颯爽とした水切りかご、勢司恵美さんの茶碗めご

今日のひとしな
2017.08.09

~ musubi(むすび)より vol.9 ~

颯爽と吹き抜ける風のような、凛とした表情を持つ竹かごに初めて出会ったのは7年前のこと。野外展示で見かけた樹々の中で気持ちよさそうに佇むかごも、作り手の弾けるような笑顔も、その時からずっと脳裏にあって、行く先々で目にし、手にし、もう目の端っこに映っただけでも「あ、あの人のかごだ!」と感知するように。

09勢司恵美さんの茶碗めご_03

大分の訓練校で竹細工を学び、その後、地元茨城に戻った勢司恵美さん。ある時、どうして竹を選んだのかと尋ねたら、彼女の口から至極純粋で美しい言葉がこぼれた。
「竹は矛盾がないから」

09勢司恵美さんの茶碗めご_04

環境問題に関心を寄せていた彼女は、自然の素材、それも地元で採れるもの、土に還るものを探していたという。昔から続いてきたものながら、様々な要因から技術を受け継がなければ作られなくなってしまうもの。自ら山に入り、竹を刈り、材を作り、かごに仕上げる。山は手入れをしなければ荒れる。竹害が叫ばれて久しいが、彼女の仕事は自然や環境の循環の輪の中にあるのだ。

09勢司恵美さんの茶碗めご_02

繊細な縁編みが目を惹く、真竹の茶碗めご(「めご」とは大分県の方言で「かご」のこと)。底上げしてあるので水切れがいい。竹自体も水を吸ってくれるので乾きがすこぶる早い。あたりが柔らかく大切な器を傷つけない。軽いので使わない時には壁にかけておいてもいい。

勢司恵美さんの茶碗めこ゛_01

内輪の留め部分には精麻を用いて、いつの日か役目を終えたら土に還るように。作り手自身の真摯な姿が映し出されたような颯爽とした美しいかごです。

 

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musubi(むすび)

普段の暮らしに、ささやかだけれど美しく、しっかり寄り添ってくれる日用品や雑貨をセレクトしたお店。「今日のひとしな」の執筆は、店主の坂本眞紀さん。

 

東京都国立市富士見台1-8-37
TEL:042-575-0084
営業時間:12:00~18:00
定休日:日、月曜
WEB:http://www.musubiwork.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/musubiwork/
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