100年のときを越え、ロボット掃除機にも対応するテレビボード

令和の家具事典
2024.05.02

※Come home! webに掲載された記事を転載しています


時間はお金で買うことができない。だからこそアンティーク家具は貴重です。
時を経たからこそ味わうことのできる造りの良さや風合いの美しさがあります。

ICCA(イッカ)」が取り扱う家具は、材質や造り、デザイン、様々な視点から選りすぐった大正時代の逸品たち。そこには、当時の名もなき名人たちの美意識や思いやりが詰まっています。

造り手の気持ちに思いを馳せながら、修繕したり、現代にフィットするように見立て、手を加え、家具の個性を高めて、伝えてゆく。それが私たちの仕事です。

今回は、ICCAを惹きつけてやまないアンティーク和家具の魅力と、そこからインスピレーションを受け開発したオリジナル作品をご紹介したいと思います。

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No.01
「貴婦人なローボード」

 

卓上ショーケースを
テレビボードへ見立てる


家具はその時代ごと、暮らしにフィットするように作られています。
大正時代前後、テレビを見る文化はありませんでしたので、当然テレビボードもありません。
ないなら作る、がICCAのものづくりのスタンス。

もともとはお店の卓上ショーケースとして商品を展示するために使われていた家具を、テレビボードに見立て、リメイクしました。

 

フロントはオープン棚に


テレビボードの利用シーンを考えると、ショーケースのようにフロント部分がガラス面になると出し入れがしにくくなり不便、また、反対側は引き戸ですが、デザインが簡素なためものたりない。なのでフロントのガラスを取り外しオープンにすることで、この家具の装飾も楽しみながら、使用感もよくお使いいただける仕様にしました。

 

テレビボードとしてちょうどよい高さ


このテレビボードはワイドが120cm程度。置けるテレビの最大サイズは50インチ(ワイド110cm)ほどのもの。このサイズのテレビの場合、ソファに座ったときにちょうど目線がテレビとフラットになる高さが40cm〜50cm程度だと想定し、ICCAオリジナルのろくろ脚を取り付けて、高さの調整をしています。

加えて、最近では、ロボット掃除機が通るかどうかが大切、というお声も多いため、脚の高さを10cm以上にすることで、その問題をクリアしています。

 

時間が表現した世界観を大切にする


経年した楢材の表情は、佇まいに奥行きが感じられ、凛としていて、それでいてホッとするような心地よさがあります。時が織りなす美しさに調和させてゆく。それがICCAの家具をリペア、リメイクする際のルール。

木工旋盤で引き出したろくろ脚は、古材を使用しているとはいえ、挽き立ての状態は新品とかわらない風合いです。それを独自の製法でエイジングし、アンティークの風合いと違和感なく調和させています。

ろくろ脚の形状も、大正期の様々な脚を研究し、そのエッセンスを詰め込んでデザインしたもの。当時の家具とも相性がよく、よりモダンな印象を与えてくれています。

 

使い手と時間を育める家具であること


アンティーク家具は使用感が悪かったり、使い初めてまもなく壊れてしまっても「アンティークだからしかたがない。」となってしまう。アンティークをネガティブな言葉として使うことは造り手としてはとても悲しいことです。

せっかく100年以上の時を越えてつながったものだからこそ、今の使い手の方ともよい関係を築いて、次の世代へつなげていってほしいと思います。

たとえば、このテレビボードはもともとガラスの卓上ショーケースですので、上に重いものを置く想定で作られていません。何もしなければ強度が不安です。

しっかりと補強を加え、テレビボードとして機能するように作る。
そうすることで、家具が中長期的に機能を維持してくれます。
愛情を注いだ分、応えてくれるような家具であってほしいと、私たちは考えています。

「貴婦人なローボード」
SIZE:W119.7cm×D37cm×H49.5cm
MATERIAL:楢材

 

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ICCA(イッカ)

千葉県香取市北3-1-17
TEL:047-877-9087
HP:https://icca-life.com/
Instagram:@icca_life
店の営業日はHPにてご確認ください

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