～「blank+」より vol.18 ～

秋田市で木製スプーンを制作している「九十九（つくも）スプーン」。

制作するアイテムは、スプーンのみ。

種麹菌や酵母を活かす醸造業に携わるお仕事の合間に、おひとりでほとんどの工程を手作業でスプーンを削っています。

食卓に寄り添い末永く愛用していただけるようにと、木のもつ様々な特徴と向き合いながら手間を惜しまずに丁寧に作られるスプーンは、木のイメージからは想像できないような驚くほど滑らかで柔らかな質感に仕上がります。

口に含んだ時の木の節等の引っかかりは、全くと言っていい程なく、口内に負荷を感じることなく食事することが出来ます。金属のカトラリーと遜色なく、実用的で機能的。

食材の色が染み込んだり表情を変化させながら、手に、口に馴染む自分だけのスプーンとして育てる楽しさを味わえるカトラリーです。

販売して終わりではなく、「お手入れ」を加えることでスプーンの変化をお客様とつくり手で共有し、更に愛着が沸くことで長く愛用していただくサイクルをつくっていきたいという想いから定期的に「メンテナンス会」を開催しています。

屋号の「九十九（つくも）」の由来は、‟古い道具に精霊や妖怪が宿る”という民間信仰からつけたのだそう。実は、ご自身のお父様は職歴50年の大工職人。一部の道具を引き継ぎ、道具に宿る歴史と想いも受け継ぎながら、魂が宿るほど長く大切にされるスプーンが１本でも生まれるように、という願いを込めてスプーンをつくっています。

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