライター)
糸島の魅力といえば海と山。ですが、実は青々と輝く田園風景も魅力なんです。5月になると、サワサワと風に揺れる小麦畑がキレイ。米づくりとの二毛作で知られています。糸島産小麦で作ったパンやうどん、地ビールも福岡では人気なんですよ。そんな田園風景を満喫できるのが、こちら。「ハーブガーデン プティール倶楽部 伊都国」です。最寄りの駅は、2019年3月に誕生したJR築肥線「糸島高校前駅」。真新しい駅から、民家が続く小道を歩くこと10分。目の前にハーブガーデンとレストランが見えてきます。
杉の間伐材を用いて建てられた円筒状のレストランは、シュタイナーの思想に基づいた建築。ハーブを生かしたハーブティやハーブソルト、アロマ製品など身体にやさしい品々が売られていて、料理を待つ間も飽きることがありません。席につくと、今朝摘んだばかりのフレッシュなハーブと、ローズマリーの箸置きが目に入ります。ハーブガーデンならではの素朴で贅沢なテーブルコーディネートです。建物のすぐ前には麦畑、左前方には温室と約3000坪のハーブガーデン。若草香る景色に見入っていると、何やら店内がにぎやかになってきました。ご家族連れも多く、ランチ時は瞬く間に席がうまっていきます。地元の人々に愛される店っていいですね。
さて、何を頼みましょうか。いちばん人気は、魚と肉からメインを選べる「糸島ランチ(1350円)」。糸島ならではの旬の滋味が堪能できます。黒板に記された、その日おすすめの素材を盛り込んだメインを前に、皆さん、楽しそうに迷いながら注文していました。私はというと、やっぱりハーブの力を取り入れたい。「自家製バジルペーストのパスタ(1080円)」と、地ビール「いとしまBEER(750円)」に決めました。鮮やかなグリーンのソースは、沖縄から九州各地のバジルを集め、厨房で手作りしたものとか。もちろんハーブガーデンの糸島産バジルも含まれています。バジルのフレッシュさと鮮やかな色を生かすため、テーブルに運ぶ直前にバジルソースを手早くからめるそう。写真撮影ももどかしく、いっただきま〜す。松の実やベーコンなどが入った翡翠色のグリーンのソースは、爽やかなのに濃厚で、フルーティな糸島初の地ビールとも好相性。ああ、幸せ。大人になって良かったと思える瞬間ですし、電車で来て正解です。
食後は、「カモミール(390円)」のお茶でのんびり。「オリジナルブレンドハーブティー(440円)」5種には、その時の体調や気分で選べるように詳しい解説があるから、親切。レストランでは、毎週火曜日のお昼どきに生ピアノ演奏が行われます。満席の日も多いようですので、遠方からお見えになる場合、予約した方が確実かもしれません。
広い空のもと、ハーブガーデンで庭の手入れをするオーナーの小島祐作さんにお話を伺いました。なんでもこちらは、2000年に小島さんのお父様の発案で、普通の農家からハーブ栽培を中心に据えたスローライフ提案型事業へと、舵をきったのだとか。今では、お庭担当のお母様、厨房で料理を作る弟の浩平さんや奥様らご家族を中心に、心が通じ合うスタッフと運営しているそうです。
「この季節は、まだまだハーブが少なくてすみません。だけど毎日の暮らしに自然の力を取り入れられたら、心身の疲れも和らぎますよね。うちでは開業以来、無農薬栽培と循環をテーマに、食べたり飲んだり、身体につけたりするものから安全安心なものにしませんかという提案をしています」
ミント、ラベンダー、ジャーマンカモミール、ワイルドベルガモット、オレガノ、レモングラス、エキナセアなど、小さな看板を見ながら、太陽のもと、ハーブガーデンをゆっくり歩いてみました。糸島の土壌にあう100種類のハーブを農薬や除草剤を使わずに自然栽培しているそうです。何の手も加えていない自然の香りは、私たち人間の五感を刺激し、豊かにしてくれる働きがありそう。普段の毎日に気軽に取り入れられたら、素敵ですよね。
庭の奥に建つガラス張りの温室では、石鹸づくりやアロマグッズの製作などのワークショップが毎日行われているそう。予約なしでその日に申し込めるとは、やっぱり糸島、おおらかです。店内には糸島関連の雑誌やDMなども多数。初めて糸島にお見えになる方は、情報収集もかねて、まずこちらへ足を運んでみるのもいいでしょう。
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福岡県糸島市浦志366-2
TEL:092-331-2220
営業時間/ランチ11:30〜OS14:00、ティータイム14:30〜17:00、ディナー17:00〜OS20:00
水曜日定休
https://herbgarden.co.jp
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