ドライフルーツ入りホットケーキの朝ごはん

私には、もうすぐ22歳になる大学生の息子と、結婚29年目の大学に勤務する研究者の主人がいます。お店を始める前は、フリーのマーケティングの仕事をしていましたし、主人も職業柄、毎日出かけるということがなかったので、何もなければ夜中の３時頃に寝て、朝10時過ぎに起きるというような生活をしていました。その頃は、朝はコーヒーだけで１日２食というのが常でしたので、朝ごはんを作ることはほぼありませんでした。

結婚７年目に子供が生まれ１歳から保育園に行き始めてからは、そんな生活が一変。子供に朝ごはんを食べさせなければならなくなったのです。保育園の時はそれでも、８時ごろ起きて９時過ぎに連れて行くタイムテーブルでしたが、小学生になると７時には起きて朝ごはんを作らないと間に合いません。中学からは電車通学になったのでさらに早く起きるようになり、「人間、その気になればできるものだ」と我ながら感心しました。

息子が大学生になると、（自分の経験上、朝から大学に行くことはなかったので）「朝ごはん作りも、これで終わりか！？」と安心しかけたのですが、今時の大学生は真面目でした。一限目からしっかり出席して、長期休みでも、朝から部活に出かけていきます。というわけで、息子のための朝ごはん作りは続き、そのおかげで私も毎日朝ごはんを食べています。朝のほんの少しの時間ですが、これが息子とコミュニケーションをとる時間になりました。反抗期もありましたが、朝ごはんは食べ続けました。

最近、息子はアルバイトで塾講師や家庭教師をしたり、お友達の家に泊まりに行ったりしていろいろな家庭を知るようになると、朝ごはんを作らない母親が結構いることを知って、ちょっとびっくりしたらしく「母ちゃんは今まで朝ごはん作らなかったことなかったね」と少しありがたみを感じたようです。ですので、私と息子はずっと同じ朝ごはんを食べています。

こんなことを書くとなんだか偉そうですが、ごはん作りに限らず子育てって自己満足だと思っています。産み方、母乳かミルクか、紙おむつか布おむつか……といった育て方には、正解はないと思います。自分がやりたいようにしたらいいのだと思います。知人には子供に朝ごはんを作らせるという人もいて、それもありだと思います。私は自分が作りたくて作ってきましたが、今はむしろもっと子供に作らせたらよかったと後悔しています。

主人はというと、たまに朝早く起きた日は、私たちと一緒に食べることもありますが、朝方まで仕事をしてお昼前に起きるという、それまでのライフスタイルはあまり変わりませんでした。しかし、最近は老後のこと、「もし自分が一人残されたら」ということを考えるようになり、自分の遅めの朝ごはん、簡単なお蕎麦やポタージュを作るようになりました。これは主人にしたら非常に進歩で、感心しています。

そして、私のお店「ひねもすのたり」についても、少しだけ。カフェでは、「おそうざいセット」という一汁三菜の食事を中心に、軽食、お茶など、なるべく安心できる素材を使って、家庭料理の延長のような感じでお出ししています。もともとは、販売している器を使ってごはんやおかずを提供する、つまり、実際に使って、見て、触って「いいな」と思ったら買っていただくというコンセプトで始めたお店でした。ですから、今でもネットで器を販売するということはしていないのです。

ただ、オープンしてから12年がたち、今は器だけでなくアクセサリーや布製品、調味料、お茶なども販売するようになりました。カフェでも展示会や、能楽や絵巻物などの講座、朗読会、トークイベント、お料理教室、コンサートなどのイベントも行なっています。阿佐ヶ谷までいらっしゃることがありましたら、どうぞお立ち寄りください。

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