プレイヤーラグの魅力

今日のひとしな
2021.10.14

~ 「エイトデイズ」より vol.14 ~

数あるトライバルラグの中でも個人的に大好きなのが、プレイヤーラグ(祈祷用絨毯)です。私物として2枚ほど持っていますが、大きさも手ごろなので素敵なのを見つけるとついつい買いたくなってしまいます。今回「tribe」さんが準備してくれた中にも何枚かプレイヤーラグがあり、どれも本当に素晴らしいです。えい!っと目をつぶって全部買ってしまいたい欲求にかられますが、さすがにそんな無茶はできませんよね。

お祈りに使うモノなので、多少抵抗を感じる方もおられるかもしれません。バルーチ族はプレイヤーラグをたくさん織る部族として知られていますが、宗教的に特に厳しいわけではないそうです。それどころか、宗教のために命を投げ出す、、なんてことは絶対にしない人々なんだとか。そういうところも好きになった理由の一つで、プレイヤーラグをコレクションしたいという欲求は強まるばかりです。


以前、トルコやイラン、パキスタンなどの音楽にのめりこんだ時期があって、そのころに読んだ本の中に、イスラムの祈りについて書かれた面白い記述がありました。久しぶりに本棚から引っ張り出して読み直してみたので、ちょっとここに転載してみます。著者は60年代にカイロ大学に留学しており、その時の友人の様子だそうです。

「今日は仲の良い友達の一人、サミハの部屋で一緒に勉強した。サミハは窓枠の上にノースリーブ、ショートパンツでどっかと座り、工学部の学生らしくT定規を片手に教科書にアンダーラインなどをしていた。(中絡)と、やおら彼女は窓辺からおりて、ごそごそし出した。私が怪訝な顔をしたら、お祈りをするんだと言って、洋服ダンスの中からシーツのような大きい白い布を持ち出した。布の真ん中にぽっかり穴があいている。それを慣れた手つきで頭からすっぽりかぶると、彼女の豊かなグラマー姿は、一瞬にしてすっかり肌の隠れた信仰深い女性に早変わりした。サミハは神妙な顔をしてベッドからずるずると毛布を引きずり下ろすと、それを床の上に細長く敷き、その上にドンと立つと、私の方を向いて丁寧にお辞儀を始めた。たまたま、こちらがメッカの方向にあたっていたのだ。口でぶつぶつクルアーンの文句を唱えながら、座ったり立ったり美容体操のようなお祈りを、真剣な面持ちでやりはじめた。(中絡)10分ほどでお祈りが終わるとサミハはひょいと白いかぶりものを脱ぎ捨てて、毛布の代用カーペットを無造作にベッドに戻し、また涼しい窓枠の上にドカンとあぐらを組んで、教科書を広げた。お祈りした後の爽快さだろうか、楽しげに"If you love me,kiss me"などとアメリカのラブソングを口ずさみながら、ややこしい数式に取り組んでいる。」

「イスラームの日常世界」 片倉ともこ著 岩波新書より


イスラムのお祈りって案外カジュアルなんですね。文章のせいもあるとは思いますが、ちょっとユーモラスにさえ感じてしまいます。近年よりこの頃(60年代)の方がより一層おおらかだったようですが。本来イスラム教は割と自由な宗教であると聞いたことがあります。「剣かコーランか」という例えは、むしろ中世キリスト教に当てはまるといいます。イスラム世界は私たちにとっては遠い存在ですが、美しいプレイヤーラグを通じて少しでも親近感が芽生えれば、、という風にも思ったりもします。

さて、明日からは素敵なプレイヤーラグを何枚かご紹介いたします。お楽しみに。

 

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