徳島編vol.13 最後の一口まで美味しさが詰まった、マフィンや焼き菓子のお店『ciru(チル)』
text & photo : 森香菜子(KIGIPRESS/utanotane)
美味しいお菓子を食べたい時、そしてこの美味しさを誰かにお裾分けしたい時、いつも『ciru(チル)』さんのお菓子を思い浮かべます。
2019年春、『ciru(チル)』は国道近くの店舗から山の麓へ。山裾に広がる住宅街の中、細い細い道を走っていった先にぽつんと現れる小さくて古い蔵が新しい場所です。「自分たちの暮らしの側で、もっと小さく営むことにする」と移転の話を聞いた時、家族との暮らしをもっと大事に、そして豊かに育てていくための決断なのだと分かって、温かく応援していきたい気持ちに溢れました。
そこは以前よりも人目に付きにくい立地ではあるけれど、以前よりももっと想いが詰まった空間になっていました。
営業日は火曜、水曜、金曜、土曜の週4日。常時20種類ほどのマフィンと15種類ほどの焼菓子が並びます。使う素材は各地から取り寄せた、自分たちが安心できるもの。そして、「美味しいことはもちろん、お客様が買いやすいものであるように」と、『ciru(チル)』の店主、土井誠子さんは話します。
ダブルチョコレートマフィンや抹茶ホワイトマフィンが定番の人気ラインナップ。動物性の食材を一切使用せずにつくったヴィーガンマフィンも嬉しいメニュー。りんごの美味しさを活かして焼き上げられたアップルパイは開店早々に売り切れてしまう日が多いというファンが多い一品です。もちろんわたしも大好物です。
「わざわざこんな場所まで足を運んでくださるお客様に、来るたびに楽しんでもらえたら」と、季節限定のマフィンや焼菓子が移転前よりもたくさん並ぶようになりました。
マフィンは素材の味を活かしたやさしい味。そして、中までしっとり柔らか。こんなに最後まで美味しさが詰まったマフィンは初めての出会いだったので、この美味しさをお裾分けしたい! と、いつも手土産に選んでしまいます。そして、手土産を買いに来たのに自分が食べる分もちゃっかりたくさん手にとってしまうのです。
季節ごとにつくるシンプルなジャムも人気です。
移転後の店舗では、生菓子のラインナップも増えました。冬になると登場するチョコレートもおすすめです。
接客は旦那さんの竜也さんも手伝います。住まいと店舗が近くなったことで家族と過ごす時間も増え、小学校から帰宅するお子さんも迎えられるようになったそうです。この場所に移って以来、お菓子の仕込みから焼き上げるまで土井さん一人だけでこなすようになって「仕事量が増えてしまった」と大変そうに話す土井さんですが、なんだか生き生きして見えました。
山の麓の町まで、わざわざ買いに出かけたい小さな菓子店『ciru(チル)』。季節や暮らしを大事にしながらリスタートしたこの場所で、これまで以上に愛おしくやさしいお菓子がたくさん生まれるのだろうなとこれからも楽しみにしています。
→連載「地元おしゃれさんが 案内する 小さな旅」はこちらから
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徳島県徳島市八万町中津浦105-5
TEL:088-661-2253
営業時間:10:00〜16:00(売り切れ次第終了)
定休日:日曜、月曜、木曜
Instagram:@muffinandsweets_ciru
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