余白の美しさ 髙野友美さんの白化粧リム鉢

今日のひとしな
2020.10.14

~「ツクリテ」よりvol.14 ~

山口県の東部、岩国市由宇町で作陶されている髙野友美さん。萩女子短期大学で陶芸を専攻し、卒業後は陶芸家・田村悟朗氏に師事されました。2004年に独立し、「KOUNOTOUKITENN」を設立。現在は個展やクラフト展などで活動されています。

一昨年、工房兼ご自宅の横に「ぼうかい窯」と名付けられた念願の穴窯を作られました。穴窯とは土地の傾斜を利用した、日本で最も古い窯のことです。昼夜問わず薪を燃やし続け、3日~5日かけて焼き上げるそうです。火の温度管理が難しく、予定通りに温度が上がらず、日数が伸びてしまうことも。窯出しまでにも一週間を要します。手間も時間もかかる穴窯ですが、その分焼き上がってくる作品は一点一点表情が異なり、その時にしか出せない自然釉の色は、やはり穴窯ならではの他には出せない何とも言えない味わいがあります。

髙野さんによると、焼き上がった作品が思いもよらない景色を纏って窯から出て来る時は、「疲れが吹き飛ぶくらい至福の時」なんだそうです。

髙野さんは年二回の穴窯の窯焚き以外に、灯油窯で焼かれた作品も作られています。普段お店には、主にこちらの灯油窯で焼かれた器が並びます。穴窯で焼かれた作品は一点ものになってしまうものがほとんどなので、運とタイミングが良ければ店頭にてご覧いただけることもあるかとは思います。もしその時の出会いがございましたら、ぜひ手に取っていただけると幸いです。

そして今回、ご紹介する白化粧リム鉢は、灯油窯で焼かれた作品です。私自身ずっと使っている上でとても実用的で頼もしい存在。お客様へもついつい熱を入れておすすめしてしまいます。

髙野さんの作られる器はどれもみな佇まいが美しく、品を感じるものばかり。料理をとても美味しそうに見せてくれるのが何より一番の魅力です。髙野さん自身、お料理好きなこともあり、器の使い方、料理の盛り付け方などもすごくお上手で勉強になります。カメラマンであるご主人が撮影された素敵なお写真をInstagram、Facebookなどで見ることが出来ますので、ぜひご覧になってみてください。

この白化粧リム鉢もまた、盛りつけやすく料理映えするもののひとつです。刷毛で塗られた動きのある白の表情は、使い込むとアンティークのような深みのある表情へと変化します。食べ物のシミも付くし、くすんでもきます。ですが、「洗う、乾く、使う」その毎日の繰り返しの中で器はどんどん育っていきます。そして、その繰り返した分だけ、深く深く器の魅力も増すのだと思います。白の儚げな綺麗さも美しいですが、深く増した頃こそがわたしにとっては一番魅力的に感じる時です。

形の美しさだけではなく、使い勝手も良く、和洋中問わず、何を盛り付けてもぴたりと調和します。深さがあるので盛鉢としておかずや副菜、サラダを盛り付けたり、スープを入れたり丼鉢としても。とにかく用途がたくさんで、重宝すること間違いなし。

広めのリム部分、ここにも使いやすさと美しさの秘密があります。スープやポトフ、シチューなどの時、添えるパンを置いたり、ソースや調味料を載せたりと、一見無駄に思えてもきちんと役割も果たすし、その余白の部分には美しささえ感じます。

食事の時間は人にとって必要不可欠のもの。その一回一回の時間をどう愉しむかどうか、それは人それぞれで違いますが、私はせっかく同じ時間を過ごすなら有意義な時間を過ごしたい。美味しいものを大切な人と分かち合う時間を大事にしたい。その為のツールとして、器は欠かせない存在です。盛り付ける料理を想像しながらお料理する時間も、きっと愉しいひと時のはずです。

(当店で行われた展示会の様子です)

白化粧リム鉢は、店頭またはオンラインストアにてご覧いただけます。

白化粧リム鉢/髙野友美 ¥6,500+tax

 

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ツクリテ

北九州市門司区柳町2-6-29-101
TEL:093-342-9251
営業時間:11:00-17:00
定休日:月/日(第1・3)
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