軽井沢編vol.1 スウェーデンの豊かな暮らしを提案するインテリアショップ「NATUR Terrace(ナチュールテラス)」
「Now and Then」主宰・福岡みほさん
以前、四国編を執筆してくださった福岡みほさん。自ら率いるデザインオフィス「Now and Then」の主宰として再登場! 拠点はこれまでの愛媛から、東京・表参道、長野県・軽井沢、そして瀬戸内へ。主な仕事は『住』に関わる全てのデザイン。住宅・山荘建築、ショップ、インテリア、プロダクト、器や部屋着などなど、多岐にわたります。今回は活動場所である軽井沢の素敵なお店を4回にわたってご紹介いただきますよ~。お楽しみに!
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photo&text:福岡みほ
長野県にある軽井沢・星野温泉のお膝元。湯川の清流沿いに自生するハルニレの木立を生かしつつ、9棟の建物をウッドデッキでつないだ「ハルニレテラス」。魅力的なお店が立ち並ぶなかに「NATUR Terrace(ナチュールテラス)」があります。
家具デザイナーの須長檀さんと、奥様でテキスタイルデザイナーの理世さんが営む店には、スウェーデンで買いつけるヴィンテージの生活用品や家具、伝統的な手工芸品などが並びます。
ご主人の檀さんはスウェーデンに生まれ、幼少期にいったん帰国。家具作りを学ぶためにスウェーデン・ヨーテボリの大学に留学し、さらにストックホルムにある王立美術大学の大学院に進学します。一方の理世さんは東京に生まれ、日本画を学んだ後に留学し、そこで檀さんと出会います。
檀さんは在学中からデザイナーとして活動をはじめ、大学院を卒業後はヨーテボリに「SUNAGA DESIGN STUDIO(スナガ デザイン スタジオ)」を設立しました。そして作品であるコーヒーテーブル「ITOMAKI」や「NEWTON」が北欧のファニチャーフェアで最優秀賞を受賞するなど、その活躍が日本にも知られると、軽井沢への出店を打診されます。結婚して帰国を考えていた須長さん夫妻にとっては、ちょうど良い機会でした。
「ヨーテボリは港町で、自転車で回れるくらいの大きさです。夏は涼しく、冬が長い。時間の流れがゆるやかなところも軽井沢と似ています」と理世さん。「自然が豊かで、避暑地としての歴史を重ね、文化が熟成した軽井沢は、スウェーデンのデザインがよく合うだろうと思いました」
「スウェーデンの方は、おじいちゃんおばあちゃんからゆずり受けたものを大切に使ったり、ものの大切さを重んじることが身についています」と理世さんは言います。変わらぬデザインのものが長く作り続けられ、長い夜を快適に過ごすために素材が吟味され、そうした積み重ねが上質なデザインを生む基盤となっているのでしょう。
現代作家の作品やメーカーの商品も扱いますが、ほかでは見られない独自なものがそろいます。年2、3回の仕入れの際には作り手のもとに足を運び、商品の9割は個人で仕入れるからです。だから価格も安く抑えられます。
スウェーデンは白樺細工など伝統的手工芸が盛んで、定年後に作りはじめる人も多いといいます。須長さんたちはそれに倣って「軽井沢ヘムスロイド」を結成し、7人のおばあちゃんたちと商品作りをしています(ヘムスロイドは手工芸のことです)。
また、福祉施設を運営するチャレンジドジャパンとともに立ち上げたデザインブランド「RATTA RATTARR(ラッタラッタル)」では、クリエイターとしての障がい者と、アトリエスタと呼ばれる支援者が手を携えて作品づくりを行なっています。
暮らしを楽しむことは、人生を享受すること。須長さん夫妻がスウェーデンで培ったあたたかなデザインの力が、そう教えてくれます。
MAP:Ⓐ
長野県北佐久郡軽井沢町星野ハルニレテラス
TEL:0267-31-0737
OPEN:10:00〜18:00(週末と8月は9:00〜19:00)
http://sunagadesign.com/
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