千葉さんがつくるもの 「千葉工作所」

～「soup. 」「soup. Life Store」より　vol.15～

こんにちは。スタッフの野田です。
本日ご紹介するのは暮らしにまつわる金属製品を製作する「千葉工作所」。
デザインから製作までを一手に行われています。

千葉さんの製品との出会いは10年程前のアメリカでした。ＬAのとあるショップで見かけた真鍮製のペーパーホルダー。その美しさに一目惚れし、どなたの作品か聞くと、日本の作家さん、ましてや弊店と同じ愛知県にいらっしゃる！　この出会いがきっかけとなり、千葉さんの製品を取り扱いさせていただくことになりました。

千葉工作所は1976年創業。名古屋市南区に鉄工所を構え、主に自動車関係のパーツなどを製作しています。三代目である千葉直樹氏は大学でデザインを学び、卒業後は家業を手伝いながらも、金属作家のアトリエ巡りなど、「金属の現場での生き方」を模索してきました。2000年頃から自社機械と手仕事の可能性を広げる活動を始められ、デザイナーや設計士との出会いを機に、インテリアや建築に関わる特注金物の受注、オリジナルプロダクトのデザインと製作を始められました。

手工芸品でもないし、作品でもないし、何より使ってほしい。
ペーパーホルダーやタオルバー、フックなど実用的な住宅パーツが代表作。
そのデザイン性と完成度は建築、インテリア、クラフト業界に知れ渡ります。

「使い手にとって使いやすく、そして暮らしに溶け込むもの」
その想いをもとに、千葉さんと奥様、お二人により生み出される製品は、素材そのものの魅力を最大限に生かし、究極にシンプル。ただ、シンプルになればなるほど、そのプロセスはより複雑になります。

真鍮素材はそのままだと折れやすいため、曲げ加工は機械で曲げてから最終調整は人力。鉄よりも柔らかい真鍮は折りムラが出やすく、水平垂直を出すのも至難の業です。
真鍮部材はカドやバリをすべて手作業で面取り。繊細な部材の中に、手作業の柔らかさが感じられます。

部材の接合は強度と美しさを実現する銀ロウづけ。高強度と高密度な接合が可能な分、繊細な作業が求められ、一般的な溶接に比べ相当の手間がかかっています。

表面は縦横斜め、すべて手作業で傷（表情）をつけていき、そのマットで穏やかな表情が生まれます。取り付け用のビスも抜かりなく付属してくださいます。主に奥様が担当され、手仕事の奥深さがここでもさらに足されていきます。

そして完成した製品の梱包もお二人の手で。空気に触れると変化する真鍮素材は時間との勝負。最後のところまで責任を持って、ひとのせいにしない。0から10までやり抜く。その丁寧な梱包にいつも私たちも身が引き締まります。

ひとつの製品が生まれるまでのその手間と労力。私たちの想像をはるかに超えます。
当然ながら一気にたくさんつくることはできません。
デザイン性と完成度を常に高みを目指しつつ、「一人でも多くの方に届けるため、より効率的に製作するにはどうするか」、日々追求されています。

そして、どんなに多忙な中でも、常に新作のアイデアを練り、製品化の試行錯誤。また金属以外の素材との組み合わせ、作家さんとのコラボなど、頭と手が止まることのない創作の日々を送られています。

製品の販売だけでなくつくり手の想いを伝えるのが私たちの使命です。
実際に製品を見る、プロセスを知る、つくり手の想いに触れる。
そうすることで愛着が湧き、大切に、単なる道具ではなく、暮らしの宝物になります。

多くの方に実際に手に取ってほしい、新作の反応も見てみたい、と普段はなかなか使い手と直接コミュニケーションのとれる機会の少ない千葉さん。そして、千葉工作所の製品を実際に触れてみたい、手に入れたい、使い手。両者の想いをつなげるため、昨年10月に千葉さん初めての個展を弊店にて開催しました。

大きな反響をいただき、多くの方がご来店され、関西や東京からもお越しになる方も。千葉さん、そして使い手の方々に大変喜んでいただきました。

製品が完成するといつもお店まで直接届けてくれる千葉さん。
いつも新たな取り組みをお話ししてくれる千葉さん。
その穏やかで優しいお人柄、そしてその中にある情熱。
手仕事品とプロダクト品の境界線を追求する「千葉さんがつくるもの」。
毎日の暮らしをともにする一生ものの道具。
ぜひあなたの暮らしに。

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