【小さなおへそ2】部屋づくりにプロの視点を取り入れてみる ― 平野美香さん

暮らしのおへそ
2021.10.06

身近で身の丈。
暮らしに寄り添うアドバイスには
明日を変える力があります。


平野さんの自宅。以前の住まいより狭くなったので、ダイニングテーブルを円形に変更。コンパクトで居心地のいい空間のお手本。

 

インスタ映えする部屋が
心地いいわけじゃないんです

椅子を1脚買いたい。そんなとき、ちょっと相談できる人がいたら……。平野美香さんは、そんな「ちょっと」を叶えてくれる、生活空間コーディネーターです。ふだんの暮らしのなかの「困った」や「こうしたい」に応えてくれるプロは意外にいないもの。

「自分だけでは決めきれないときにご相談いただければ」と平野さん。

初めて利用した人は、きっとびっくりするはず。椅子を買いたかったはずなのに、平野さんが質問するのは、子どもとの過ごし方だったり夕飯の献立だったり。


「あのインスタで紹介されていた椅子が欲しい……。ご希望を聞いていると、みなさん『誰か』が選んだものを真似したいだけで、『自分がどう暮らしたいか』が意外にわかっていません。だからまずは、『この椅子を手に入れたら、どんな時間を過ごしたいですか?』とお聞きするんです」

実際に買い物に行く前に、アドバイスを受ければ、あちこちショップを駆け回ることもなく、時間や手間を省くことも可能です。5年、10年先を見ることも大事。大家族だと大きなダイニングテーブルが必要だと思いがちですが、子どもたちが巣立てば夫婦ふたりに。だったら、大人数で集うときは、食卓横にキャンプ用テーブルを並べてクロスをかければいい。

2児の母でもある平野さん。ものを買って解決するだけではないアドバイスは生活者の目線だからこそ。「木の家具のなかに1脚アイアン素材を入れると抜け感が出ますよ」「ペンダントライトはシェードが見える高さに吊るすのがおすすめ」と、部屋がぐんとあか抜けるコツも教えてくれます。

どんな部屋にしたいかは、どう暮らし、どう生きたいかにつながっています。心の奥にある声にそっと耳を傾けてくれる。そんなインテリア相談は、きっと明日を変えてくれそうです。


過ごす「時間」に合わせたパッケージをつくる
食卓の後ろのチェストには、トレイや持ち手付きのボックスに、カトラリーやお茶の道具などをひとまとめに。過ごす時間に合わせたしまい方、並べ方に。


子どもの目線でしまい場所をつくる
食卓にセッティングする取り皿やカップ類を日本の古家具にしまっている。この高さなら子どもたちもお手伝いしやすい。母親目線での提案も多くの人に好評。


異素材を組み合わせる
木のぬくもりのなかに、ひとつだけアイアン素材の椅子を入れることで、空間が引き締まり、クールな印象に。組み合わせのバランスの妙にプロの視点が光る。

言葉による空間コーディネートとは

オンラインで相談すると、平野さんが日常の暮らしについて質問を投げかけてくれる。それに答えていくうち、「どう暮らしたいか」「どんな時間を過ごしたいか」が自然に見えてくる。これが言葉による空間コーディネートのしくみ。どこで買ったらいいか、色や素材の選び方など具体的アドバイスも。1時間1万円。


キッチンの棚に何をどう並べれば美しく見えるかなど、細かい提案も。

 


手がけた写真家のスタジオ。店舗のコーディネートも行う。

 

photo:徳丸哲也 text:一田憲子

 


『暮らしのおへそ Vol.32』より
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Profile

平野美香

Mika Hirano

家具ショップ勤務、カーテンのプランニングなどを経て、フリーランスの生活空間コーディネーターとして独立。個人宅のインテリア、病院や店舗のデザインやインテリアコーディネートを手がける。オンラインでのインテリア相談も開始。
https://note.com/mikalien/
Instagram:@mika___lien

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