【フリッツ・ハンセン】創業150年でよみがえった幻のラウンジチェア

令和の家具事典
2024.06.30

※Come home! webに掲載された記事を転載しています


「これでいい」ではなく「これがいい」があるお店。「CONNECT(コネクト)」は、シンプルで心地よい暮らしをご提案しています。作り手とお客様の心地良い暮らしの架け橋になれるよう情報発信をさせていただいています。

 

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No.29
ラウンジチェアPK0 A

復刻品「PK0 A」誕生の秘話

ラウンジチェアPK0は1952年にポール・ケアホルムによってデザインされ、今年、FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン)創業150周年で「PK0 A」として復刻販売された幻の作品と言われています。

ポール・ケアホルムは、1951年にフリッツ・ハンセンに入社しました。フリッツ・ハンセンは従来、外部のデザイナーとのコラボで製品を作り出しているブランドのため、デザイナーとしてポール・ケアホルムが入社したことは極めて異例な出来事です。

入社後、PK0という木製チェアをデザインしましたが、当時の社長ソーレ・ハンセンに製品化を却下されてしまい、彼はフリッツ・ハンセンを去ることになりました。
そしてくしくも彼の没後、PK0は1997年フリッツ・ハンセン125周年記念で600台のみ限定で製品化されましたが、その後今回の復刻まで一度も世に出ることはありませんでした。


彼は、フリッツ・ハンセン退社後に約4年間にわたり家具の素材への探求を続けました。その長い試行錯誤の末たどり着いたのが、ステンレスだと言われています。
その後、彼はステンレスを使った数多くの名作を生み出しました。
そのため、彼の作品の中で唯一すべて木製のチェアの「PK0 A」は大変貴重な作品です。

 

高い技術だからできるシンプルな構造


「PK0 A」は、よく見ると2枚の成形合板が曲線を描きながら巧みに組み合わされている構造です。背もたれの下の方の細くなった部分に急な角度をつけ湾曲させることは特に高い技術を必要とします。こうすることで背もたれがしなるため身体にフィットし楽な姿勢で座ることができます。

成形合板の高い技術を熟知したフリッツ・ハンセンでさえ、制作が難しいPK0は長い間復刻されなかった幻の作品です。


© Nacása & Partners Inc. FUTA Moriishi

 

日本の空間に馴染むポール・ケアホルムの作品

ポール・ケアホルムの制作拠点であった自宅は、親日家のハンナ・ケアホルムが設計しました。随所に日本文化が取り入れられていたので、彼の作品は伝統的な日本の空間とも相性が良いといわれています。

日本の数寄屋造りは質素ながら趣のある空間が好まれ、「わびさび」の美しさを表現しています。
ポール・ケアホルムの無駄を極限まで取り除く作品へのストイックな姿勢は、茶室のしつらえのような余計な装飾を取り除いた日本の美意識へ通じると言えます。

 

FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン) /PK0 A(ピーケー0 A)
Material:本体シートとベース/成形合板 スペーサー/EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、スチール グライド/ハイトレル 3548(熱可塑性ポリエステルエラストマー)
Size:W660×D625×H660(約mm)、SH400(約mm)

 

CONNECTは空間を豊かにするインテリアの重要性を理解して、建築を含めた空間のご提案をしています。お取り扱いしているアイテムは照明を含め、シンプルで心地良く、ライフスタイルが変わっても長く愛用できるものばかりです。皆さまの心地よい、理想の空間をつくるお手伝いができれば幸いです。

 

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