内田彩仍さんvol.1 幸せを迎えるためのノート
日々暮らす中で、ささやかな幸せを見つけることが楽しみのひとつだという内田彩仍さん。その何気ない幸せに気づくには、自分の心の持ちようが大切、と思いを一冊にまとめたのが、新刊『幸せな心持ち』です。おかげさまで多くの方にお手に取っていただき、無事重版も決まりました!
そこで今週は4日間に渡り、本の中から1話ずつをご紹介したいと思います。初回の本日は「幸せを迎えるためのノート」。毎年この時期に、新しい年に向けて準備していることを教えていただきました。
毎年、十一月になると、翌年のスケジュール帳を用意しています。まっさらなノートに自分で書いた文字が並ぶと、新しい年を迎える準備ができたような気がして、清々しい気持ちになり、来年も頑張ろうと思えます。じっくり時間をかけて向き合い、心穏やかに支度を整えられると、次の一年も幸せに過ごせる予感がするのです。
二〇二〇年から愛用しているのは、A4サイズよりやや大きめのスケジュール帳。外に出かける機会が減ったこともあり、持ち運びしやすいコンパクトな手帳から、一か月のスケジュールが見開きで確認できる、大きなノートに変えました。撮影や打ち合わせといった仕事の予定、家族が病院に行く日や贈り物を買いに行く日などプライベートの予定。日々、同時進行している様々な予定を、一度に見渡せるのがとても便利なのです。一か月という長い期間でスケジュールを把握することで、先が見通しやすく、安心感も増す気がします。
このノートを置いているのは、リビングのデスクの上。その月のページをいつも広げておいて、予定を確認したり書き込んだりしながら、日々のスケジュールを管理しています。ここのところ本当に忘れっぽいので、どんな小さなことでも、ありとあらゆることをこのノートに書き込んでおくようになりました。月に一度の薬を飲む日、観たい舞台のチケットの発売日、ブランドのオンラインストアに会員登録した日、といった具合です。それでもまだ心配な時は、ペンの色を変えたり付箋を貼ったりして、大事な予定を忘れないようにしています。
新調した大きなノート
今、使っているノートは、文房具ブランド・ミドリのMDノート ダイアリー A4 変型判。書き心地のいい紙が使われていて見開きがフラットに開くから、サラサラと走り書きしやすいのです。カレンダーのシールも同じシリーズのもの。ペンは、何度でも書き直しができるフリクションを、ずっと愛用しています。
このノートは、十二か月分のカレンダーの後ろが方眼メモになっていることもあり、お金の管理もこれでしています。メモページに、ハガキサイズのマンスリーカレンダーのシールを貼り、ひと見開きで一か月の収支がわかるように。住宅ローンや公共料金の金額と引き落とし日、クレジットカードでいつ何を買ったのかなども書いておくようにしています。フリーランスで仕事をしていると、税金の引き落とし額は毎年変わるし、少なからず予想外の出費もあります。だから、毎月の収支をきちんと把握しながら、一年の家計をやりくりするのは、これから先の人生を安心して過ごすためにも、大事なことだと思うのです。
お金の管理
メモページにカレンダーのシールを貼り、カードの引き落とし日や支払いの締め切り日などを記入。メモ部分にはクレジットカードで買ったものや金額も書き入れておき、月末に届く明細と照らし合わせるように。細かい家計簿はつけていないけれど、一週間のだいたいの食費や日用品代はわかるようにしています。このところ小さな文字が見づらくなってきたのもあって、大きなノートにゆったり数字を書けると、気持ちが楽になります。
本作りをしている時期は、原稿の下書きも、このノートのメモページに書いています。誰に見せるためのものでもないので、その時感じたことや思いついたことを、飾らずありのまま書き留めて。このように瞬発力を使って書いた言葉には噓がないからか、あとから読み返すと、自分が今、何を大事に思っているのかが、とても明確になります。だから、迷ったり悩んだりした時、考えを巡らせ過ぎて自分の本音がわからなくなった時は、このページを開きます。読み返すうちに、初心に立ち戻ることができたり、新しい気づきを得たり。このノートは、自分の内面と向き合う時の指標にもなっているようです。
時間がある時、ノートをパラパラとめくると、スケジュール、家計、その日あった出来事や感じたことを、俯瞰することができます。昨日の出来事も、来月の仕事も、両親との関わりも、そしてそれぞれにひもづくお金のことも、実は全てが繋がっていて、そうやって暮らしは紡がれていくのだなと実感します。一年かけて作り上げるこのノートは、私たち家族の幸せな日々を支えてくれる、とてもありがたい存在です。
photo:大森今日子
【お知らせ】
内田彩仍さんの暮らしの動画を公開中です
朝食の準備や、クリスマス飾りをしつらえている風景を動画で見られます。新刊とあわせてお楽しみください。
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Profile
内田彩仍
福岡県に夫と愛猫と暮らす。丁寧な暮らしぶり、センスある着こなしが雑誌などで人気を集める。主な著書に『いとおしむ暮らし』『家時間』『幸せな心持ち』(主婦と生活社)などがある。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。