運命のチーズケーキと子育てと Vol.1 チーズ研究家 かのうかおりさん
デンマークの小さな工場で作られるクリームチーズを使い、小麦粉を使わずに仕上げたグルテンフリーの
「バスクのチーズケーキ」。黒い焦げの香ばしさが濃厚なチーズをひきたてる。
「カオリーヌ菓子店」は、チーズ研究家のかのうかおりさんが、
インターネット上でオープンさせた手作りスイーツの店です。
(※現在は休止中です)
その中で販売されているのがバスクチーズケーキ。
初めて見た人は、真っ黒に焦げているのでびっくりするはず。
でも、これが、おいしさの秘密なのです。黒いこげが香ばしく、
濃厚なチーズの味を引き立てます。
かのうさんがこのチーズケーキを知ったのは
なんと当時3歳だった長男の留伽(るか)くんをおいて、
1か月間ひとりでバスクを旅したときのことでした。
「バスクの食について、どうしても知りたくなって、
夫に頼んで行かせてもらいました。
スペインのバルで、みんながワインに合わせてチーズケーキを食べていたので、
オーダーしてみたら、とびきりおいしくて!
帰国したら絶対にこの味を日本の人にお届けする!と決めました」と笑います。
一見もの静かに見えるかのうさんが、大胆な行動を起こすのは、
これが初めてではありません。学生時代卒業後は会社勤めをしながら、
お菓子教室へ。当時はチーズなんて嫌いだったそう。
「社会人になってワインを飲むようになって、
チーズ専門店にチーズを買いに行きました。
でも、種類がありすぎて違いがわからない。
店頭にチーズの専門学校のちらしがおいてあったので、
通ってみることにしたんです」。
今度は本場フランスでチーズのことを学びたいと、
結婚2年目にワーキングホリデー制度を利用し単身渡仏。
チーズ農家や山奥のチーズ工房へ行ったり、パリのチーズ専門店で働いたり。
フランスにいたときのチーズ屋さんの場所や買い物メモ、食べたチーズのラベル
「ヤギを育てるところから、一貫してチーズ作りを見てみたかったんです」。
その探究心の深いこと!
帰国後、友達を招いて「チーズ会」を開くうちに、
それが「チーズ講座」という教室になりました。
その合間にブルーチーズのチーズケーキを作り
ホームページを立ち上げて、販売を開始。出産を経て、
バスクチーズケーキとめぐりあったという訳です。
Vol.2につづく
『暮らしのおへそ』vol.21より text:一田憲子 photo:有賀傑
Profile
かのうかおり
チーズ研究家。菓子やフランス料理を長年学ぶ。チーズに興味を持ち、10年間の会社勤務ののち、夫を日本に残して単身渡仏。1年間の滞在中農家での研修から販売までを学び、帰国後はチーズを中心とした勉強会を開催。WEB「カオリーヌ菓子店」では手作りスイーツを販売。(現在休止中)
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