ストイックなものづくりから生まれた美しきカトラリー

～「les trois entrepots（レ・トロワ・アントゥルプ）」より vol.21 ～

それは木工作家・北山栄太さんの作品のお取り扱いが始まってから1年程経った頃、工房で話をしていた時のこと。「あの時に購入いただいた作品の出来具合に実はあまり満足していなかったんです」と言い出した北山さん。　以前、個人的に買い求めた北山さんのカトラリー、私たちとしては十分に満足していたのですが、同じアイテムの新旧作品を比べると確かに曲線や持ちやすさに差があったのです。進化するために日々奥深く追究しているストックな姿勢にとても驚かされました。

前出のお話はこのカトラリーのこと。なめらかで美しいラインはとても木製とは思えません。鉄媒染の上にガラスコーティングされているので、使い勝手もよく、長きに渡って楽しんでいただけると思います。この技法はカトラリーだけではなくプレートにも施されています。

北山さんの作るプレートはフォルムが大変美しく、リムの縁に高さを出すことで生まれる陰影が、強い存在感は放っています。また素材へのこだわりも強く、画像右のポワソン皿には見事なバーズアイが現れています。木の持つそれぞれの表情を巧みに美しく活かした北山さんの作品は静寂のなかに強さを感じます。

極限まで削ぎ落としたシンプルなデザインは、毎日のテーブルで料理を際立たせてくれることでしょう。そんな北山栄太さんの作品をご覧いただける個展を９月１９日〜２７日まで開催します。ぜひお出掛けください。

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写真：太田昌宏

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