ライターまさこの「~福岡・糸島~日常三十景」日替わりエッセイ第二弾まとめ【前編】

~福岡・糸島~ 日常三十景
2023.06.27

毎日配信中の6月特別連載「ライターまさこの ~福岡・糸島~ 日常三十景」、みなさま楽しんでいただいていますでしょうか? 関東から移住したまさこさんだからこそ発見した小さな「福岡あるある」のお話に、クスリと笑ってしまったり、へー!と驚いたり。

こちらの連載は、来月から非公開になってしまうので、見逃してた!という方や、もう一度読みたいという方のために、おまとめ版を公開いたします。今日お届けするのは前編。後編は7/1にお届け予定ですのでお楽しみにー。

昨秋の第一弾はこちらからご覧いただけますよ。

→前編

→後編

 


 

#31 わかめの原藻


春になるとスーパーの鮮魚売場に並ぶ、「わかめ(原藻)」。みちっと詰まったパックから取り出すと、びろろろ〜んと海のままの姿で出てきます(笑)。当初はワイルド……と驚きましたが、今では春の楽しみのひとつ。さっと茹でて氷水で冷やしたら、ちょっとそのまま、ぱくり。うーん、別格のコリコリッ!感と、噛むほどに出てくる旨味。子にも味見であげたら、「もうちょっと!」とザルに盛られただけの茹でわかめをおかわりに来ていました。

 

#32 お茶摘みへ


ゴールデンウイークは新茶の季節。八女茶で有名な八女市へ、お茶摘み体験に行ってきました。竹で編まれた籠を背負い、山をてくてく登って茶畑へ。農家さんの説明を聞きながら、新芽と、それより数枚だけ下の葉を食べ比べてみたら、甘みと苦味のバランスが全然違ってびっくり。新茶の贅沢さを実感しました。お茶入りの餅つきイベントもあって、子も楽しかったよう。摘んだお茶をホットプレートで製茶してみた様子も、明日お届けします〜。

 

#33 ホットプレートで製茶


温泉に寄り道して、お茶摘みから帰ったのは夜。とにかく最初の火入れは当日中にと聞いていたのでレンジで蒸すと、青臭さが消え、ふわぁっとお茶のいい香りに。でも翌日には一部が茶色くなっていて、トホホ。いや、ならば烏龍茶風味が楽しめるかも?と気を取り直し、ホットプレートの低温で手揉み乾燥……これがなかなか時間がかかり、お茶の有り難みが増しました。味はフレッシュな甘みのある凍頂烏龍茶のようで、これもあり! でしたよ(笑)。

 

#34 カバンを「からう」


住んでから知った方言、その1。リュックサックなどを背負うことを指す「からう」です。いわゆる“目立つ”方言ではないのですが、日常生活、特に子との生活ではしょっちゅう出てくるワード。私は子どもから保育園時代に教わりました。卒園式の大人のスピーチでも、固い挨拶文に混じってふと「春になればランドセルをからい」というフレーズが出てきて、あ〜、公式の場にも土地の色、ほのぼのするなあ、と思いつつ聞いていたのでした。

 

#35 肉まんと酢醤油


季節外れですが、ふかふかの肉まんはお好きですか。福岡のコンビニで肉まんを買うと、「酢醤油いりますか?」と聞かれます。以前SNSでこの話をしたら、関東からは「そんなオプションが!」、関西からは「辛子じゃないんですね!」、九州からは「えっ関東では酢醤油つけないの?!」と、各地に衝撃が走っていました。「姫路ではしょうが醤油でしたよ!」なんてリポートしてくださった方も。国内でもちっちゃい異文化体験、おもしろいですよね。

 

#36 鯛が身近


関東に住んでいるとき、丸ごとの鯛ってお祝いの特別な魚というイメージでした。福岡に越してきて思ったことは、「いろんな鯛がスーパーでカジュアルに売ってるなあ!」です。気になって調べてみたら、鯛類の漁獲量は1位が長崎、2位福岡なんだとか。玄界灘の恩恵を受け、糸島市の天然真鯛漁獲量は長年日本一だったと聞いて、だからか〜!となりました。写真の天然鯛はスーパーで2尾480円のもの。日常で鯛、は福岡あるあるかもしれません。

 

#37 筑前煮、もとい、がめ煮


薩摩地域(鹿児島)では薩摩芋を唐芋と呼び、フランスではフランスパンと呼ばないように、発祥の地だと別名で呼ばれているのっておもしろいなあと思います。関東では筑前煮だったこの煮物、発祥の筑前地域(福岡)では「がめ煮」と呼ばれます。由来は諸説ありますが、個人的には方言の「寄せ集める」=「がめくりこむ」からついたという説が好きです。年末にはスーパーに「がめ煮用」と印字された鶏肉が並んでいて、土地柄だなあ!と思います。

 

#38 穂先たけのことり


先日のお茶摘み体験、実は穂先たけのことり体験もセットになっていました。たけのこって土から顔を出す前が美味しいと言いますが、そこを逃しても、動物に食べられてしまう高さを越す5〜6mほどになったら、穂先はえぐみが抜けて食べられるんですって! 大人が藪の中に分け入って5〜6mほどのたけのこの穂先を刈り取り、子どもたちも一緒にメリメリッと皮をむき、外で釜茹でに。茹でたけのこのお土産もいただいて、ほくほくの帰路でした。

 

#39 かつお菜の存在


年末になると産直の野菜売り場一面にダダダッ、と並ぶ、かつお菜。かつお菜という野菜を、私は福岡に越してくるまで聞いたことがありませんでした。一説によると、汁物などに使うと鰹出汁のような旨味が出ることからその名がついたそう。漢字で勝男菜と書くことからも縁起がいいと、お雑煮はかつお菜とブリ、が博多風。今年のわが家は鶏肉にかつお菜の折衷スタイルでいただきました。“雑”煮だもの、いろいろ混ざってもいい、ですよね……?

 

#40 冬は芋をいただきがち


昨冬ある方のところに遊びに行ったら、「私もいただきものなんだけどね」と、新聞紙にくるまれた立派な里芋をどっさりいただきました。その数日後、今度はまったく別の集まりで「菊芋、たくさんいただいたから持って帰らない?」と、わが家の台所が芋祭り。菊芋って、生でサラダや浅漬もいけるんですね。朝ごはんのおともに軽く炒めてきんぴら風の味付けにしてみましたが、シャキシャキとした歯ざわりが好きでした。ごちそうさまです!

 

#41 れんげ田んぼ


春にご近所を歩いていると、夏や秋には田んぼだった土地が、一面のれんげ畑になっているのを見かけます。これは農家さんが前年に種をまき、肥料として育てているのだと、こちらで暮らしてから知りました。れんげの根に住む根粒菌という細菌が、空気中の窒素を植物が使える形にしてくれるのだそう。そんな菌を住まわせるれんげも、特殊能力を持つ根粒菌も、農家さんの知恵も、すごい!と思いつつ、美しい春の風景を楽しませてもらっています。

 

#42 イベントが「あってて」


住んでから知った方言、その2。「やっている」という意味で使う「今、○○っていうイベントがあってて……」という言い回し。敬語を使うシーンでも「あってて」→「あっていて」と変わるだけで頻出なので、方言と認識していない地元の方も多いかも。九州出身の夫と議論した結果、「あっている」は「ある」の現在進行形なんじゃない?という説が浮上中です。写真は、近所で数日間「あってた」ワークショップイベントに参加したときの一枚から。

 

#43 「973.」さんのコーヒーに出会う


「糸島の顔がみえる本屋さん」の軒先には、日替わりでいろんなお店が出ています。この日は「973.」さん。夜はダイニングバーを営みつつ、週に2度はここでコーヒースタンドをしているとか。店主の謙次さんは東京から移住後、コーヒーや日本酒への興味が高じてお店を始めたそうです。マキネッタ(直火式のエスプレッソメーカー)で淹れるコーヒーは味が濃厚! それでいてオーガニック豆だからか、胃に重たい感じが全然なく、嬉しい驚きでした。

 

#44 ヴィーガンスイーツにほっこり


昨日の「973.」さんとコラボ出店していたのが、体に優しい素材のスイーツ屋さん、「chillin chillin」。笑顔が素敵な店主の有希さんは、三児の母。自分の体調が食事で大きく変わった経験もあり、育児中に家でできる仕事、かつ庭のブルーベリーを活かせるものを!とお店を始めたそう。普段は全アレルギー対応のケーキをオーダーメイド販売も。育児をしつつ、自分の興味も活かしていろんな働き方を実践している方が本当に多くて、励まされる日々です。

 

#45 むちっと食感、むかご


むかごって知っていますか? 私は地方で暮らすようになって初めて知りました。山芋の葉の付け根にできる、わき芽が養分を蓄えて肥大化した部分なんですって。つまり栄養満点。調べたら北海道や青森が有名とのことですが、秋になると九州でも見かけます。熊本の義実家のお庭で、むかごとりをしたことも。むちっ!とした食感と独特の風味がクセになります。むかごごはんも美味しかったけれど、家族の一番人気はバター醤油炒めでした。

 


 

【~福岡・糸島~ 日常三十景】
福岡の街と糸島のあいだあたりに越してきて、数年が経ちます。この連載では、関東出身の筆者が移住して初めて知ったこと、日々の暮らしの中でおもしろいと思うことなど、観光とはちょっと違う“ふだん着の福岡・糸島暮らし”の一部を、日常三十景としてお届けします。昨年秋の第一弾におさまりきらず、なんと第二弾。どうぞゆるりとお付き合いのほど。

Profile

わたなべ まさこ

千葉、東京、フィジー、オーストラリア、湘南暮らしなどを経て2016年より福岡へ。現在は福岡・糸島界隈を拠点にフリーライターとして活動。企業案件からエッセイ・短歌・絵本まで。「糸島の顔がみえる本屋さん」棚オーナー。海辺と本とおいしい野菜が好き。

 

Instagram:もぐもぐエッセイ(@mogu2bun)はじめました
https://masakowatanabe.themedia.jp/
https://twitter.com/masako_tea

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ