やっぱり、雑貨に心ひかれるから 暮らしの日用品と古道具「blank+」
2022年も明けたと思ったら、あっという間に明日から2月! 寒さもますます厳しくなっていきますが、お家時間が増えてくると、お買い物欲がムクムクと湧き出てくる……なんて方も多いのではないでしょうか。2月の「今日のひとしな」は、雪国・秋田にあるとっておきのお店からお届けします。
その名前は、暮らしの日用品と古道具「blank+(ブランクプラス)」。
新幹線が停まるJR秋田駅から、徒歩で15分ほど。城下町の名残が残る街並みの中、老舗のお店や新しいお店が点在する大通りに面した2階建ての建物。ここに店主の三浦美緒理さんがお店を構えてから、15年目になるといいます。
(店名の「blank+」には、“空白”という意味の「ブランク」を日常や生活になぞらえ、日々の暮らしがお店にあるものでプラスになってもらえれば……という想いを込めて。「いつかお店をやってみたいな」と思い描いてきた会社員時代から温めてきた、大切な名前です)
パッと目を引く、白で統一された印象的な古い建物。もともとクリーニング屋さんだったという、味わいのあるガラス扉を開けると……
暮らしの中で長く愛用できる生活用品や服飾小物、お茶やジャムなどの食品から、時代や国を超えて背景やストーリーを感じられる、アンティーク品や古道具までが心地よさそうに並んでいます。
「何よりも、私自身が使っていて良さを実感しているもの、おすすめしたいものを。アンティークや古道具に関しては、面白いな、とピンときたものをセレクトしています」と三浦さん。
新型コロナウィルスの影響で最近はなかなか行けていませんが、かつては2年に1度ほど、ドイツやデンマーク、フィンランド、アジアなどの各国へ買い付けに出かけていました。「同じ台所用品でも、国や時代が変われば色遣いや素材も様々。形だって違うことも。なので、目に留まって少しでも心に引っかかったものは、とにかく連れて帰ってきているかもしれません」と笑います。
そうして出会ったものを、‟ちょっとした発想の転換″で日々の暮らしに取り入れることが面白いと言います。「もともとの用途通りに使わなくてもいいと思うんです。古い台所用品に食べ物を入れるのは抵抗があれば、ピッチャーに文房具を入れてもいいし、そのままディスプレイとして飾ってもいいですし。気負わずに暮らしの中に迎えてもらえたらいいなと思っています」
「買い付けの時も『使い方は帰ってからゆっくり考えよう』と思っていることが多いです。私がお酒好きなのでお店には酒器を多く取り揃えているのですが、以前、デンマークで出会ったモスグリーンの小ぶりな脚付きリキュールグラスを置いていたことがありました。それを『日本酒を飲むときにもどうですか?』とお客様に提案したら、『ステムがあるもので日本酒を愉しむ発想はなかった!』と驚かれたあと、嬉しそうにお持ち帰りいただいたことがありました。私たちはどこかで‟日本酒を飲むならお猪口”決めてしまっていると思うのですが、ほんの少し違うものに変えてみるだけで、いつもの食卓の風景にも変化が生まれますよね」
また、例えばフィンランドなら「ARABIA(アラビア)」のヴィンテージ食器などが有名で心ひかれますが、それは価格帯も高いことが多く、他のお店やネットで手に入れることもできます。なので、お店では‟もともとその国の暮らしに根付いていた″‟その国そのものを感じられる″何気ない日常の道具を中心にセレクトしています。
そんな「blank+」には、幅広い年齢層のお客様が訪れます。お一人で、お友達と、ご夫婦で、親子で……とみなさんそれぞれ思い思いの時間を過ごしているそう。男性一人のお客様も多いと言います。「服飾小物など、ユニセックスのものを多く取り扱っているということもありますが、『自分の好きなもので暮らしを豊かにしたい』というお客様が男女問わずここ1~2年で増えた気がします」
お店の二階では、企画展も月に一度ほど行われています。作家さんの個展などは年間を通してあらかじめ決めていることが多いのですが、イベントは「こういうのがやりたいな~」と普段から漠然と頭の中で思い描いていたものが、季節や旬の食べ物を合わせることで具体化したり、ふとした出会いからトントン拍子で形になったりも。
「こんな状況下で手探りの営業でしたが、こうした企画展に立ち寄ってくれたお客様と何気ない世間話をしたり、お互いの心境を共有できたことで、私自身もとても励まされましたし、『小さなお店だけど、ここにあってよかったな。ずっと続けてきてよかったな』と改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。小規模のお店だからこそできる役割やあり方を改めて考えさせられた気がします」
「お店の雰囲気や取り扱っている商品を知ってもらいたくて」と、10年ほど前からオンラインショップも開設しています。「品数が多いわけではないのですが、『今日のひとしな』に登場するものもあるので、お店に直接来るのが難しい遠方の方などにも楽しんでいただけたら嬉しいです」
(夕暮れ時、扉からこぼれる優しい灯りとその佇まい。心温まる風景に思わず引きこまれてしまいます)
道具を一つ変えるだけで、暮らしは驚くほど変わります。台所用品であれば、それは料理の工程のたった一つの場面のことで、日々の生活の中では些細なことかもしれません。ですが、そういった驚きや喜びを少しずつ積み重ねていくことが、暮らしを豊かに彩ることにつながるのではないでしょうか。
まずは、毎日の暮らしを楽しむこと。そのよさをそっと教えてくれるような28個の「ひとしな」を届けて下さいます。ぜひ、明日からの連載を楽しみにしていて下さいね!
文/門谷 優
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住所:秋田県秋田市楢山本町2-2
TEL&FAX:018-811-0171
営業時間:11:00~19:00
(日・祝日は17:00まで)
定休日:日、第一月曜日
https://www.blank-plus.com/
instagram:@blank_plus
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