皆に愛される染め物　染色家・山内武志さん

～「soup. 」「soup. Life Store」より　vol.21～

こんにちは。スタッフの野田です。
幅広い世代から多くの支持を集める染色家 山内武志さんをご紹介させていただきます。

10代後半から、型絵染 人間国宝・芹沢銈介氏に師事。その後浜松に戻り、様々な染め物の創作に取り組まれています。今年で85歳を迎えられた今でも、精力的に新しい創作に挑み続けられ、いつも私たちの感性を震わせ、感動を与えてくれます。ダイナミックな図案、優しくてあたたかい色使いは、空間に彩りと趣き、そして安らぎを与えてくれます。

年を重ねても、そのものづくりスタイルは変わらず、型紙づくりから染め、水洗いまでを一貫してお一人で行われています。豊富な型と色の組み合わせは数知れず。山内さんの作品には手しごとならではの懐かしさとあたたかさが宿ります。

山内さんの拠点である浜松は弊店から近い場所に位置し、作業される工房や、ご息女の陽子さんが店主を務める直営店「アトリエぬいや」にはよく伺わせていただいています。山内さんや陽子さんはいつも本当にあたたかく迎え入れてくださり、これまで何度も交流を深めてきました。工房では型染体験をさせていただいたり、弊店のためだけにサプライズで特別な型で作品をつくってくださったり、貴重で大切な思い出がたくさんあります。

山内さんの染め物の魅力……。言葉で表現するのは抽象的になってしまい難しいのですが、どのような空間でも、和でも洋でも、テイストを選ばず、それぞれの暮らしに溶け込むところです。作品だけみると一見色鮮やかで「派手」に感じるものも、暮らしの中では空間と調和し、さりげなく彩りを与えてくれます。それは具象と抽象の間のおおらかな柄、そして自然素材由来の鮮やかながらも素朴さを感じる優しい染め色、手仕事ならでは均一ではない有機的な味わいと偶発的に生まれた染めのにじみ。そしてすべてが世界に一つだけとの巡り会いのワクワク感。私たちの心を満たしてくれる不思議な魅力に溢れています。

多くの染め物の中でも特に「のれん」は大変人気。代表作は静岡といえばの「富士山」。今年５月に開催した企画展では、多くの方に作品が届くようにと、山内さんに大変尽力いただきました。のれんは過去最大の展示枚数を展示することができ、圧倒的な空間をつくることができました。

山内さんに足を運んでいただき、「染め物の森のよう」「こんなにも自分の染め物を一堂に観られるのは初めてかも」と、とても嬉しいお言葉をいただくことができました。特別開催したトークショーは満席の大盛況。山内さんに会いに県をまたいで、関東や関西から、多くのファンの方にお越しいただき、改めて山内さんの人気の高さ、みんなに愛されていることを実感いたしました。

「まだまだつくりつづけるよ」、その熱意と創造は途切れることなく、いつも私たちに感動を与えてくれます。そして新たらしいことへの探究も途切れることなく、これからの創作にもますます注目が集まります。お会いするたびに新しい発見があり、私たちもとても楽しみにしています。

★取り扱い店舗　soup. 

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