和歌山の郷土料理・茶粥の朝ごはん
「うつわと雑貨Lino(リーノ)」井上友子さんvol.1
はじめまして。
和歌山県の田辺市という場所で、暮らしのものを扱うお店をしています、「うつわと雑貨Lino」 井上友子と申します。
和歌山は新鮮な食材がすぐ手に入れられるという恵まれた環境で、あまり手を加えない簡単でシンプルなご飯となりますがご覧頂けると嬉しく思います。10月の1か月間、どうぞよろしくお願いいたします。
お店を始めて8年になりますが、10年程前から器を作りを学ぶ為、熊野古道である滝尻王子のすぐ近くの山奥にしばらく通う日々が続きました。今ではその経験が少しは役に立っているかもと感じております。
作家さんの人数は多いほうではないのですが、シンプルで使い勝手の良い物をお店で扱っています。実際に目で見て触って頂いて、どんなお料理に合いそうか、どういう使い方をするかお客様とお話しながらのスタイルでお店をしています。
私の料理の原点はというと……祖母のそばで、金山寺味噌を作る工程や、ぬか床をかき混ぜる、石臼を回しながら豆を入れる、梅干しを干す、どくだみを干してお茶にする、そんな一つ一つを見て育ちました。その経験が今の私の暮らしとなり、このお店にと繋がっています。だから、目指しているのは見知らぬどこかの誰かではなく、私の祖母なのかもしれません(笑)
前置きが長くなりましたが、和歌山の郷土料理といえば茶粥。
茶粥は、子供の時から食べていて、とてもなじみのある朝ごはん。
毎日ではありませんが、時間のある時には朝から土鍋で炊きます。
祖母が「おかいさんは、強火で炊き上げるのが一番美味しいんやで」と、うちわを仰ぎながらいつも話していたのを思い出します。
つけ合わせは、金山寺味噌と梅干しが定番で、それに地元のしらすも加われば最高です。
梅は、砂糖・塩・酢に漬けたものを干して作った自家製で、しょうがはその梅酢で漬けたものです。梅酢は、お寿司に使ったり野菜を漬けたり出来る万能調味料です。
お味噌は祖母が作ってくれた、瓜がごろっと入った甘めの金山寺味噌が大好きで、それととても良く似ている直売所のお味噌を今は使っています。
ぬか漬けは、春からぬかを炒ってぬか床を育てていて、毎日色々な野菜を漬けています。
茶粥を食べると身体も温まり、ちょっと食欲のない時でも美味しく頂けます。
茶粥は中田雄一さんの器
自家製ぬか漬けは古伊万里の器
しらすのは松浦ナオコさんの器
梅干しは中本純也さんの器
かぼちゃの煮物はくまがいのぞみさんの器
しょうがの梅酢漬けは、花岡隆さんの器
金山寺味噌は加藤祥孝さんの器
箸置きは、はしもとさちえさん
フルーツは井上茂さんの器
茶粥はその日に出来立てを食べた方が美味しく、沢山は食べられないので1合用の土鍋を愛用しています。シンプルな形も気に入っていて、白は経年変化が楽しめるので育てていこうと思います。
茶粥の土鍋、しょうがの蓋つきの器は石渡磨美さん。蓋物の器は塩壺として、保存食を入れるものとしてとても重宝しています。
石渡さんは来月11月の企画展に参加頂く作家さんで、今から私自身もとても楽しみなのです。
朝は毎日、愛犬・ゆずの散歩をしてから朝ごはんをいただいています。
運動量の必要な犬なので、20分~30分は歩くようになりました。
そのせいか運動をしてからの朝ごはんは特に美味しく感じられ、体調も崩しにくくなったように思います。
身体にじんわり染みわたる料理と、素敵な器で見た目も美しい……そんな朝ごはんをご紹介できたら、と思っています。
では、次回もまたお会いしましょう。
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