鳥や動物が織り込まれたハムセのメインラグ

今日のひとしな
2021.10.22

~ 「エイトデイズ」より vol.22 ~

前回までカシュガイ族の織物をいくつかご紹介しましたが、今回のハムセ連合も同じイラン南部のファルス地方で、少し東寄りの地域を中心に遊牧していた人々です。トライバルラグらしさが詰まった絨毯を織るので、日本でも人気があります。

ハムセとはアラビア語で『5』を意味します。トライバルラグの分類においての「ハムセもしくはハムサ」とは、アラブ系の遊牧民を含む5つの部族の連合体の総称です。研究者によってアラブ族、バーセリー族、バハルー族、アイヌルー族、ナルファルー族などの5つに分類されていますが、さまざまな少数部族の連合体なので、それぞれの絨毯の分類は難しいところです。遊牧民というと牧歌的で平和な雰囲気ですが、実際には争いなども多く、小さい部族が結束してカシュガイ族などに対抗していたそうです。

今回のラグはアラブ系部族の織ったものと思われますが、特徴的な鳥(鶏=ムルグ)文様と連続した菱形のモチーフが特徴的な、ハムセらしいトライバルラグです。柄をよく見ていくと、あらかじめ細かくデザインを決めて織っているようには見えません。左右は非対称になっていて、動物達や紋様が思いつくまま織られたようです。この自由な楽しさがハムセのラグの良さではないでしょうか。


こういったテイストのラグは、ネットショップなどではよく「シラーズ」と呼ばれています。シラーズとはファルス地方の中心に位置する街で、このエリアのラグの集積地として知られています。カシュガイ族、ルル(ロリ)族、ハムセ連合、などが織るラグは欧米での人気も高く、それに伴ってシラーズという名前がブランド化していったようです。ただこれはラグのオリジンを示す言葉ではないため、当店では使わないようにしています。




パイル 羊毛 150x100cm  19世紀

 

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