山梨に伝わるほぐし織りで作った「鷹の羽ほぐし」のバッグ

今日のひとしな
2017.06.13

~ 遊 中川より vol.6 ~

きのうご紹介した「産地のテキスタイル」シリーズをもうひとつご紹介します。それが、山梨県・ほぐし織り。この織物の作成工程は、一度聞いただけでは理解できない難解さです。

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まず仮織りした経糸に柄を手捺染し、色の数だけ作業を繰り返します。その後、高圧釜で染料を定着させ、経糸の調整のため何度も巻き返したあと、仮織りの糸を手でほぐしながら抜き、同時に本織りへと進みます。

横糸をほぐすという作業は、人の手で行うので集中力を切らさず常に同じ場所で黙々と続けなければなりません。その工程だけでも、なんという労力。正直、なぜそこまでと思うような地道で忍耐のいる織物です。

その複雑な工程がもたらすのは、微妙なズレによる何ともいえない柔和な味わい。機械プリントでは表現できない揺らぎこそ、産地の職人が追い求めた美しさなのだろうと思います。

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今回はその特徴を存分に活かせるように、絣の代表的な柄である「矢絣(やがすり)」を、「鷹の羽」に見立ててデザインしました。山梨県といえば富士、富士といえば「一富士二鷹三茄子」の鷹、矢絣といえば矢羽根(鷹の羽根が使われていました)……という連想です。古典的なモチーフではありますが、夏らしい華やかな色目に仕上げています。

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手がけていただいたのは、創業90余年の舟久保織物さん。天然素材の広巾織物という難しいオーダーに熱意を持って応えていただきました。人が美を求める際の直向さ、その先にある純粋な喜びを、少しでも感じていただければ幸いです。

バッグ 鷹の羽ほぐし
8,424円(税込)

 

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中川政七商店

1716年(享保元年)創業以来、手績み手織りの麻織物を扱い続ける奈良の老舗。「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げ、「中川政七商店」「遊 中川」「日本市」「2&9」「motta」「花園樹斎」などのオリジナルブランドを展開。日本全国、その土地ごとに受け継がれてきた職人の技や想い、暮らしの知恵が息づく生活雑貨を数多く生み出している。300周年を機に、全国の工芸産地と読者をつなぐウェブメディア「さんち ~工芸と探訪~」をスタート。

 

中川政七商店 表参道店
東京都渋谷区神宮前5-43-7 1F
TEL:03-3409-2260
営業時間:11:00~19:00
定休日:年末年始
http://www.yu-nakagawa.co.jp/p/2428

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